めでたき人のかずにも入む老のくれ
水寒く寝入りかねたるかもめかな
瓶破るるよるの氷の寐覚哉
はつゆきや幸庵にまかりある
初雪や水仙のはのたはむまで
花皆枯て哀をこぼす草の種
月白き師走は子路が寝覚哉
酒のめばいとど寐られぬ夜の雪
きみ火をたけよき物見せん雪まろげ
年の市線香買に出ばやな
月雪とのさばりけらしとしの昏
旅人と我名よばれん初しぐれ
京まではまだ半空や雪の雲
寒けれど二人寐る夜ぞ頼もしき
ごを焼て手拭あぶる寒さ哉
冬の日や馬上に氷る影法師
ゆきや砂むまより落よ酒の酔
鷹一つ見付てうれしいらご崎
夢よりも現の鷹ぞ頼母しき
さればこそあれたきままの霜の宿
麦はえてよき隠家や畠村
梅つばき早咲ほめむ保美の里
先祝へ梅を心の冬籠り