第1回:1993年12月25日 〜 1993年12月30日
 (1)自然について
 南半球の亜熱帯の島ニューカレドニアは、石垣・西表島よりも、もう少し赤道近くに位置しています。ヌメアからラ・フォアまでの南海岸側は、乾燥した風景が続き、チョウが本当に生息しているかどうか不安に駆られてしまいました。ラ・フォアの町は、ホテルが一軒、銀行が一軒、店が数軒、そして疎らに民家が建っています。そして町の周辺は、牧場です。牧場は、チョウにとって最悪であり、森林は皆無で、川岸に少し残っている程度でした。もともとこの辺りは、森林が発達していなかったようではありますが、単純な植生である牧草のような状態ではなかったはずです。
 ラ・フォアから中央部を走る山脈へと行くと、山の麓にサラメアの村があります。民家が殆どなく、この辺りも牧場が広がっているのです、起伏が多く丘や山に繋がっているため、木々も徐々に増えてゆきます。牧場の中を通り、山へと続く道の傍らには、ランタナの花が咲いていてチョウが吸蜜に訪れています。山の頂上付近まで木々が、緑豊かに茂っているのですが、頂上付近は、風が強く草が地を這い、疎らに木々が生えているだけでした。すっかり火照り切った体には、とても爽やかな風ではありますが。
 (2)昆虫について
 乾燥したラ・フォア付近には、モンシロチョウが翔んでいました。最初、違う種類と思っていましたが、どう見てもモンシロチョウです。草原性のチョウであるオジロシジミもいました。リュウキュウムラサキも、時々見かけましたが数は少なかったです。ここでは、チョウは期待できそうもありません。トンボは、チョウトンボやシオカラトンボの仲間などが飛んでいました。
 サラメアは、山の森林に入るまでの道や渓流沿いに、チョウやトンボが多い訳ではありませんがまあまあいます。ビルダタテハモドキ、オオカバマダラ、そしてすばしっこいヒメオオルリアゲハが翅をきらきら燦めかせながらすり抜けてゆきます。リュウキュウムラサキやヘルキタルリマダラもちらほら翔んでいます。アカテスイシゲケチョウもたまに空を滑空しています。山には入ってゆくと、ランタナの花にゲロンタイマイやアンドロマッカホソチョウがやってきています。?ギンヤンマ、ミナミトンボやヤマトンボ?の仲間が飛んでいます。森林の中に入ってゆくと、イリオネウスアゲハ、トュリオルスルリマダラ、小さなプミラアサギマダラ、そしてカザリシロチョウの仲間では一番気に入っているエリプシスカザリシロチョウが木々の間を縫うように翔んでいました。平らな頂上には、たまにシジミチョウが上昇してくるだけで、殆どチョウの姿が見当たりません。
 セミが3〜4種類啼いています。山の登り口辺りで小さなセミが小枝で啼いていました。クサゼミよりもスリムで、小さなセミです。何とも可愛らしいことでしょう。
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