和歌と俳句

五十嵐播水

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盗み見る妻の日記やシクラメン

春雨や温泉宿の廊下縦横に

春雨や煙のひまの海地獄

ひそやかに地獄の岸の菫かな

春の夜や喫煙室の外は雨

そと海の東風の大濤あるばかり

鶯や雨となりたる下山路

忘れめや日向の奥の春の雷

春雨や古き廊下の朽つるまま

春雨や桑のしもとのうすみどり

鶯や天岩戸の上あたり

おが玉の花散るもとの浄め水

高原や四方の春山とこしなへ

芝に落つ神の椿に目をとどむ