神の山
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今回は奈良県生駒市の生駒連山の北辺に位置する、交野山(こうのさん)の頂上にデンと座りつづけている、観音岩(かんのんいわ)のご紹介です。
古事記によると、生駒山系はその昔、神武天皇が東征のために山越えしようとしたとき、長髄彦と鐃速日の命の抵抗にあい、仕方なく迂回した場所である。そして生駒山は住吉大社の神奈備山としても祀られていた。この南北に連なる山系には一定の間隔をおいていくつかの磐座を確認することができる。
そのひとつがこの観音岩だ。登山者がおおっーと感嘆するほどのこの大きな岩の周囲は40メートル。高さは20メートル。眼下は崖になっている。登山途中にも、夫婦岩と名のついた岩や、三宝荒神、大日如来と彫った巨岩があるのでぜひみていただきたい。。
交野山(こうのさん)は、地元の人に聞くと、神の山と書いて「こうのさん」とよんでいたらしい。左の写真は標高330メートルの交野山を、西側遠方から見たところ。なだらかな円錐形が綺麗だ。秋になると原生林の紅葉が大変美しい。
写真では大岩は見えないが、山を覆っている木々が葉を落とす頃、頂上に『観音岩』の雄大な姿を遠くからでも見ることができる。
山に登るには、JR学研都市線津田駅で降りる。普通電車しか止まらないので気をつけよう。
登山道は整備されているので楽に登ることができる。道なりに進んでいけば、50分ほどで頂上につくはずだ。近くの幼稚園の遠足場にもなっている。
山は野生のアカシアの木々が生茂っている。開花時期には薄紫の花が山全体をおおう。
写真は養蜂家が、みつばちの巣を開けてアカシアの花の蜜を集めているところ。 |
磐座
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『観音岩』のいわれとなった、正面に掘られた大梵字。
聖観音をあらわす『サ』の梵字が岩肌に掘られてることから観音岩という名前がついた。観世自在菩薩ともいう。願い事をすぐに叶えてくれるという。
梵字が彫ってある壁面の、左側にぐるりと回った壁面には、一辺が40センチほどの四角い穴が開けてある。昔、この穴の中に66部の法華経を、金泥のふたをして納めたらしい。
もちろん今は、そのふたも法華経もない。
磐座の後ろに回ったところ。
周辺には5〜6メートルほどの無数の巨岩が周りを取り囲んでいる。人工的に組んであるという噂がある。
残念なことに、岩の所々にスプレーでの落書きが目立つ。岩に直接彫りこんだ跡もある。
この街を何千年も見守ってくれた、神さまがおいでになる大岩をもっと大事にしましょうね。 |
展望
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『観音岩』の上から大阪平野を眺めた。
岩は傾斜がついているが、平らな広場のようにになっているのでここでお弁当を広げて休むこともできる。
風に涼みながらの360度のパノラマはすばらしいの一言。雲海が目の前に広がり、はるか彼方の丹波の峰からは、滝のように雲が流れ、そして沈み込んでいくのが見える。
『観音岩』のすぐ南側の斜面。
無数の岩がごろごろしている。朱の鳥居や、小さな祠、梵時を彫った岩などがある。
信仰のあった山であることは確かだ。 |
追記
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麓の織物神社(はたもの)の鳥居の間から真正面に、この磐くらを拝むことができる。神社から見ると、たぶん冬至か夏至には、この磐の真上から太陽が昇るのだろうが誰か知りませんか?。また、晴れた日には遠くの六甲からでもこの磐が白く光って見えるという話しを聞いた。古代は海洋民族がランドマークとしてこの磐を目印にしていた可能性もある。交野の地は昔から渡来系の人々が大勢住み着いていたところでもあるので、近くの岩船神社や天の川など、ロマンと伝説を追って、ぜひとも一度訪ねてみてください。 |
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