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ゲームレビュー

 
 
 
月陽炎   機種:Win95/98/Me/2000  開発:すたじおみりす
 
あらすじ 時代は大正。 
明治と昭和の狭間にある、ほんの僅かなその時代。 

ひらひらと紅く、黄色く木の葉が舞い降りる季節。 

帝都からやって来たのは一人の青年。 
一つの大きなトランクを抱え、にこやかに街並みを眺めている、人の良さそうな青年。 

ただ父から言われ、たどり着いたその街。 
好奇心に心躍らせながら向かった場所は、何処か懐かしささえ感じさせる。 

出会うは少女。  二人の少女。 

流れのままに過ごす日々の中で、青年は一人の少女とやがて心通わす。 
だが、それは偶然ではなく必然の恋。 
青年はこの街にやって来た本当の理由を知ることになるだろう。 

拭えぬ運命に戒められ…… 
大切な何かを失ったとしても…… 

それでも、ほんのひと欠片の幸せを追い求めた、少女と青年の物語が、 
今そっと幕を開ける……。 

(c)すたじおみりす

シナリオ 主人公“嘉神悠志郎”は、父の知人である有馬神社の神主 “有馬一哉”が 
身体を壊し、祭りの準備もままならないことから、父の言付により、有馬神社へ修行を兼ねて、奉公に赴きます。 そこで出会う2人の少女を中心に物語は進んでいきます。メインヒロインの2人は、陰と陽 光と影のような存在です。 

月陽炎のオフィシャル紹介文 
         ↓ 
物語は一つではなく。 青年の想いはその軌跡を変える。 
たとえ血塗られ、長き日々に渡り続いた呪いさえも、青年は替えてゆく事が 
出来るだろう。   人それぞれに真実があり、軌跡がある。 
青年は何度も、思い描きし結末を求め彷徨う。 
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上記のように、このゲームは、プレイして行く度に、物語が変化して行きます。 
もちろんエンディングも変り、謎が解けて行きますし、攻略キャラも増えます。 

月陽炎のお話は、母の愛と血縁。そして家族がテーマになっているようです。 
母は、そのお腹を傷めて産んだ子は、なによりも愛しい物です。 
たとえ血塗られた歴史を繰返す事になるうとも・・・ 
それに加わる姉妹の愛・・・  そして、主人公に課せられた本当の使命とは・・・ 

このお話には、完全なハッピーエンドは存在しません。 
しかし、落込むようなシナリオでもありません。 筋の通ったEDを向かえます。 
時に、真実は残酷な物なのです。  ネタバレになる為、これ以上は・・・ 

ゲームのシステムの関係で一度目のプレイでは、ベストEDには、辿り着けません。 
また、攻略キャラも最初は限定されております。 
一つのシナリオ終了後、アイテムが手に入ります。 
そのアイテムにより、入れるシナリオが決る様です。 

シナリオ全体の評価として、とても良く出来ております。 
ゲームを何度かプレイしないと、ベストEDに辿り着けませんが、一回のプレイ時間が 
さほど長くありませんから、苦痛になることも無いでしょうし、謎が解けて面白いです。 
また、ヒロインの性格の違いが、非常に楽しくプレイさせる一因になってます。 
特に美月は、強暴ながらも、物凄く可愛いヤツです。 

少し残念な所は、謎が解けて行く所で、もっと『ハラハラ、ドキドキ』させる展開を 
作り出せると、もっと良くなったと思います。 

おまけ・・・ 
各ヒロインの攻略が終ると、タイトル画面のキャラの絵に色が付きます。 
色が付けば、そのキャラは攻略完了です。 
また攻略対象が増えた時、タイトル画面に、そのキャラがあらわれます。 
全てのキャラをコンプすると、全攻略キャラがカラー表示になりタイトル曲が変ります。

キャラクター/CG メインヒロインは、銀髪で対人恐怖症ながらも家事全般をこなす『有馬 柚鈴』 
柚鈴の異母姉妹であり、超活発おてんばで、貧血持ちの『有馬 美月』の2人 
そして、3姉妹の長女で、一見冷たい感じの日本美人『有馬 鈴香』 
有馬家の後妻で、美月の実の母『有馬 葉桐』  柚鈴の友人の『幸野 双葉』 
以上5人が攻略対象です。 

性格付が5人とも大きく異なりますし、可愛さ爆発ですから、プレイが楽しいです。 
おとなしく、いぬちっくな柚鈴。 口も悪いし手も足も出るけど、本当は優しい美月。 
一見冷たい雰囲気ながらも、時々可愛らしい仕草の鈴香。どのヒロインも魅力的。 
あと、一部で、立ち絵のキャラが横移動する演出もあります。 

CGの評価ですが、ヒロインの立ち絵、1枚絵とも、良く描きこまれております。 
絵柄の雰囲気と言い、表情の変化と言い、とても良いです。特に巫女服姿が・・・ 
背景も良いです。 時代設定、キャラの雰囲気にあった、淡い絵柄です。 

イベントシーンは、比較的えちぃシーンのCGが多いです。

音楽 全36曲 ボーカル曲は主題歌の1曲です。 
曲数は物凄くありますね! 各シーンに合わせて曲作りをしたと思われます。 
これだけの曲数ですから、各シーンにピッタリあってます。 あと曲自体は短めです。 
音の方向性は、昔懐かしいシンセサウンドが多いです。 
ムーグがシンセの代名詞だった頃の音色です。 ・・・マニアには涙物です。 
シナリオの中でハーモニカを吹くシーンが有り、曲も2曲ありますが、残念ながら 
完全なエミュ音になってません。 いっそのこと生録すると良かったのに・・・ 

ちょっと残念なのが、おまけのBGM再製で、主題歌とフルコンプ時のメニュー画面の 
BGMが聞けない事です。主題歌が良い曲ですから、サントラの発売が待たれます。 

システム システムのバックグラウンドは、リメインさんブランドですから同じかも知れませんが、 
使用感は、違います。 セーブ&ロードで画面が記録されない事が特に・・・ 

メッセージスキップ有り。 既読判定有り。 読返し機能有り(ボイスリピート無し)。 
BGM、SE、ボイスの各音量調整有り。 フォントの詳細設定あり。 

デフォルトでは、メッセージウインドは表示されず、フォントに黒の縁取りが付く仕様。 
メッセージウインドが無いためCGが見易いです。 文字読むのも支障無し。 
メッセージウインドを出す事も可能です。 

おまけモードは、CG鑑賞、音楽鑑賞、えちぃシーン鑑賞、アイテム鑑賞です。 
シーン鑑賞にED鑑賞も欲しかったですね!  EDが切なくて、とても良いのに・・・

総評 血縁、家族、宿命、愛が絡み合い、切なさが溢れるゲームです。 
ゲーム序盤は楽しく、中盤から愛しさが溢れ、終盤に掛けて、謎が解かれていく事に 
より、彼女達の運命(さだめ)と自分の本当の姿(使命)が描き出されていく様子は、 
プレイする事を楽しませてくれます。 
また、声優さんの演技が実に絶妙で、キャラに良くあっており、楽しさを倍増させます。 
シナリオも良く構成が練りこまれてます。 

物語の舞台が神社ですから、巫女服姿はデフォです(笑) えちぃ巫女服シーンも! 
巫女服がお好きな人には、たまらないゲームだと思います。 

物凄い感動作とは違いますが、心情を良く描き出した、切ない系の秀作です。 
巫女萌え以外の人も、プレイして頂きたいし、オススメする事が出きる作品です。

 

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