夢の途中 Side.B
お友達との合同誌「らぶ。」の予約特典としてお配りしていた小話の別視点になります
最初はこちらの話を出そうと思ってました。何か薄暗くなってきて視点を切り替えちゃったわけです
せっかく書きかけてこのままお蔵入りも何なので、出してきました
作中のふたりは「ななしさん」のまま。そんな感じでよろしくです
なお、Side.Aは公開期限を過ぎているためお見せできません
サイトを探してもどこにもありませんので、ご了承ください
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絶えず「不安」はそこに存在した。 気が付くと、この前彼女と会ってから一月以上経っている。 「卒業、おめでとう。今度ゆっくりお祝いするからね」 俺の卒業式当日にかかってきた短い電話で、彼女はすまなそうにそう言った。声を聞いているだけで、どんなにか恐縮しているかが想像できてしまう。確かに俺だって、彼女と直接会ってお祝いの言葉を聞きたいとは思った。だが物理的にそれが無理ならば仕方のないこと。あと1週間ほどで実習に一区切りが付くという言葉に「楽しみにしてるよ」と答えた。 恋愛も長く続けていれば、次第にそのかたちを変えていくとはよく言われることだ。彼女と知り合ってすでに4年以上が過ぎている。久しぶりに会う友達などには「え、まだ続いていたの?」と言われてしまうことも珍しくない。たぶんそれは、彼女の方も同じだと思う。 ―― 彼女よりも一足先に社会に出て行く俺。 だからといって、これからの道のりがすっきりと遠くまで見渡せるかというと微妙なところだ。この春から勤めるのは、かつて学生として浪人時代を過ごしその後はバイト講師として働いていた予備校。ちょうど欠員が出たと言うことで、あっという間に話が決まってしまった。他の仲間に比べたら何ともお気楽な顛末で、それだけに未だ実感が湧かないままである。 ◆◆◆ 「今日、これから会えるかな?」 その連絡もいきなりだった。さらさらと降り出した春の雨、俺は大学の構内を歩いていた。 「……何か、あったの?」 努めて明るく振る舞っている声。でも微かな震えを小さなスピーカーから感じ取っていた。 「ううん。――ごめん、会ったら話すから」 俺に心配を掛けまいと気丈に振る舞う彼女が、この上なく痛々しかった。いつもそう、彼女は俺に全ての感情をぶつけてくることなんてない。そしてそれは俺も同じ。もともとが言葉の少ないふたりだから、心に重いものを抱いたときはさらに無口になってゆく。 守りたいと思う気持ちが、逆に相手を傷つけることもある。それが分かっていても、全てをさらけ出すことが出来ない。どちらかが堰を切らなければ、いつまでもこんな風に平行線が続くのだろうか。でも、出来ない。ひとりきりであんなに頑張っている彼女を苦しめることなんて。 自分の背負った荷物はそのままに、さらに彼女の全てを抱え込む。そんな風にしても決して倒れることのない強い男になりたかった。 最初から分かっていた。彼女は俺にとって、あまりにも過ぎた存在だ。誰もが振り向くほどの美人で、その上頭も良くて。さらに性格も素直で頑張りや。そばにいるだけで、どきどきして胸がいっぱいになって、何も考えられなくなってしまう。言葉通りに夢心地のまま、すっかり長い時間を過ごしてしまった。 「大丈夫だよ、何も心配なんていらないから」 ―― そんな風にきっぱりと言い切ることが出来たなら、どんなにいいだろう。何があっても彼女を守り続けたい、ずっとそばにいたいと思う。だけど、……彼女の方はどうなのか。俺といて、本当に幸せになれるのだろうか。 彼女から指定されたのは、お馴染みの俺の部屋。お互いにそれぞれ都内の大学にいたのだから、もっと早い時間に落ち合える方法はいくらでもあった。だけど、あえてこの場所を選んだことが彼女の「答え」のような気がしてならない。先に辿り着いて、待つ時間が永遠と思えるくらい長く感じられた。 ぼんやりとカレンダーを見上げる。 確か、今週から新年度にまたがる現地実習が始まるとか言ってなかったっけ。どこかの牧場に泊まり込んで半月は戻れないと言われていた。日付ははっきりと覚えてはいなかったが、かなりのハードスケジュールだなと思った覚えがある。だから間違いない。 忙しいスケジュールをさらにキツキツにしてまで無理をする彼女じゃなかったはず。ひとつひとつの歯車の小さな軋みが、積もり積もって俺の中で幾重にも折り重なる不協和音を奏でていた。
「久しぶり、どうぞ上がって?」 遠慮がちに押されるインターフォンの合図に、スピーカー越しではなくドアを開けて直接声をかけた。そこに立っていたのは透き通った白い花のような彼女。一段上に立つ俺を見上げる瞳は心なしか光が少なくて、弱々しい印象がある。そのことにまた胸の奥がチクリと痛んだ。 ――やっぱり、何かあったのかな。 そんな核心が心をかすめる。だけどすぐには湧き上がった不安を言葉に出すことが出来なかった。絶えずそばにいることが出来るわけない。どちらかが無理をすればそれは可能であるけれど、お互いの生活を優先する毎日ではそれは不可能だと言わなくてはならないだろう。 「うん、急に無理を言ってごめんね。……その、卒業おめでとう」 まだ靴も脱がないうちに、彼女は僕の方へと細長い紙袋を差し出してくる。 遠慮がちに手渡された中身は予想通りにネクタイ。それから底の方にもうひとつ小さな箱があって、そっちはネクタイピンのようだ。就活用に何枚か新調したスーツのどれにもぴったり似合いそうな控えめな色合い。相変わらずセンスがいいなと思う。きっと一生懸命選んでくれたんだろうな、そうやって考えると嬉しかった。 「ありがとう、大切に使わせてもらうよ。でも……もしかして、このために?」 わずかな祈りは、小さくかぶりを振る彼女の仕草であっけなく打ち砕かれる。俺は受け取ったばかりのプレゼントを台所のテーブルに置くと、お茶の支度を始めた。食器棚からカップを出す手が震えているのが自分でも分かる。何かをして気を紛らわせていなくては、やりきれない気分だ。 「あ……いいよ。そんな、気を遣わなくて……」 かなり乱暴に音を立てていたんだと思う。ようやく彼女が慌てた感じでやってきた。さらさらと真っ直ぐな黒髪が、いつも通りに眩しく輝いている。それでも、やっぱりどこか変だ。少しやつれたみたいだな、前にあった時よりも輪郭がほっそりしてる。 「……」 思わず握りしめた手首にどきりとする。こんなに骨ばっていたっけ、そんなはずはない。柔らかい春のニットスーツで包んだ身体、抱きしめれば、さらにその痛々しさが身をもって感じられた。 「その……、いいかな?」 彼女は少しも抵抗しなかった。 だけど、……だからといって積極的にって感じでもないのだけど。奥の部屋のベッドまで運んだあと、覆い被さるようにキスをする。そのときに彼女は、今日初めて見せる強さで俺の首に腕を回した。ゆっくりと招き入れられる。もう止まることは出来なかった。
◆◆◆
「あ……んっ!」 ぴくりと反応して、鼻から抜けていく吐息。密やかに潤いながら待っていた泉に指を突き立てて、奥の方まで探っていく。幾重にも重なり合う肉襞がいつもと変わらずに優しく俺を迎え入れてくれた。 「まだだよ、……もっと我を忘れて狂ってくれなかったら許さない。もう、何も考えないで。今は俺だけを感じて……」 いつもならば官能の世界にいざなう呪文も、今日はどこか必死の想いがあった。こんな風に全てを取り去って産まれたままの姿で身体を重ねても、また彼女の内側に躊躇いが残っている。思い切り乱れて欲しいのに、彼女の本能がそれを押しとどめているのだ。 「やっ、……そんな。駄目っ……このままだと、私だけ……っ……!」 必死に身体を強ばらせて堪えようと試みているが、それを突き崩す術はすでに知り尽くしている。何度求めても、決して涸れることのない熱い想い。こんなことで彼女の心を繋ぎ止められるとはさすがに思わないが、それでも。 「お願い、駄目っ……! もう許して、こんな……半端なの、嫌なのっ……」 その先は、もう声にならなかった。白いシーツの海、広がって流れ落ちていく髪、ほっそりした腕がそのあとを追ってゆく。 「どうして、そんなこと言うの? 君の中はとても喜んでいるのに。俺の指に吸い付いて、もっともっと欲しいと言ってるよ。何で嫌がるのか、分からないな。君はいつからそんな駄々っ子になったんだろう……?」 また大きく身体をのけぞらせて、彼女は悲しげに喘ぐ。恨みがましく俺を見つめるその瞳からこぼれたしずくが、頬を流れ落ちていった。 綺麗だ、本当に……どうしてこんなに心を奪われる美しさなんだろう。彼女と会うたびに打ちのめされる。どんなに自分が愚かな存在だと分かっていても、どうしても諦めきれない。例え嫌がられても、無理矢理にでもすがりついてしまいそうだ。 「……お願い……」 かすれる声が俺の胸を抱きしめる。求められれば従うしかない、それは初めから承知していた。それでも毎度のように必死で足掻いて、最後は丸め込まれてしまう。 「……分かったよ」 仕方なく折れる振りをしたが、もう俺自身も限界だった。一度ぐっと堪えてから、素早くその部分に準備をする。熱く張りつめたそこは、俺の気持ちを全て集結したように彼女を求めていた。 「好きだよ、好きだ……本当に……っ!」 もうこんなことはやめて欲しい。ひとりで不安になどさせたくない。どうしたらいいんだ、今までだって俺はいつも必死に頑張ってきた。彼女と知り合って、いつの間にか恋人同士になって。信じられない幸運を手に入れたと思ったのも束の間、その後は絶えず何かに追われる心地を味わい続けていた。 「あんっ、……ああっ、……ぁはあっ……」 重なり合うふたつの鼓動、求め合う甘い声。もしも、この瞬間に世界が終わるなら、それも幸せだと思う。こんな風に繋がり合ったまま永遠を手に入れられることが出来るなら、その先に一体何を望むだろう。 「そろそろ……イクから……、一緒にっ……!」 その瞬間ですら、ふたりは互いの感覚をすり替えることは出来ない。同じ場所に行き着こうと必死に足掻くだけだ。それでもやっぱり彼女が好きだ、とても離れることなんて出来ない。だけど……もしも彼女の方はそれを望んでいなかったら? 永遠を信じてもらうには、まだまだ俺の存在は小さすぎる。 薄い膜を隔てて、全ての想いを吐き出す。そのあと、彼女をぎゅっと抱きしめた。 放心したままなのかそれとも何かに囚われているのか。腕の中の細い身体は震えながら、いつまでもいつまでもすすり泣いていた。
「ごめん、……大丈夫だった?」 最後はかなり辛そうだった。でもそれを分かっていても止まることが出来なかったんだ。 元の通りに服を着た彼女は、申し訳なさそうに訪ねる俺に静かに微笑んでくれた。消えそうなその優しさがしっとりと胸に落ちてくる。震える唇が何度も何度も空を切って、そのたびに俺からいったん目をそらす。だけど、ようやく思い切ったのだろう。彼女は隣に座る俺のシャツの裾をぎゅっと握りしめた。 「ずっと、言わなくちゃいけなかったことがあるの。お願いだから、驚かないで。……って言っても無理かな?」 いつもと同じように静かな口調だけど、必死で絞り出した声なんだってことは分かる。震える握り拳にそっと手を添えると、彼女の喉がこくりと音を立てた。 「その……あのね。……妊娠、しちゃったみたいなんだけど」 その瞬間に。 とにかく頭の中が真っ白になっていたことだけは確かだ。すぐさま、大声で何か叫んだ気もするけど、情けないことに全く覚えていない。とにかく……何か、そんなこと全然意識してなかったから。あまりの展開に腰が抜けるかと思った。 ……そうか、だからこんなに。そりゃ、無理ないな、当然だよ。俺なら「どひゃー」と驚いてそれで済むけど、彼女の方はそうはいかない。だって、……大学だってまだ残ってて、これからさらに大変だったりするのに。 でも、……妊娠って。 その、子供が出来たんだよな、遠くない未来に産まれてきたりするんだよな。まあ、やることはやってたし、避妊のことはそれなりにきちんとは考えてたけど……たまに直前になってから付けたこともあったしな。そのまま中で出すのはさすがにしてないけど、だからって「絶対大丈夫」って言い切れるものじゃない。 「うーん……そうかあ。ごめん、それでこの頃沈んでたのか。そりゃそうだよな、君にとっては大問題なんだから」 事実は事実、認めなくちゃならないのは分かってる。だけど俺の口から出てきたのは、そんな間抜けなひとことだった。 そのあとまた、沈黙が流れる。 一体何を考えてるんだろう、やっぱ困ってるんだろうな。そう思うけど、何と言ってフォローしたらいいのかも分からない。ああ、駄目だ。こんな状況、今までに一度も想像したことがなかった。 「あの……聞いていいかな?」 再び口火を切ったのは彼女の方。震える声が、俺の胸まで届く。 「確かに、私にとっては大問題なんだけど。……ってことは、あなたにとってはそうじゃないの?」 ――え、なんだそれ。 悪いけど、正直そう思った。ああ、そうか。何か煮え切らない態度をしてるなとか思われたのかな。ごめん、俺は逃げる気とか全然なかったけど、彼女から見たらまだまだ心許なかったのかも知れない。 でもさ、仕方ないんだよ。だって、ついさっきまではふたりの終焉ばっかり考えていたんだから。それが、その。この急展開には頭が全くついていかない。でも、何か言わなくては。まとまらないけど、何か言わないと彼女をもっと不安にさせてしまいそうだ。 「ええと、……確かに大問題と言えば大問題だけど。でも、実際のところ妊娠するのも出産するのも君だから、それに比べたらなんてことないと思うよ? 俺はフォローすることしか出来ないからね」 うん、心の底からそう思う。飾りっ気もなく情けない限りだけど、思ったままを口にした。 そしたらその瞬間に、ばーっと想いが一気に溢れてくる。これって、……もしかして、その? ええと、そうなんだよな。でもでも、待てよ。まだ、彼女の気持ちが分からない。それを確認してからじゃないと……うん。 「……」 彼女はもうこれ以上は見開けないと言うくらい大きく目を見開いて、そして俺をじーっと見つめた。 驚きのあまりに一度は振りほどいてしまった手を、もう一度しっかりと握りしめる。俺の想いを全て伝えたくて。 「あの、赤ちゃん産んでいいの……?」 握り返してくる彼女の力も俺に負けないくらい強かった。今ふたりで腕相撲をしたら、一体どちらが勝つのか不安だなとか馬鹿なことを考えてしまう。でも、どうしてそんな当たり前のことを聞くんだろう。そんなの初めから決まってるのに。 「え? 産んじゃいけないなんて、ひとことも言ってないじゃない。ちょっと予定は早まったけど、嬉しいことには変わりないよ。……君だって、そうでしょう?」 本当は、不安な気持ちも大きいけどね。それは絶対に伝えちゃならないと思った。 彼女ひとりも支えきれないほどちっぽけな俺だと思っていたのに、これからは彼女が育む新しい命まで一緒に守っていかなくちゃならないんだ。そう思ったら、やっぱどうしようかなと思ってしまう。だけど、ここはもう踏ん張るしかない。 震える身体をしっかりと抱きしめる。でも、途中できつすぎるかなとちょっと腕をゆるめた。そしたら彼女の方から「それじゃ嫌だよ」って言いたげにすり寄ってくる。 「もう……大丈夫だよ。何も、心配しないで」 実際のところ、達観できるような状況ではないけど。それでも目の前にどんな障害があったとしても乗り越えたいと思う。もちろん、彼女と一緒に。どちらかが駄目になることは絶対ないように、きちんとふたり分支えていくんだ。 「うん、……ありがとう」 お礼を言わなくちゃならないのは、むしろ俺の方だと思う。 彼女と出会って、一緒に歩いてきて。俺はそれまでの人生じゃ考えられないほど成長したと思う。そりゃ、頑張ってる人は他にもたくさんいるし「お前なんかたいしたこともないよ」って言われてしまうかも知れない。 だけど、……それでも良かったと思ってる。そしてきっと、これからも続けていける。
◆◆◆
「はやくはやく、おくれちゃうよーっ!」 おそろいのひよこ色のスーツとワンピース。いつになくドレスアップした子供たちが玄関で騒いでいる。 「ちょっと、待ってくれよ。何か……ネクタイが上手くいかなくて」 初めて「パパ」と呼ばれたときには、ものすごく感動したはずなんだけどな。 今になってはステレオノイズなふたりが、とにかくうるさくてうるさくて閉口してる。でもこういうのもきっと「溢れるくらいの幸せ」って言うんだと思う。 「ほらほら、そんなに急がせないの。まだ時間はたっぷりありますよ」 車を車庫から出し終えたのだろう、彼女がドアを開けて戻ってくる。こちらも子供たちと同系色の綺麗なワンピース。レモンシャーベット色が白い肌にとてもよく似合っている。 「あら、どうしちゃったの。何だか珍しくもたついちゃってるわね? やっぱり緊張してるのかな、でもただの乾杯の挨拶でしょ?」 くすくすと笑いながら、パンプスを脱いで部屋までやってくる。そして優しい手つきで俺のネクタイを綺麗に結び直してくれた。
今日は彼女の2歳年下の弟君の結婚式だ。 なかなかにやんちゃ坊主な彼は大学進学から就職までかなり周囲を慌てさせてきたものだが、とうとう年貢の納め時ってところかな。 気が付いたら、俺は親戚代表として乾杯の音頭を取る羽目になっていた。 「だって、いつも大勢の学生さんを前に講義をしてるんでしょ? 慣れてるんだから、大丈夫よ」 ふたつ返事でOKしたと事後報告した彼女はにこにこ笑顔でそう言った。 そう言う訳じゃないんだけどなあ、もっと適役がいると思うんだけど。ほら、お義姉さんのダンナさん。あの人だったら、大舞台でも絶対に動じないはずだ。そう言えば、中学高校は生徒会長をやったとか言ってたじゃないか。そうだよ、そう。何で、あっちに頼まないかなあ……。
「ねええっ、ぱぱとままっ! もういいでしょ、はやくいこうよ〜!」 「らぶらぶはおしまい! つづきはかえってからにして!」 ぱっちん留めの靴と編み上げのひも靴では自分で脱ぐことは出来ないようだ。ふたつの足踏みの音がどたどたと大きく鳴り響く。 今日はウチの双子よりも1年遅れて産まれたお義姉さんとこのチビちゃんも同席する。久しぶりに会えるから、ふたりはとても楽しみにしているんだ。 「さ、行きましょうか」 もしかしたら、彼女も俺と同じことを考えていたのかな。ドアまで進んで振り向いた目が笑ってる。 「うん、そうだね。……ホント、いい天気で良かった」
人生は順風満帆なばかりじゃないけど、誰よりも大切な人と手を取り合って進めばきっと乗り越えていける。そう、ちょうど台風一過で晴れ渡った今日の青空みたいにね。だから大丈夫、きっと大丈夫。
信じる心をしっかりと胸に抱いて、俺たちの旅は続いていく。 おしまい (060512)
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