◇あとがきのコーナー◇

キツネの挨拶

『ユウ』はつかみどころのない人間だと思います。

彼女は「誰も嫌いになれない」と言いましたが、逆を返せば「誰も好きになれない」になってしまうかも知れない。「嫌いな人を作らない」というのは「自分が嫌われたくない」の表れ。優しいようでいて、実はすごくエゴだと言えるんじゃないかな。

自分のことを「大好きだよ」と言ってくれる人、「いないと寂しい」と言ってくれる人を求めている。でも待っているだけでは幸せはいつまでも手に入らない。逃げてばかりじゃ、同じことの繰り返しになる。感情を押し殺していたら、いつか考えることまで忘れてしまう。時には勇気を持って体当たりで突き進んでいかないと駄目なのかも。「怖い」からと逃げてしまっては、何も見つからない。

極度の人見知りで、とにかく新しい環境が怖くて、対人関係ではいつもいつもとても緊張していました。多分、今もそうなんだと思う。いっぺんにたくさんの人と会った次の日は体調を崩すから。その上「陰気な奴」と思われるのも嫌だから、妙に明るく振る舞ったりするからなお疲れる。自然体で行けたらいいのになといつも思うんですが……。

「自分を好きにならなければ、誰も好きになれない」というのは、「自分探し」の本などでよく言われることですが、難しいですよね、本当に。

ひとりっきりでは生きていけないから、やはり誰かと接することで、何かに気づいていく。まだまだ半人前で、人付き合いの中では学ぶところだらけ。私にはない「何か」を見つけることが出来るから、怖いなと思いつつも続けてしまうんですね。
このお話を書き始めるときに心の中に浮かんだ疑問は、残念から答えが出ていないのですが、また改めて探しに出かけたいなと思ってます。

もしかしたら『コウ』は何かを見つけたのかな……? ちょっと、羨ましいかも。

 

2004.03.25  Powder Moon 管理人/Kara(から)