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ゲームレビュー

 
 
 
『あしたの雪之丞』   機種:Win95/98/Me/2000  開発:elf
 
あらすじ 鹿島学園の問題児でありアイドル的存在の“春日せりな”の前に突如現れた 
転校生“雪村雪之丞”(主人公) 

雪之丞はそのルックスとは裏腹に無口で暗く、人には言えない過去を背負い 
常に孤独であろうとする。 そんな雪之丞が気になって仕方が無い天真爛漫を 
絵に描いたような性格の春日せりな・・・ 

明るい性格のせりなや、せりなの幼なじみの同級生、またクラスメートとの交流を 
通じて雪之丞も徐々に心を開いていきます。 

やっと普通に人付き合いが出来るようになった時、雪之丞を追って転校して来た 
謎の少女の出現により物語りは大きく展開して行きます。

シナリオ elfさんゲームにしては非常に珍しい、オーソドックスな選択肢を選ぶタイプの 
恋愛アドベンチャーゲームです。 

シナリオは購入前の情報で『ドタバタラブコメ』だと聞いていたのですが 
実際にちょっと雰囲気が違います。 
確かにメインヒロインの“春日せりな”は天真爛漫な性格で、物語りを引っ掻き回す 
ような感じもゲーム当初は受けましたが、ストーリーが進んでいくと本当の性格が 
あらわれ、物語りも徐々に重く深い話へと移って行きます。 

雪之丞が何故、転校してきたのか? 
彼の体から滲み出る悲しさや寂しさは何故なのか・・・ 
いったいどんな重圧が彼を押し潰そうとしてるのか・・・ 

物語りの進行と共に雪之丞の背負う物、そしてヒロイン達の苦悩が浮き彫りに 
されて行き、お互いが支え合う気持ちを持った時、ハッピーエンドを迎えます。 

シナリオの評価ですが、悪くはありません。 しかし手放しで高評価も出来ません。 
その理由として、若干プレイ期間が短いです。 男と女が好きになるのに時間は 
関係無いと言われればそれまでですが、雪之丞が背負った重荷を下ろすのには 
もう少しシナリオを練り込んだ方が良いと思います。 
後一つイベントを入れれば、ヒロインとの心通じる場面が自然に表現できるでしょう。 

しかし、ちょっと短く感じるシナリオも『痛い』『重い』『苦しい』のプレッシャーを心に 
諸に受けるゲームをプレイした後だと結構楽しめます。 
シナリオの後半、完全に攻略キャラメインになり、不必要と思われるシーンも 
出てきませんから、テンポ良く進むのも楽しめた要因でしょう。 
ハッピーエンドを見るだけなら比較的簡単なゲームですし、ゲーム終了後に 
心にもやもやした物も残りませんから。 
(エンド数は35有ります)

あと、シナリオの所々に古いアニメネタや特撮物ネタが出てきます。
これの元ネタがわかる人は結構笑えると思いますよ♪

キャラクター/CG クラスメートで天真爛漫な春日せりな  せりなの親友の間部由希 
クラスの委員長、杉崎怜於奈  ストリートダンスが趣味の先輩、新島早苗 
喜怒哀楽の激しい下級生、小松原妙子  クラスの担任、牧野詩織 
そしてもう一人、謎の転校生 

どのキャラも個性的でゲーム画面内で活き活きしてます。 
ながせ まゆさんが原画とキャラデザインを担当されてます。 

キャラで注目すべき点は、超多彩な表情でしょう。 これは評価高いです。 
口パクとかアニメはありませんが、多彩な表情がその場面を好演出して 
ゲームプレイを面白くし、そしてシナリオにも好影響を与えています。 

立ちキャラは勿論、イベントシーンのCGも非常に良い出来です。 
背景は特筆するほど描きこんだ物ではありませんが、良い方でしょう。 
若干気になったのは、elfさんゲームにしては解像度が低いことです。

音楽 全25曲で、その内1曲がエンディングのボーカル曲です。 

・・・elfさんゲームをプレイして毎回思うことを今回も感じてしまいました。 
それは、BGMが練りこんでない! 本当の意味でBGMになってしまってます。 
曲自体は悪くは無いのですが、誉められた出来では決して有りません。 

私は常々、良い作品の条件として、映画もゲームも音楽の持つ比率が高いと 
思っています。 良い音楽はシナリオをアシストして盛り上げます。 
特に、比較的重いシナリオの場合は、音楽の良し悪しで心に響くかが決ります。 

elfさんはゲームとして面白い物は作られてますが、音楽にも力を入れてもらいたい!

システム さすがはelfさん。安心してゲームをプレイ出来ます。 メモリも無駄使いしません。 
ゲームシステムは選択肢を選ぶタイプのゲームです。 
場所移動も若干有り。 ヒロインがいる場所はちびキャラ表示有り。 

セーブ数は33、フルボイス(主人公除く)、メッセージスキップ、既読判定有り。 
読み返し機能、読み返し時ボイス再製も出来ます。 
ただし、読み返しにシステム画面を読み出さなければダメなのは面倒です。 
噂の、あそこアップモード有り・・・ でも、あまり必要性は感じないです。 

おまけモード等は、CG鑑賞、シーン鑑賞、エンディング再製、音楽鑑賞です。

総評 重い十字架を背負った主人公のゲームですが、ゲーム期間が短い事や 
不必要と思われるシーンを一切排除した事によりテンポが良く、中々面白いです。 

比較的好き嫌いが少ないタイプのゲームですから、誰でも楽しめるでしょう。 
プレイした印象として若干F&Cさんのゲームに似てる感じも受けます。 
心象変化の追及よりも心の触れ合いを楽しむゲームです。 

最近多い、重いシナリオのゲームに心疲れた方には丁度良いかと・・・ 
また、ながせ まゆさんが描かれたキャラに興味を持たれた方にオススメです。

 

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