田中浩也さんを囲み建築あそびその1

         2001年 8月 4日 BOX1 にて

田中さんの話の記録ですが、校正の時点で田中さんより付記が追加されましたので最初につけます。後で読んでいただいたもいいです

お急ぎの方は4日講演記録へ

HOME ↑

         

田中浩也付記:

佐藤さんから「建築あそび」講演記録の校正の依頼をもらってから、はや三ヶ月もたってしまいました。今日(01年11月7日)は、佐藤さんが東京にいらっしゃっています。いま、講演記録を読み直してみて、ちょっと言い足りないところがあったので、補足します。

[1] 僕の現在の基本的なアプローチは、人間にとっての内側(脳内)世界−認知空間のモデリングと設計です。いままで建築の手がけてきたことというのは、人間にとっての外界-つまり、身体を取り囲む空間のモデリングですよね。でも、僕はそれと対応する、脳内の空間の仕組みについてもっと知りたい。その空間は、CADではモデリングできないんです。もちろん図面でも。なぜかといえば、xyzの3次元空間じゃないから。CADは、3次元空間のフレーム内で造形を行なうものでしょう。でも、脳内ってそうじゃないですよね。みなさん、自分の家を3次元の立体として覚えていますか?違いますよね、たぶん。もっと主観的に、自分の身体と行動を中心とした認識です。だから、今までとは根本的に違う空間の基本的な構造を考える必要があるんです。まず、3次元軸というのははずして考えないと意味がない。その全く分からない空間構造を、とりあえず描き出すためのツールを作ろうということをやっています。いろいろツールを作ってきたんですが、そのときにいつも基礎的な道具となるものが2つあるんです。

ひとつは、4次元あるいは高次元の数学空間です。いままでの3次元とは全く異なる空間認識がありえることを証明する、強い理論的バックボーンであるんです。

もうひとつは、インターネットです。脳内って、結局、神経系−ニューロンの発火によって断片的な記憶がぐちゃぐちゃに結びついて構成されているんですけれど、その仕組みに非常に近いものをもっているのがインターネットなんです。というわけで、よくサイバーアーキテクチャー(インターネットのなかの建築)・・・というような議論がなされるんですが、つまるところ結局、それは人間の意識のなかの空間にダイレクトに対応するものであるような気がするんです。そして、それは、いままでの芸術とかとは全く違って、社会性を持った自律成長する空間でもありますし。

[2] もうひとつ、「君のやっていることはCGとかバーチャルリアリティーなのか」と言われることがありますが、全く違います。基本的に、CGは架空の空間表現に使われることが多いし、バーチャルリアリティーは、いまあるどこかの空間を転送して仮想的に 体験させるための技術です。でも、僕のやっている「空間情報科学」のアプローチは、「現実のある場所、ある建築に、もっと多くの人が行ってみたくさせる」あるいは「行ったときに、その魅力をよりたくさん感じられるようにする」ことです。「書を捨て街に出よう」ではないですが、もっと多くの人が、家を飛び出して世界じゅうのいろんな空間を体験しにいく、そしてその体験を描き出して、人に伝達できるようにする、流通させる、そういうことなんです。

Eメールの登場によって、人と人が直接会うことは少なくなるんじゃないかと言われていたんですけれど、事実は全く逆で、約束がしやすくなった結果、どんどん人が出会うようになったんですよね。じゃあ次はなんなのか、というと、人と空間がもっともっと出会えるようにする、そういう機会をたくさん増やす、そういうツールがインターネットという技術を使って必要だと思うんです。これは、ある意味で、「建築」をサポートする考え方です。僕は建築家ではないですが、建築を、もっともっと皆の共有財産として流通させたい建築が物質としてではなく体験として流通するような枠組みを考えたい、ということなんです。そういう「建築体験共有ツール」を、もっともっとたくさん作っていきたいと思っています

まだまだ現在進行中のアプローチではありますが、 そのような考えをもとに、この講演記録を読んでいただけばよいんじゃないかなーと思っています。 田中 浩也 2001.11.08

 

 

            2001年8月4日建築あそび記録

          講師東大博士課程2年田中浩也さんです

田中浩也さんたちは2001年8月4日の3時半ごろ我が家(BOX1)に着きました。午前中から食材の買い出しをして午後は食い物を作っていました。到着が1時間は早いので大慌てです。

            


車を運転して田中さんを連れて来てくれたのは、現在埼玉県鴻巣市に住んでる栗原誠さんです。遠いところご苦労さまでした。今回は駆けつけ3杯とは3月3日の失敗があるのでしませんでしゅ・・。
 参加聴衆が遅れてくるということで電話がありまして、ホンジャマー私時々建築家佐藤敏宏の設計した BOX12・13・4・14 を見学しようということにします。
 日大の親松・中澤・鈴木さん一行が到着と同時に出かかる。・・ヤッパシそこかしこで皆さん和みそうな空気が溢れるのでしたが・・大急ぎで駆け回りました。
 BOX10の野球場と民家のキメイラ状の家を訪ねることなく1時間半。・・ようやく我が家戻る。仙台組の到着を待つ間に聞き酒会を催す

               

 田中浩也先生の講演前に飯を食べ仙台組が到着するのを待つ。

程良きとき仙台の建築家八重樫直人さんなど到着して歓談・・・・・さぁそろそろ

・・・         


s:絵は何枚ぐらい有るの・・かなりあるの・・
t:絵じゃないんですけどね・・動画もやはり、ページでいうと41枚なんですけど・。そうか失敗したかなー
s:やりましょう
t:はい
s:暗くした方がいいですかね
t:あぁそうですね。
 台所のほうでチーズフライを油で揚げる音がパチパイ・・音してる

s:そこのスイッチと・・・佐藤、たち上がり部屋の照明のスイッチを切る・・これでいいなー
t:はい。ではチョットこれから・・一時間弱か・・ぐらいかなと思うんですけど喋らせていただきます。

  拍手パチパチ

t:東京大学の田中と申します。さっき佐藤さんとお話をして、今日どんなことを喋ってくれと佐藤さんが思っていらっしゃたのかと言うのは、だいたい判ったンですけど、チョット今日喋るまで全然中身が判って無かったので、ハハーと思って。どういう感じでしゃべったらいいか分かんない・・最初僕は建築の設計を学んでいたんですが、そのうち自然と方向転換して、その後2年間は研究課

     台所の方が片付けものでガチャガチャるさい

s:ヤツパリうるさいからそっち止めてよ

調理場:はい

t:で、今は東京大学空間情報科学研究センターというとこに行って・・・。空間情報科学とか空間認知科学と言われるような分野をやっているんですけども、たぶん今日の話のバックグラウンドとして、こういう僕のプロフィールよりも、どういう性格かと言うことを話した方が有効に回るだろうと。
 
 基本的には僕が好きなのはみんなで一緒になんかすることが好きで、でずーと小さい頃から音楽をやっていて・・。みんなで参加して1個の何かモノを作るというプロセス自体にものすごく興味を持っていて、そこの矛盾を突き詰めてきて・・いま作っているモノに至っているような気がします。

 その辺を喋りながら、ちゃんと判って・・で、ま建築の・・大学生のころは建築のまあー作品なんてばっかりやっていて、色々賞とかもらったりしてましたけど。そんなことは冗談ですけどね・・。一応今日紹介するネタとして全部で5つ持って来たんですけど・・。で順番メチャクチャで、どういう順番で話したらいいのかよくわかなないんですど・・。

 リアルな建築の設計の仕事も一応設計事務所でみていたので、それに関わって・・・・
 今一番最新のプロジェクトで2つ・・人間がどう空間を単に認識してるかと言うのを、表現しているみるような、プロジェクトで。

 4番目が佐藤さんが前東京 (01年4月末)にいらっしゃつた時に・・お見せしたプロジェクトで、そのことを佐藤さんはイメージされていたと思うんで、・・それを入れてみた。
 最後はサイバー三宅島という、僕が1年ぐらいズーッとリサーチをやっているプロジェクトの紹介をしてみようかなと思ってます。
 だから結構いろんな方向に話が進むんですけど、あんまり1本の線にはまらない性格なのでその辺よろしく。

で、まずですね。今日の日中、僕は住宅見せてもらって いいなー と思ったんですよねー。僕もそういう設計の仕事に最初のうちから関わっていたら、ずーともうリアルをたぶんやってたかかなーと、思いましたね。(笑う)

 次へ 



その2へ