よみ人しらず
ささがにのそらに巣かける糸よりも心細しやたえぬとおもへば
返し よみ人しらず
風ふけばたえぬと見ゆる蜘蛛の囲も又かきつかでやむとやはきく
よみ人しらず
名にたちて伏見の里といふことは紅葉を床に敷けばなりけり
ひとしきこのみこ
我も思ふ人も忘るな有磯海の浦吹く風のやむ時もなく
山田法師
あしひきの山したとよみなく鳥もわがことたえす物思ふらめや
よみ人しらず
今はとてあきはてられし身なれどもきりたち人をえやは忘るる
兼輔朝臣
思ひいでてきつるもしるくもみぢ葉の色は昔にかはらざりけり
坂上是則
峰高み行きても見べきもみち葉をわがゐながらもかざしつるかな
よみ人しらず
まつ人はきぬときけどもあらたまの年のみ越ゆるあふさかの関