七夕やおしろい匂ふ古娘
労咳の姉の臥床や星祭
梶の葉の墨のかをりのきこえける
梶の葉に書く歌おほき古娘
雨ふりて梶の葉のうた消えにけり
施餓鬼舟餓鬼の擡ぐる浪に乗り
古りにける一筋町の門火かな
かんばせの汗うつくしき祭かな
はやばやと更けゐる貰祭かな
蘭湯を出て客に会ふ主かな
夏籠や畳にこぼすひとりごと
描き倦む末流の徒や光琳忌
断髪のゑりあし青し業平忌
似顔絵の団扇ばかりや冷奴
香水の霧かんばしくたちまよふ
夏氷掻くや白雪にはかなる
氷水蜑のうなゐと膝を並め
金色の鳳梨の透くジエリイかな
ちらちらと葉の出そめたる釣荵
白服に煤をおそれて勤めけり
肌ぬぎやをとめは乳をそびえしむ
肌ぬぎやをとめの乳はさむげなる
令嬢の鼻がしらより日焼かな
たわやめの水着の外の手足かな