元日やふとしく立てる枯榎
はつ空にうかべる雲のめでたさよ
年々歳々花相似たり初芝居
歳々年々人同じからず初芝居
貧乏も師匠ゆづりや小豆粥
しろきものおちてきたりぬ去年今年
元日のつぶやき寒しオルゴール
三ヶ日わざとよけたる年賀かな
ひそと来てひそと去りたる礼者かな
とぢ絲のいろわかくさやはつ暦
七十のいのちあたらしはつ暦
輪かざりやなまじやみたる三ヶ日
初日記いのちかなしとしるしけり
何くれとなきしんせつやなづな粥
初場所やむかし大砲萬右衛門
年々の酔ひどれ礼者待つほどに
たそがれの雪の礼者となりにけり
萬歳や年のはじめの夕まぐれ
書初や平仮名一人一字づつ
酔ふほどに十日戎のはなしなど
まゆ玉やともれば慕ふおのが影
まゆ玉のしだれのかげにひそむ神