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ゲームレビュー

 
 
 
TALK to TALK   機種:Win98/Me/2000  開発:Clear
 
あらすじ カレはヒトのカタチをしていた。

『システム』と呼ばれる機関で遺伝子操作によって造られた存在。
それがカレだった。

カレは感情というものが認識できなかった。
カレの認識しているもの。

快・不快……ただそれだけの区分。
だが、確かにカレの内面にソレは確かにあった。

『システム』はカレをとある学校に編入させる。
試験体の一人として造られたカレのテストのためだった。
そこでカレは多くの人と出会い、いくつもの時間を共有しはじめる。
そして、少しずつカレは気づきはじめる。

自分の中に確かに存在するなにかに……。

(c)Clear

シナリオ T3の主人公(プレイヤー)が人造人間で、感情の認識が出来ない設定ですから
「主人公にプレイヤーが感情移入出来ないのでは?」と、思われるかも知れませんが、
実際プレイすると、まったく違和感は無く楽しくプレイ出来ました。

感情認識不足の主人公を、ヒロイン等のキャラが、主人公を大ボケ君と思いこみ、
ストーリーは進行して行きます。

SF的設定のシナリオでありながら、それを逆手にとって、人間の定義とは何か、
人と人の繋がりとは何かを考えさせるシナリオです。

はっきり言ってストーリーは、SF物ではありません。

シナリオの出来としましては、、ゆっくりとしたペース、しっとりした雰囲気が心地良く、
美少女ゲームとしては、地味ではありますが、日常の会話も楽しく、クライマックスでは
無理に涙腺を刺激せず、それでいて心に届く秀作です。

欠点は、シナリオの流れが中盤過ぎまで1本道でしたから、みさき/素直ルートと
冴子/一瑠/樹里のルートの2本に分けた方が、より楽しめたと思います。

あと、ヒロイン全員が学生でしたから世界が限定されましたね!

Clearさんの前作品『Moon Light』『Wing&wind』と繋がりがあり、プレイされた方には
ニヤリとさせる場面も有ります。

キャラクター/CG 法月 みさき:主人公より一学年下のクラスの少女。   試験体として編入してきた
主人公とは当然初対面なのだが、どこかで見た面影を主人公の中に見つける。

白倉 素直:主人公と同じクラスの少女。   あまり、話すのが得意ではなく、人との
距離を置きたがる。  廃校になった学校からの転入組の一人。

大竹 冴子:主人公と同じクラスに所属する少女。  脳天気で明るい性格。
日曜日には繁華街などで、学校には内緒でストリートミュージシャンをやっている。

川瀬 一瑠:主人公と同じクラスに所属する少女。 教師、学生を問わず人間全体に
不信感を抱いていて、人嫌いを標榜する。

瓜生 樹里:主人公より一学年上のクラスに所属する先輩。   絵を描くのが好きで、
スケッチブックを常に携えている。

キャラクター全体のイメージとしまして、おとなしい感じの娘が多いです。
キャピキャピと、口喧しいキャラは存在しません。
このキャラ設定が、しっとりした雰囲気を際立たせています。

CGですが、若干立ちキャラが小さい事も影響して、線が荒く感じます。

Rけんさんの原画は、線が細い、やわらかな絵柄なので、CGの解像度が低いと
どうしても線が荒く見えてしまいますから、例えインストールサイズが大きくなっても、
高解像度CGにして欲しかったです。   1枚絵に関しては、問題ありません。

背景は、モブキャラがヒロインと絵柄が違う為、ちょっと違和感あります。

キャラの性格付けは、一見押しが弱そうですが、プレイすると萌えるキャラです。
声優さんもキャライメージに良く合っています。

音楽 全27曲 OP/EDがボーカルありです。 ボーカルは佐藤裕美さまです。
純愛系のゲームですが、OPの曲はサイバー系の曲風です。
ボーカルの乗せ方も一工夫あります。 ED曲も中々良い曲です。

BGMの出来は、平均的な所ですが、アコースティックギターを使った曲は良いです。
静かな曲は、ピアノとかオルゴールを良く使いますが、ギターの音色は哀愁があり
心に響きます。 最近のゲームBGMの音使いはワンパターンですから、アレンジを
重要視して欲しい所です。

システム オーソドックスな選択肢を選ぶADVゲームです。

ゲームシステムは、リメイン系ブランド共通の物です。 安定してるシステムです。
キーボードでも、全てコントロールできます。 
またフォントデザイン、スピード等の細かい設定も有ります。 
読み返し機能有り、既読判定有り、オートモード有り(スピードコントロール有り) 
BGM/効果音/ボイスの各音量設定。 フェードアウトのon/off。
セーブ&ロードは、セーブした場面と台詞が残りますから、ロード時便利です。 
ほぼ至れり尽せりのシステムです。 重要キャラの女性のみボイスあり。

おまけは、CGモード イベント回想 BGM鑑賞です。

☆注
ゲームシステムは安定してますが、スクリプトミスと誤字脱字がありますから
最新修正ファイルのインストールは必須です。

総評 シナリオライターの色が強く出ている作品です。

泣きのシナリオとか、キャラ萌えのゲームでは有りませんが、独特の言いまわしから
来る、しっとりとした雰囲気が、プレイヤーをゲーム世界へ引き込みます。

全体的に地味なゲームですが、プレイ中、大きく心揺さぶられます。
シナリオを重視するゲーマーの方には、自信を持ってオススメ します。

 

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