カブトガニはどんな動物?

 (1)“生きている化石” 

 カブトガニは、節足動物門、鋏角亜門、節口綱、剣尾目、カブトガニ亜目に属し、最初に“生きている化石”といわれた生物である。2億年もの間、形を変えずに生きてきたからである。古生代を特徴づける動物に三葉虫がいる。カブトガニの1齢幼生を見ると、この遠い祖先を思い出させる。カブトガニ類のなかまが現れるのは、デボン紀で4億年前のことである。現在のものとほとんど変わらないカブトガニは、ヨーロッパの中生代三畳紀末(2億年前)の地層から出現している。カブトガニがいかに長い期間生存してきたかがわかる。生物学的に大変貴重な動物である。
 また、カブトガニはその存続以外に、血液が医学界、薬学界に注目されている。すでに、細菌の内毒素の検出薬として利用されている。また、ガンやエイズの特効薬になりうるとして、研究されている。人類に貢献しているわけである。
 カブトガニは、その名前からエビ・カニなどの甲殻類の仲間といわれることがあるが、じつはかなり隔たっており、クモやサソリの方が近縁である。といっても、5億年前に分かれているのであるが。また、田んぼに出現するカブトエビと間違われることもある。これも甲殻類で異なった仲間である。もちろんカブトムシは昆虫なので別の動物である。
                     (右の写真は、飼育中の13齢幼生です。)

 (2)世界のカブトガニ

 世界に現存するカブトガニ類は、4種である。日本と中国の揚子江以南の東・東南アジアには、マルオカブトガニ、ミナミカブトガニ、カブトガニがおり、北アメリカに、アメリカカブトガニがいる。その中では日本にもいるカブトガニが最大のものである。
 カブトガニの分布が、アメリカ大陸東海岸とアジアで、さらに化石はヨーロッパと分散しているのは大陸移動と関連が深いと考えられる。現在の大陸は古生代には1つの大きな塊であった。このころ生存していたカブトガニの祖先が大陸移動に伴いそれぞれ移動していったのではないか。ヨーロッパでは絶滅してしまい現在は見られない。
 また、日本のカブトガニも他のアジアからは離れているが、新生代の氷河期に海が退いた時期に移動してきてそのまま残されたという仮説がある。(黄海や隣の韓国にはカブトガニはいないようである。)

トップに戻る