大阪地域で初めての酸性雨講演会を開催

 

 従来、本会主催の講演会は大気汚染学会開催期間中の分科会活動と3月頃の東京での講演会に限定されていたが、関西地域でも開催要望が強まったこともあり、初めての試みとして梅雨期に大阪市で開催することとなった。会場は天満橋と天神橋の間にある「エルおおさか」で以来2001年までに5回同所で開催されており、今やホームグラウンド的な意味合いさえある。講演会は大気汚染研究協会近畿支部ならびにその傘下の各部会および近畿地方大気汚染調査連絡会などが共催あるいは後援団体となって、会の開催を支援してくれた。「酸性雨調査研究の今日的課題」と題し、座長は中野道雄氏(大気汚染研究協会近畿支部長)と江阪忍氏(京都府衛生公害研究所)がつとめられた。

 午前中に酸性雨に関連するいくつかの話題提供があった。松本光弘氏(奈良県衛生研究所)は「雨水分析における精度管理の検討」を、田口圭介氏(大阪府公害監視センター)は「森の中でのHイオン供給量」を、玉置元則氏(兵庫県立公害研究所)は「森林地域での酸性雨調査手法の例」を、平木隆年氏(兵庫県立公害研究所)は「酸性雨自動測定機のpHと導電率の測定精度」を、押尾敏夫氏(千葉県公害研究所)は「コンクリート構造物に生成するつらら状物質について」を、それぞれ説明した。その後、講演に入り、最初に鳥居厚志氏(森林総合研究所関西支所)が「近畿地方のスギ枯れの現状とその原因」について、どのようなところでスギが枯れているか、土壌の酸性化がスギ衰退の原因か、他の樹種ではどうか、それでは衰退の要因は何かなどを中心的な課題として話された。

 午後は最初に笠原三紀夫氏(京都大学原子エネルギー研究所)が「大気汚染物質の変質と乾性・湿性沈着」と題して、酸性雨調査に関連する諸過程の項目と問題点ならびに大気中での変質、乾性・湿性沈着について講演された。次いで大喜多敏一氏(桜美林大学国際学部)が「酸性雨の現状と今後の課題」と題して、主に次の内容で講演された。@環境庁第2次酸性雨調査中間報告とその問題点、A臨界負荷量の研究、B米国NAPAP研究の紹介。

 講演会には150名近い参加者があり、会場は人であふれ返った。参加者の半数は大阪府下からであったが、近畿地方以外からも15名の参加があった。また、自治体の研究機関からは34名、行政機関からは55名と圧倒的に多かった。さらに近畿地方で酸性雨調査研究に従事している方々がほとんど全員が参加され、講演会でもきわめて質の高い質疑応答が行われた。会場で行った会開催に関するアンケートからも講演会の継続開催を望む声が圧倒的に多かった。

 

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