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修羅雪姫 |
1973年。監督 藤田敏八。主演 梶芽衣子。
「キル・ビル」の影響でDVDが発売され、自分も見ることができました。釈由美子の「修羅雪姫」のときにこの映画の存在をしり、本家「修羅雪姫」を見たいと思っていたのでDVD化はラッキーでした。
明治7年。「キチガイ雪が降った日」(劇中の台詞)獄中で生まれた主人公雪。母親はこの世に恨みを残し、仇をうつことを運命づけられた主人公。
雪は道海和尚(おしょう、ではなく、わじょう、こう呼ぶとは知らなかった)の元で修行をつみ成人、竹村伴蔵、北浜おこの、塚元儀四郎の3人を執念で討ち取っていく。
落ちぶれて娘と二人暮らしの伴蔵を、命乞いも聞かず切り捨て、首をくくった北浜おこのの胴体を真一文字に切断、死んでいた儀四郎の墓石を斬りつける、とまさに復讐の鬼。
明治と舞台になってはいますが、70年代っぽい作り。学生運動家にしか見えない黒澤年男(熱い!)や、官警、ブルジョワの描き方、反体制をちらつかせています。
見る前は藤田敏八なのでイメージ的に怠そうな映画を想像していたのですが、シャープとは言えないまでも独特のテンポのアクション映画に仕上がっていて、最後まで飽きさせません。
オススメです。
しかしたった一人の女の恨みに、よくこれだけの人間を巻きこんでの復讐合戦が繰り広げられたなぁ。出てくる人間のほとんどがキチガイっぽい、映画自体が変なエネルギーに満ちています。
それと釈由美子の「修羅雪姫」は徹底的に失敗作。この怨念、大事な部分がすっぽり抜け落ちていて空洞になっています(でも自分は気に入ってる)。 |
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修羅雪姫・怨み恋歌 |
1974年。監督 藤田敏八。主演 梶芽衣子。
前作からの続き。前作では20才くらいだった雪も、この作品では明治39年なので32才となっています。ていうことは前作から10年ほどたった後の話。
逃亡に疲れた雪は官警に捕まり、37人を殺した罪で死刑宣告、執行の日に秘密警察にすくわれ、交換条件として仕事を請け負うニキータばりの展開。
暗殺する相手は現政府が転覆するくらいの重要書類を持つ無政府主義者の男。そこへ住み込み機会をねらううちに雪は雇い主である秘密警察を裏切り、男が逮捕されたときに書類を持って貧民窟に潜伏する。
続編、というとたいがい失敗するのですが、「修羅雪姫」はそんなことはなく、この2作目もすこしトーンを変えながら面白い作品に仕上がっています。
1作目より、呪縛から解き放たれたような、のびのびした感じさえします。
今回の殺陣は長回しを多用。でも血しぶきの量も、飛び散る手足もちゃんと用意されているので安心して見られます。
明治、という時代設定ながら、70年代の現状を反映した雰囲気は1作目と同じです。
何かと国家、反体制です。
それときっともうこのころドラゴンブームになっていたのか、クンフー使いもちょこっと登場します。
梶芽衣子はそれまであまり好きではなかったのですが、この映画を見ると、今よりほっぺたがぷっくりしていてかわいいです。年をとって肉が落ちたのでしょう(美人になったともいえますが、輪郭にまるみを帯びていた頃の方が梶芽衣子はいい!)。 |
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女囚701号さそり |
1972年。監督 伊藤俊也。主演 梶芽衣子。
「同性愛、虐待、集団リンチ・・・人間の限界を超えた過酷な刑務所の中、<さそり>は復讐という執念だけで生き残る!」
DVDのカバーに書いてあるコピー通りの内容。
主人公・松島ナミが好きな男杉見に裏切られ、復讐をはたせずY県Y刑務所に入れられ、そこで鬼のような看守や女囚たちのいじめにあいながらも屈せず、復讐を敢行する。
昔、高校生の頃テレビで見たときは怖くてしょうがなかったです。はじめの渡辺やよいの生理の場面を筆頭に作品の血なまぐささに拒否反応、凝ってる、でもどこか素人っぽい前衛的な演出は見てて面白く、最後までは見ましたが、陰湿で暗い、女囚もの、ということであまりいい印象は持ちませんでした。
20年たった今見ると、いやぁー、なんともサイケデリックと土俗的な雰囲気の融合、けばけばしく、それと昔は梶芽衣子が不気味だったせいでうけつけなかったのもあるのですが、今となっては梶芽衣子ファンなのでかなり楽しめました。
ナミは誰とも取り引きをしたり、妥協したりしない、不屈のヒーロー。
梶芽衣子が熱演。
射るような目つきがぞっとします。
脇キャラたちも面白く、自分は横山リエが一押しです。はすっぱな感じがいい。他に映画出ていないのかなぁ。
渡辺やよいも良かったです。閻魔落としの時、渡辺やよいに看守の言うことを聞くようナミがうなづいて促すところ、ナミをかばい撃たれる、胸が熱くなる女の友情。
看守役に小林稔侍が出ています。女囚に犯され、最後は看守らに射殺されるというやくどころ。
冒頭、君が代から始まり、日の丸を所々引用と、かなり反体制っぽさが出ています。
うーん、70年代丸出し。
走ってる車の中にべレットはないかと見たのですが、1台も見かけませんでした。ひょっとしたらマイナーな車だった?
車と言えば杉見の乗ったジープの登坂能力には驚き。不整地の急坂を白煙をあげ上っていきます。
「修羅雪姫」とどちらがいいかと較べたら、自分は「修羅雪姫」の方が好みです。まだあちらの方が健全な、いやどっちもどっちなのですが、「修羅雪姫」の方がエンターテイメントというか、もう少し軽い感じがして好きです。
でもさそりも傑作には間違いありません。
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