JICA短期専門家技術移転(北京)報告

松本光弘(奈良県保健環境研究センター )

JICAの短期専門家で中国・北京市の中日友好環境保全センターへ蛍光X線分析装置の技術移転に行ってきました。

 312日から318日までの短期間ですが、8年ぶりに中日友好環境保全センター(写真)に行ってきました。北京には一昨年の秋に環境化学会の中日合同シンポジウムがこのセンターで開催されましたので、このセンターを訪れるのは2年ぶりです。北京は今、建設ラッシュで高層マンションの建設が至る所で見られます。2年前までは、北京市街地の郊外(四環路)にあるセンターの周りにはマンションがあまりなかったですが、センターのまわりでマンションの建設がいたるところで見られ驚きました。価格も日本と変わらない価格に再度驚きました。北京では格差が大きいと聞いていますが、ほとんどが夫婦とも働きのため平均的に年収は100万円は超えているようです。かって、10年前までは万元戸と言って、年収が1万元(日本円で150万円)の家は大富豪と言われていましたが、今や、北京市民の殆どが万元戸のようです。

宿泊は三環路にあるLandmark Hotelという綺麗なホテルで中に日本料理店、中国料理店、Hard Rock Cafe等があり、快適に過ごすことができました。この辺は、大使館や中国のJICA本部があり、センターにも近く、毎日車で送迎していただきました。ただし、空気が乾燥しているようで、エレベーターのスイッチや部屋のノブに触れるたびに静電気が飛び、青白い稲妻を見ました。エレベーターの鏡を見ると、髪の毛がハリセンボンのように放射状にまっすぐに立っていました。2,3日で静電気がなくなり、体に電気が溜まった(?)と自分で納得しました。

現在、当センターには環境省、新潟県、北九州市から各1名の長期専門家と、JICAから2名の方が滞在しています。私は蛍光X線分析法の技術移転ということで、大気中浮遊粒子状物質、黄砂、黄土、産業廃棄物等の分析についての技術を指導してきました。これまでに、フェーズVには国環研の西川先生、新潟県の福崎さん、下鳥さん、青森県の早狩さん、兵庫県の中野さんらが来れているようです。このフエーズVは20024月から始まり今年の3月で終了とのことです。3名の長期専門家が日本へ戻られて、JICA2名の方が2年間で残務処理をするようです。その間、中国から要望があれば、再開の検討をするみたいです。私がフェーズVの最後の短期専門家になりました。私の前に入れ替わり国環研の西川先生がいらっしゃたようです。滞在中にも国環研の杉本先生が控え室に顔をだし、結構、国環研と交流があるようです。

北京はエネルギーを石炭からガスに切り替え、このガスは四川省からパイプラインで運んでくるようで、大気もきれいになり、また独特の匂いもなくなったようです。なにはともあれ、相当のスピードで街が変わっているようです。時期的に黄砂を期待しておりましたが、幸か不幸か、黄砂には遭遇しませんでした。また、北京市内では下水も80%以上普及しているとのことで、大気汚染、水質汚濁も改善されつつあります。水道水も問題なく飲めるということですが、硬水のため水はホテルにはペットボトルが置いてあり、はじめは歯磨きにもペットボトルの水を使っていましたが、めんどうなため水道水を使いましたが特に問題はありませんでした。

今回は日曜日出発で土曜日帰国という大変なハードスケジュールのため、殆ど観光らしきことはできなかったので、長期専門家の方(写真)が、気を利かして夜の食事を色々と考えて一緒に付き合っていただき、王府井で羊のしゃぶしゃぶ、飲茶、日本料理、北京料理等を食べ満足しました。また、神戸でのJICA酸生雨研修のChengさんにも夕食を招待するつもりが反対に招待され、今度、来日した時には必ず招待しますとの約束をしました。彼は、非常に律儀な中国人であり、2年前の北京でのシンポジウムの時にも三重県の加藤さんらと共に約10名を同様に招待し真に恐縮しています。

 何はともあれ、今回のJICAによる派遣は中国との友人と良い関係を築く上で私にとっても良い経験となりました。

 

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http://album.nikon-image.com/nk/NK_AlbumPage.asp?un=57256&key=803563&m=0