ラインガイドの位置
 308、408のラインガイドの位置を測定してみました。

ラインガイドのピッチ
 糸巻き形状に影響を与えるラインガイドの位置(ピッチ)を測定しました。できるだけ画像が歪まないようにズームレンズの望遠側で撮影した後、A4の紙にプリントアウトして測定、ベールアームスクリューの頭の径と比例計算して算出しました。

A:ワンピース固定式ガイド旧型 P=13.15mm
 最も初期のもので、固定式のラインガイドを採用、ベール反転レバーがストッパーになっているタイプです。

 Bとともに、ラインガイドは本来のタングステンカーバイドから摩擦の少ない硬質クロームメッキのものに替えています。

 このベールを付けている60年代の408は後ろ巻きだったので、0.7mmオフセットのオシュレーションスライダーに替えています。

B:ワンピース固定式ガイド新型 P=13.12mm
 70年代の308に採用されていたローターの角がストッパーになっているタイプです。

 70年代の308に付けていますが、中央やや前寄りに巻き上がります。しかし、Aとピッチは同じでした。

C:ワンピースローラーガイド P=13.18mm
 70年代の408に採用されていたローラー式ラインガイドのものです。

 Bを付けている308と同じくらいの巻き上がりになります。

D:フランス〜台湾製時代のツーピースベール P=12.44mm
 80年代半ばのフランス製時代に変更されたタイプ。写真は308Aプラナマティックです。

 このベールになった308は後ろ巻きになるものが多かったですが、それもそのはず、A〜Cに対しピッチが0.7mmくらい短くなっています。

E:中国製のツーピースベール P=12.61mm
 最終版308のものです。Dと同じですが、型を起こし直したようで、写真で見てもローラーの角度が少し違います。

 このリールは最初からフラットに巻き上がりましたが、数値を見るとベールで直したのではなく他の部分も変えているようです。

 ワンピースのものは、Aタイプだけピッチが小さいのではないかと思ってきましたが、70年代のローラータイプまでずっと同じだったようです。これはちょっと予想が外れました。私の60年代408(読者の方にいただいたリール)は、後ろ巻きだったのでオシュレーションスライダーを0.7mmオフセットさせたものにしています。メインシャフトは途中で70年代のに替えましたが、これは巻き形状に影響ありませんでした。となると、ローターなど他の部分が変わっているのかもしれません。あと、ベアリング本体の溝とセットスクリューの接触部が磨耗しているので、これも原因かもしれません。

 いずれにせよ、サンプルは少ないですがA〜Cの数値がほぼ一致している点から、70年代までのミッチェルの部品寸法管理はなかなかのものだったといえるのではないでしょうか。

 やっぱりあかんのは、80年代のCからDへのベール変更でしょうね。0.7mmもローラーがずれてはちゃんと巻けるはずがありません(この時期の408Aの後ろ巻きを直すのに0.7mmピッチをずらしたオシュレーションスライダーを作ったけど、合ってたんだね)。

 厳密にいうと、Dの前にデザインは似ているもののラインローラーにブッシュが入っていないタイプがあります。私が最初に買ったのがそのベールの付いた308だったのですが、ラインはやや前寄りに巻き上がりました。ラインローラにブッシュが入ってDになったとき、ラインローラーカラーが厚くなり、ローラー自体もブッシュのフランジ部を収めるために糸の掛かる溝がやや写真の左にずれました。このときピッチがずれたのではと思っていましたが、0.7mmとなるとそれだけではないでしょうね。

 いずれにしても、こんなことをやってたからダメなんだよというか、こんなことをやってたのに308は2000年まで生きたんだからもうちょっとまじめにやればいまもミッチェルの会社も存続してたんじゃないかというか、結局またいつもと同じ結論になってしまいました。なんともかんとも。

MITCHELL