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ゲームレビュー

 
 
 
『痕 〜きずあと〜 リニューアル   機種:Win98/Me/2000/XP  開発:Leaf
 
あらすじ 別居中だった主人公の父親の突然の事故死から早一ヶ月。 

せめて四十九日の間くらいはと、長い大学の夏休みの終わり、主人公はかねてから 
予定していた旅行を取りやめ、田舎にある父親の実家へと訪れた。 

幼い頃に両親を亡くし、主人公の父親に扶養されていた従姉妹たちも、悲しみに 
明け暮れていた日々に決別し、徐々に明るい笑顔を取り戻しつつあった。 

心に深い痕を残したまま、主人公を優しく迎え入れてくれる彼女たち。 
だが事件は、そんな彼女たちの心を、冷たく非情に引き裂いていった…。 
 
(c)Leaf

シナリオ 注:旧痕との比較が多い点をご容赦ください。 

旧痕をプレイした事のある人に… 
シナリオの流れは、旧痕と、ほぼ同じです。 
心理描写とか細かい言いまわしとかは、変っており読みやすくなってます。 
あと、いろんな設定とかも時代に合った物になってます。 
しかし、旧痕の良さを壊す物ではありません。 あの独特の雰囲気はそのままです。
シナリオ全てを見直した事により整合性も上がり、より精錬された物語となりました。

旧痕をプレイして無い人へ… 
その土地に伝わる、鬼の伝承と柏木一族の悲劇を軸に物語は進行します。 
今のゲームと比べると、プレイ期間が非常に短いです。 
なんせ、エンディング含めても3日… 実質のプレイ期間は1日です。 

しかし、その内容が桁違いに濃く、ゲーム世界に引きこまれます。 

特筆すべきは、シナリオの良さでしょう。 
恐怖、畏怖、悲哀、安らぎを実に巧妙に描写しております。 

そして、匂立つような色香のある文体でプレイヤーを酔わせます。 
まぁ 元が、96年夏に出たゲームのリニューアルですし若干古めかしさはありますが、 
完全なノベルタイプのシナリオ(ゲーム)としては、これを越えた物は少ないです。 
それほど、シナリオの完成度が高く感動できる作品です。 

オススメのシナリオは、千鶴と楓です。 
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余談:ゲーム内の演出の話ですが、音声の無いノベルゲームなのにBGMの音量が、 
じっくり読ませたい個所で下がります。  無音個所を作る演出はノベルゲームでも、 
当たり前になってますが、BGMの音量下げるのは珍しいです。

キャラクター/CG 柏木 千鶴:主人公の憧れの人で、従姉妹にあたる女性。 四姉妹の長女。 
つややかな長い黒髪で、仕種や性格も可愛らしい、とても穏和な女性。 

柏木 梓:四姉妹の次女。 勝ち気で負けず嫌い、責任感の強いしっかり者。 
だが、短気・単純・暴力的の三要素を持ち、主人公と他愛ないけんかを繰り返す。 

柏木 楓:四姉妹の三女。 物腰の静かな大人しい娘。 人と接するのが苦手なのか、 
主人公が訪れてからというもの、ほとんど言葉を交わそうとしない。 

柏木 初音:四姉妹の四女。 主人公を「お兄ちゃん」と慕っており、おっとり穏やか、 
優しく控えめ、そして甘えん坊と、まるで理想の妹を絵に描いたような女の子。 

その他:サブキャラのえちぃシーンは存在しますがエンディングはありません。 

ハッキリ言って、旧痕のキャラの方が趣もあり、絶対に良いです。 
いくら旧痕の雰囲気を残したキャラ絵とは言え、納得できません。 
痕Rの立ちキャラは、撫肩過ぎて変です。 その影響でバスト位置が下がってます。 
イベントCGは良い感じなので、立ちキャラを何とかすれば評価も上がるのに… 

キャラ絵の好みを除けば、CG全体の出来は良い方だと思います。 
先程酷評した立ちキャラも、絵単体として見れば出来が悪いわけでもないし… 
あと、背景も良い感じの絵になってます。 ゲームの雰囲気にピッタリです。 
背景に関しては、旧痕と比べても文句はありません。 

あと、完全ノベルタイプのゲームですからCG枚数は少ないです。 
元々、CG枚数の少なさを文章でカバーするの事が、ノベルゲームの醍醐味ですし、 
ノベルゲームが生まれた所以でもありますが、やっぱCGは多い方が絶対良いです。 
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余談:旧痕ファンの私から見て、楓と初音の立ちキャラは何とか我慢の範中です。

音楽 一言、傑作です。 音使い、曲風どれを取っても文句の付けようがありません。 
これほどゲーム世界感にぴったりした曲がそろってる作品は多くありません。 

主題歌等ボーカル曲は無し。 BGMは、全25曲です。 

ちなみに痕Rでは、旧痕の曲を若干手直しした物を使用してます。 
痕の曲は当時のレベルとしては群を抜いてました。 今聴いても抜群の出来なので、 
あたりまえではありますが… 

つくづく音作りはセンスだってことを思い知らされます。 
今の良い機材使っていても、ヘタレ曲しか作れないサウンドマン結構居ますし… 
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余談:旧痕は音楽がCD-DA再生でしたが、痕Rはダイレクトサウンド(PCM)です。

システム オーソドックスなノベルタイプゲームで、選択肢を選びゲームが進行します。 
また、メッセージウインドは無しで、画面上に文章が表示されるタイプです。 

セーブ&ロード20箇所(何処でも可) 文字スピード設定 BGM/SEボリューム設定 
BGM音質設定  画面効果設定  メッセージスキップ(既読判定ON/OFFあり) 
読返し機能あり  マウスホイールボタンにメッセージスキッブ割当可 

おまけは、CG観覧 BGM鑑賞 シーン鑑賞 おまけシナリオ5本です。

総評 シナリオとBGMの出来は絶品です。 

っが!ヒロインの絵柄に癖があるのと、リニューアル作品にも関わらず定価8800円は 
皆さんにオススメするのを躊躇ってしまいます。 

シナリオ/BGM重視で、絵柄は余り気にしない方とか、旧痕との比較をされたい方、 
それと高橋龍也氏の書くシナリオの好きな方にはオススメ致します。 
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余談:安価ならもっと話題にもなり、売れたんでしょうがね! 
まぁ 絵がダメって人は、安くても買わないと思いますが…

 

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