侘人の虱尽して花ごろも
いで花に君糧包め我は酒
哀れなる痩地の麦や花の道
材木の上にあらしや山桜
須磨寺のめしのけぶりや山ざくら
西陣や花に夫婦のにしめもの
花踏て戻る公卿の草履かな
その寺の名はわすれたり糸ざくら
遅桜験たる聖住おはす
山吹やいはでめでたき壬生ねぶつ
乗物で優婆夷も来るや御身拭
北面の御堂かしこし御影供
石見のや月も朧の人丸忌
やぶ入の枕うれしき姉妹
養父入や行燈の下の物語
折ばちる八重山吹の盛かな
山ぶきや雨水ひかぬ地のひくみ
宵月や苗代水の細き音
松遠し苗代水に日の当る
春の夜や足洗はする奈良泊
春の夜もかたぶく月や連哥町
文ぬれしことはりいふや春のあめ
春雨や財布ぬらして節句前
はるさめや柳の雫梅の塵