亜細亜、骨董仕入れ旅 講談社
バイバイ、サラリーマン・・・諸君、恐れることはない。やれば道は開ける。新しいビジネスへのチャレンジ!
著者のメッセージ
1980年僕が会社を辞めて骨董屋になり、アジア各地で良いネタはないかと、ほっつき歩いていた頃の話である。 今も昔も仕事は男にとって生か死くらいの重みのあるテーマだ。この扉を開くときっと明るい光が射すことだろう。
青い空に白い雲が浮かんでいる。形を刻々と変化させながら何処かへ去って行く。僕が通ってきた道、アジアの骨董仕入地も雲と同じように日々変化している。振り返ってみるとゆったりとした時の流れがいつの頃からか変わってきている。そんなアジアを骨董探しという切り口から見つめ『値打ち』、『楽しい』、『スリリングな旅』という人類共通のキーワードで表しました。
猿の寺(ネパール)『惚けの爺』より |
「オイ!そのサル幾らだ」と鍵屋に声をかけた。「ダンナ、代金はいいですよ。持ってってください。時々商売モノの鍵をパクる手癖の悪いヤツなんです」と男は言って横にあった払子の柄を握ってサルを見た。大柄な赤い顔をしたサルが鍵屋と目を合わせて牙をむいた。小春日和のうつらうつらとするような中での出来事だった。遠い彼方にはヒマラヤの峰々が氷砂糖を立てたように白くキラキラと輝いていた。 |
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参道横の蛇使い | |
『カトマンズの迷路』(ネパール) | |
クマリの広場を横切り南の方向へ10分ほど歩いたところで「ダンナ、左!」と鍵屋が後ろから声をかけてきた。この道ははるか千年を越える昔に作られたものだろう。まるで迷路のようだ。ヒンドゥーの行者、額に赤い紅を置いた女達、のら牛が次々と来ては去ってゆく。この一角でチベットの歓喜天が取引されている | |
迷路横のシバ神 | |
家々の窓は中庭に向かって開いている。その中庭のあちこちに石像のシバ神やヴィシュヌ神が置かれている。古代と現代が混在し、神と人が棲んでいるカトマンズの一角。 | |
アカ族の村(ミャンマー)「浄土の光と芥子の花」より |
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「ノリキさん、頼まれていた運び屋のボスに連絡を取ってみました。フフフフフフフ。ホンというのが五日後にミャンマーに入るそうです。行ってみますか?」ここから話が始まった。 |
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ミャンマーから運ばれた12世紀の青銅仏 |
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『金貨と老人』(タイ)より |
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深い穴を覗くと底の辺りにまだいくつかの土器らしいものが顔を覗かせている。掘り出したものを手にとって厚くこびりついた土を剥がすと、ずしんと思い黄金のベルトが現れた。この7メートル四方の穴からは考えられないほどの宝物が掘り出されていた。 |
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ブラフマー像〈11世紀) | |
「ルアンプラバンのアマリリス」より |
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炭火で焼いた皮付きの豚肉、ネギやハーブをたっぷり混ぜ込んだひき肉。蝉やコオロギの唐揚げ。野草を炒めたもの。近くの川で取れたノリなどテーブルの上は北部ラオスのうまそうな料理で一杯になった。ブーさんが「ズズズズズズ、ズー」とコップに盛り上がった酒をすすった。「フエーッ.ここの酒はこたえる」 |
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北部ラオスのご馳走 | |
古窯跡 | |
「不思議パウダーアイランド」より |
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ここサンヘギ諸島には古代の秘密がある。 |
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「乳香とバザール」より | |
その昔シバの女王が治めたイエメンはエジプトやバビロニアなどに乳香を売って莫大な富を蓄えたという。女王はソロモン王に会う為膨大な貢物を持って旅をした。この乳香がきっかけとなる、珍しいアラビア半島のバザールでの丁々発止。 | |
「偽物つくり」より堀屋の皆さん |
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本物と偽物は常に骨董世界で起こりうる終わりのない追いかけごっこだ!本物の宝物は地中深く歴史の出来事を秘めて眠っている。一個の茶碗や壷を求めて長い時は数ヶ月地下を掘り進みを掘り進み手にするものだ。しかしそんな難しいことをせずに偽物を作れば瞬間にして望みの金が手に入る。この誘惑に魅せられた偽物作りの名人は寒い国の人だった。 |
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スコールが来ると危険なのでトタンで発掘穴をカバーしてます。 地下5メートル。小さな明時代の染付破片を見つけています。手に持ったろうそくはガスが出ると危険なのでその感知の為です。 |
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筆者近影 セレベスの奥地トラジャの風景 | |
アジアは様々な民族・文化が混じりあっており世界でもっともスリリングで面白いエリアです。後ろの山を見てください。石灰岩が侵食されています。そしてあちこちに鍾乳洞があり、その中に宝物が眠っています。こんな愉快な冒険談を是非読んでください。夢は自ら作るものですよ。 この本は骨董を知らない人が読んでも本当に面白い話です。読まれて面白いと思われれば、是非友人、知人にお奨めください。 お父さんのメルヘンと言ってもいいでしょう。さあ愛する父さんにこの本をプレゼントしてあげよう。 第1集「「骨董ハンター南方見聞録」もよろしく。 《プロフィール》 1944年姫路市生まれ。現ヤマハ勤務しつつ東南アジアの陶磁器に興味を持つ。その後独立して骨董商を営む。「骨董ハンター南方見聞録」講談社 美術書著作多数。 |
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書名:「亜細亜、骨董仕入れ旅」
出版社:講談社
〒112-8001 東京都文京区音羽2-12-21 講談社お客様センター TEL:03-5395-3676
著書:島津法樹
定価:¥1890《本体+税》
四六判、300ページ,イラスト入り
ISBN:4−06−212481−5