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「花染めの指先」番外
…あとがき…

 

 

このたびも最後までのお付き合い、誠にありがとうございました。
いつものことですが、当初の予想よりも話が延びてしまい、なかなかゴールが見えずに戸惑いました。まあ、何しろ「彼女」が主役ですからねー、そう簡単にいくわけがありませんでしたが。

前作「花染めの指先」では才能があるからこその苦悩がテーマのひとつでした。いろいろ考えたり悩んだり想像したりしつつ(いえ、ほら……誰も彼もが目を見張るほどの才能なんて持ち合わせているはずもありませんから、必死だったわけです)どうやら決着を迎えたわけですが、その一方で始終「ここまで上手くいかない人間の方が大半なんだよ」という想いが胸の中にくすぶっていました。
代わりなんていくらでもいる存在、別にどうしても自分が選ばれる必要はない。そんな状況の中、どうしたら強く生きていけるのか。もしも「明日からはいらないから」と言われてしまったときに、どうやって自身を立て直していったらいいのか。それはとても難しい問題だと思います。たとえ、自分自身としてはもうこれ以上の力が出せないほどいっぱいいっぱいで頑張ったとしても、後ろから近づいてきた足音にあっという間に追い抜かれてしまうこともある。そして呆然と見送っているうちに、その背中はどんどん遠ざかって行くわけです。そんな自分をいくら嘆いたところで、どうなることでもありません。
ならば、一体どうしたらいいのか。
今回、はっきりとした答えを示せたとは思いません。私自身の中でも未だに堂々巡りの気持ちがあって、もしかしたら永遠にたどり着くことが出来ないかも知れない。うーん、難しいです。
「自分で自分を褒めてあげよう」「自分自身が認めてあげなかったら、他人からの評価を得るわけもない」とはよく言われる言葉です。いわゆる「自己容認」ということでしょうか。だけどなー、私自身はどうしても他人の評価が気になってしまうんですね。たったひとりでも「良かったよ」と言ってくださる方がいれば、それだけでホッと出来る。そして、逆も真なり、何気ないひとことで谷底に突き落とされることもあります。
だからせめて自分の口からはプラスの言葉を多く生み出したいなと思います。「ココが駄目じゃない」よりも「ココが良かったね」、たとえ希望通りに行かなかったときにもどこかひとつでもプラスな要素を見つけられたら最高なのですが……いやはや、これも難しい難しい。ヒトコト多すぎたと反省する毎日です。

話は大幅に作品からそれてしまった気もしますが、最後に麻未のとびきりの笑顔に出会えて本当に良かったと思います。彼女ならこの先もきっと逞しく生きていってくれるでしょう。

2010年3月22日 『Powder Moon』管理人*Kara

 

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