磐座みぃ〜つけた新聞
セーファーウタキ
沖縄県

南の島の美しい霊地
2002年4月12日
琉球王朝最高の拝所(霊地)知念村の斎場御嶽(セーファーウタキ)に行ってきた。2000年に首里城とセーファーウタキが世界遺産に登録されたとき、はじめてその名まえを知った。

それまで沖縄のことを全く知らなかったので、現地に行ってみるまでウタキとイワクラが同じ性質のものだとは知らなかった。

入り口は観光用にきれいに整備されて、道には珊瑚や小さな貝殻が敷き詰められていたのでビックリ、(*_*)。宝石でも散りばめたようですごく贅沢な感じなのだ。けれどもここら辺りではそれがあたりまえらしい。というのも近くの海岸に行くと珊瑚と貝殻ばかりの砂浜しかなく、それが一番安上がりなのだ。

セーファーウタキには六ヶ所の拝所がある。昔は御門口から奥にはノロやユタなどの神女(巫女)が取り仕切る神域なので男は首里の王様以外は入ることが禁止されていたらしい。現在では観光地化され禁制もなくなったので男も自由に入ることができる。

本土の吉野修験の山、大峰山はいまでも女人禁制だが、どうやら沖縄は王様の上位に神さまのご宣託を聞くことのできるノロやユタなどの神女が君臨する女の国のようだ。首里城には百人を越える神女の集団が暮らしていたともいう。

左の写真は一番奥の拝所(寄満・ユインチ)

サングーイ
その女たちを束ねるのが聞得大君(きこえおおきみ)と呼ばれる最高巫女。その聞得大君の就任式がこのセーファーウタキで執り行われた。

聞得大君は王の親族(妹・妻)から選出され、王一代に一人と決まっていたらしい。なにか伊勢の斎宮・倭姫を連想してしまった。

目指すウタキに着いて感激した。これは紛れもないイワクラだ! 沖縄にもこんなすごい岩座があったなんて知らなかった。

写真はセーファーウタキの中で一番有名な岩が寄りかかるようにして三角形の空間ができたサングーイ。この三角形は知念村の村章にもなっている。

この三角形の奥へ入った左側から琉球開闢の神々アマミキョが降りたと伝わる神の島久高島を真東に拝むことができる。

朝9時前だったので観光客はいなかった。静かに手を合わせて久高島を拝んでいたらひょっこりと地元の男の人が現れて、ノロが本当に拝む場所がこの上にあると教えてくれた。

えっ? ここではなかったのか?

神の島、久高島を望む
その人は「今日はサングーイの奥から久高島が、すごくよく見えてまるで浮き上がっているようだ」と言った。とくに春は霞がかかるのであまり見えないらしい。

教えてもらった拝所に行こうとするとその人が来て上り口まで連れて行ってくれた。が…最後に一言こういった。「ハブは居るのが普通だからね!」「えっ―!!」

一瞬、足がすくんだがここであきらめてはイワクラ探検隊の名誉にかかわるので、「ハブに出合ったら、ハブ・ア・ナイスディー(^o^)丿」なんていいながらおそるおそる登った。

山頂までの道には、恐ろしいハブの絵とハブに注意!という立て看板がそこら中にあった。

昨日、玉泉洞のハブの資料館でハブの猛毒の怖さについて学んだばかりなので、気が気ではなかった。それにハブ園では木の上にうじゃうじゃとハブがいたのを見たので、下ばかり気にしていてもダメなのだ。

万一かまれたら1〜2時間以内に血清を打たないといけない。まさに命がけの磐座(いわくら)探検だ。などと思いながらも5分ほどで上に出た。

この山頂の拝所からの景色を見たとたん、ハブ、ハブという心配な気持ちが吹っ飛んだ。ここから見る珊瑚礁に浮かんだ神の島、久高島は本当にすごい。特に日の出の時にはまるで後光がさした様で思わず手を合わせてしまうことだろう。

セーファーウタキの不思議な蝶
磐座(いわくら)や霊地に行くと、よく不思議なことが起る。

今回も本当のノロの拝み場所を教えてくれる人が現れたし、帰り道では一羽のジャコウアゲハが服に止ってずっと離れなかったのだ。

すれ違う人たちが「蝶は神さまのお使いだから、神さまが喜んでおられるのでしょう。きっといいことがありますよ」と声をかけてくれた。

結局この蝶は海辺べまで降りる30分近く、尻尾を服に挟み込むようにしてしがみつき、どんなに海風にあおられても離れなかった。

セーファウタキのすぐ近くにあるペンション「ポランの広場」で久高島をみながらお茶を飲んだ。ここのペンションは大変すばらしいところなのでぜひ皆さん寄ってください。久高島を見ながらお茶を飲んだり泊まれる所はここしかないでしょう。久高島から昇る朝日もみることが出来ます。すばらしいです。

追記
今回はじめて沖縄の神さまたちにふれて、その圧倒的なパワーに打ちのめされた思いがしている。国内でも自分たちなりに気になる磐座(いわくら)の神々を回って参拝してきたが(この磐座(いわくら)新聞にはまだほんとに少ししかアップできていないのですみません)

そのほとんどは、昔は神降ろしをしてお祭りをしていたのだろうが今はすっかり忘れられてしまってパワーの無くなった神さまたちが多かったように感じた。

でも、沖縄にはまだまだノロやユタが健在で、神さまたちは直接その神女たちと話をしながら現世と交流しているのを感じた。沖縄の磐座(いわくら)は生きているというのが偽らざる感想です。

このセーファーウタキで新しい聞得大君(きこえおおきみ)の就任を認定するのが久高島のノロなのだ。つまり久高のノロは琉球最高位の地位を占める神女なのだ。その神の島、久高島のことはまたコラムにアップするので楽しみにしてください。

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