輪番にさびしき僧やびはの花
こがらしや滝吹わけて岩の肩
皃見せや伏見くらまの夜の旅
顔みせや空だきもの ゝ舟一片
毛を立て驚く鴨の眠かな
鴨の毛や笊打た ゝく軒の水
かたよりて島根の鴛の夕かな
何を釣沖の小舟ぞ笠の雪
袖を出る香炉も雪の鵆哉
都辺や坂に足駄の雪月夜
村人に雪の見所習らひけり
霙して海老吹寄る汀かな
冬がれの里を見おろす峠かな
家遠し枯木のもとの夕けぶり
伯楽が鍼に血を見る冬野哉
枯野して松二もとやむかし道
上京の湯どのに続く枯野哉
炭うりや京に七ツの這入口
うづみ火に我夜計るや枕上
おのおのの埋火抱て継句かな
思ふ事戸に書れたり冬篭
雉子一羽諸生二人の冬ごもり
何なりと薄鍋かけん冬座敷
水仙や室町殿の五間床
水仙や薬の御園守あたり