久しぶりの、海底系。しかも「玻璃」シリーズとは関係のない、独立した作品。始めた頃はどうなることかと内心とても不安だったのですが、今回は途中と後半と二カ所の大きな山場があったために、そこにたどり着くまでは!と必死で頑張りました。……ええ、何となくお分かりになりますでしょうか? そんな感じです。
ストーリーを考えるときには、いつも細切れです。たいていは一番の盛り上がりシーンから。そこを何度も何度も飽きることなく思い浮かべては楽しんでいると、次に書き出しが思いつきます。そうしたら、もう「発進!」で、あとは書きながら考えるという。どーにも行き当たりばったりな内幕ですね。
こういう思考をするのは「日本人っぽい」んだそうです。古くからの日本建築というのが、細部から作り始めていく手法なのだとか。たとえば飾り棚の扉から、とか。そしてだんだん組み合わせていくと、最後に大きなお屋敷が出来ていた、と。そういえば、後から継ぎ足す、とか普通の家でもありますね。
一方西洋建築は、全体の緻密な設計から入るそうです。こういうところにも民族性?みたいのが出てくるなんて面白いです。そうか〜、私って日本人だったんだな。
今回は「ものを創り出す」主人公たちの話でした。こうして物語を綴るのもかたちは違えどどこか似ていることですので、今回は日頃私が考えていることや悩んでいること、そう言うのを色々盛り込んでみました。ちょっと恥ずかしくもありましたが、共感してくださる方もいらして嬉しかったです。
主人公たちの方が私よりもずっと早くトンネルを抜けていってしまった感じで、今はひとりで置き去りになってしまったような寂しい気分でもあります。ずっと一緒に悩み苦しんできたのに、向こうはさっさとすっきりしちゃって! あ〜、羨ましすぎるっ。うう、自分のキャラと張り合っても仕方ないですけどね。
季紗は言いたいことはたくさんあるのに、無理して我慢しちゃって頭の中でぐるぐるしちゃうタイプですね。私はどちらかというと言いたいことはさっさと言っちゃう方なので、少し見習わなくちゃなとも思います。自分と少し違う性格の方が、憧れを持って書けていいかもですね。でも、想像力だけじゃついていけない部分が辛いですけど。
だんだんと近代化が進んでいる海底国、昔ながらの考え方が根強く残っていた南峰でもずいぶん目新しい生き方が容認されるようになってきました。そう考えるととても不思議な気分です。
それではまた、新しい作品の完結時にお目にかかれることを楽しみに、この辺で失礼します。
このたびも最後までのお付き合い、誠にありがとうございました!
2009年12月11日 『Powder Moon』管理人*Kara
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