和歌と俳句

榎本其角

越後屋に衣さく音や更衣

青簾いづれの御所の賀茂詣

卯の花やいづれの御所の賀茂詣

夏酔や暁ごとの柄杓水

涼しさや帆に船頭のちらしがみ

夏の月蚊を疵にして五百両

帆をかふる鯛のさはきや薫る風

夕立に独活の葉広き匂哉

夕立や法華かけ込あみだ堂

夕立や田を三囲りの神ならば

何を音にすぽん鳴らん五月闇

蝙蝠宇治の晒にうす曇り

浴衣着て瓜買ひに行く袖もがな

身にからむ単羽織もうき世哉

夜着を着てあるいて見たり土用干

水うてや蝉も雀もぬるる程

うすものの風情日に張る

蚊遣火に蚊屋つる方ぞ老独

沓作り藁打宵の蚊遣

夕すずみよくぞ男に生れけり



宗鑑 貞徳 季吟 宗因 来山 言水 才麿 鬼貫 芭蕉 素堂 嵐雪 去来 丈草 凡兆 史邦 杉風 荷兮 曾良 路通 越人 土芳 野坡 支考 許六 浪化 惟然 北枝 涼菟 千代女 也有 蕪村 召波 暁台 白雄 太祇 几董 青蘿 一茶