太宰大弐実政
はるかなる 君が御幸は 住吉の 松に花さく たびとこそみれ
前大納言光頼
住吉の 松しづえは 神さびて ゆふしでかくる おきつ白波
鎌倉右大臣実朝
ゆくすゑも かぎりはしらず 住吉の 松にいくよの 年かへぬらむ
建保三年五首歌合に 松経年 後鳥羽院御製
かたそぎの 行きあひの霜の いくかへり 契か結ぶ 住吉の松
後法性寺入道関白家百首歌に 宜秋門院丹後
神代より うゑはしめけむ 住吉の 松は千歳や かぎらざるらむ
権大僧都珍覚
跡たるる 神やうゑけむ 住吉の 松のみどりは かはる世もなし
前大納言為家
みしめひく 三輪の杉むら ふりにけり これや神代の しるしなるらむ
建長三年三月 熊野に御幸ありし時 前太政大臣実氏
年をへて また逢ひみける 契をも 結びや置きし 岩代の松
東三条院の四十賀屏風に 源道済
神代より 祝ひそめてし あしひきの 山の榊葉 色もかはらず
土御門院御製
榊とる やそうぢ人の 袖の上に 神代をかけて 残る月影
権大納言実雄
神垣や 三室の榊 ゆふかけて 祈る八千代も わが君のため
相模
年ふれど 色もかはらぬ 君が代を のどかにさして 祈る榊葉
日吉社によみて奉りける歌中に 後京極摂政前太政大臣良経
いにしへの 鶴の林に 散る花の 匂ひをよする 志賀の浦風
十禅師宮
このもとに 憂き世を照らす 光こそ 暗き道にも ありあけの月
前大僧正慈鎮
鷲の山 ありあけの月は めぐりきて わが立つ杣の 麓にぞすむ
入道親王尊快
やはらぐる 光にもまた 契るかな 闇路はれなむ あかつきの空
権少僧都良仙
やはらぐる 光はへだて あらじかし 西の雲居の 秋の夜の月
前大納言為家
老いらくの おやのみる世と 祈りこし わがあらましを 神やうけけむ
祝部成茂
捨て果てず 塵に交はる 影そはば 神も旅寝の 床や露けき
契り置きし 神代のことを 忘れずは 待つらむものを 志賀の唐崎
北野宮によみてたてまつりける 前大僧正慈鎮
くもるべき 憂き世のすゑを 照らしてや あらひと神は あまくだりけむ
前中納言定家
ちはやふる 神の北野に 跡たれて 後さへかかる ものや思はむ
元慶二年日本記竟宴 兵部卿本康親王
わたつ海 波かきわけて あらはれし たけうのみこと いく世へぬらむ
元慶六年日本記竟宴 思兼神 三統公忠
常世なる とりのこゑにて 岩戸とぢ 光なき世は あけはじめける
橘仲遠
とこ闇に あまてる神を 祈りてぞ 月日と共に 後はさかゆる
神楽歌
あしひきの 山をさかしみ ゆふつくる 榊の枝を 杖にきりつる
大ひえや をひえの杣に 宮木ひき いづれのぎきか 祝そめけむ