教育講演会 “KYT-危険予知トレーニング-”

 

   8月28日(月)当法人の職員を対象に第9回教育講演会を開催致しました。
   講師は群馬県立がんセンターの副看護部長 清水栄子先生、テーマは『KYT-危険予知トレーニング―』についてお話しいただきました。
                                        教育研修委員会

講演内容

『KYT-危険予知トレーニング-』

   安全は存在しません。医療現場で働く私たちに課せられているのは、リスクをいかに低減させるかです。良く知られた言葉に「人間は誰でも間違える」がありますが、リスクを低減させる方法をとれば、間違いを予防できます。

   リスク低減には、危険を予知して回避できる感性が必要です。リスク感性はそれまでのリスク経験が育てます。意図的にリスク感性を磨くには、個人が経験したヒヤリ・ハット体験を「危険情報」として皆で共有すると良いでしょう。また、職場や日常業務にどのような危険があるかを発見・把握・解決する訓練の実施も、一人ひとりのリスク感性を鋭くさせ問題解決能力を向上させます。この訓練のことをKYT(危険予知トレーニング)と言います。

   KYTは1974年に住友金属工業(株)(現:新日鐵住金(株))が独自に開発し、1978年に中央労働災害防止協会が「KYT基礎4ラウンド法」に発展させました。その後、より実践的な短時間KYTが開発されています。

   KYT基礎4ラウンド法は、イラストシートや写真などを用いてそこに潜む危険を探り、その危険回避のためにどのような行動をとるかを意思決定する方法です。1チーム5~6人、複数チームを作って行います。

   1R【どんな危険が潜んでいるか】では、イラストシートの中に潜む危険を発見し、“危険要因”が引き起こす“現象”を想定して意見を出し合い、共有します。2R【これが危険のポイントだ】では、発見した危険のうち重要と思われるものを皆の合意で絞り込み、“危険のポイント”を指差し唱和で確認します。3R【あなたならどうする】では、危険のポイントを解決するための具体的な対策案を出し合います。4R【私達はこうする】では、対策を皆の合意で絞り込み、“重点実施項目”を実践するための“チーム行動目標”を設定し指差し唱和で確認します。

   KYT基礎4ラウンド法のミーティングで重要なのは、本音でのブレーンストーミングです。つまり①他者の意見を批判しない、②自由奔放に意見を出す、③意見はたくさん出す、④他者のアイデアを発展させる、という鉄則遵守が大切です。

   KYTやKYには、短時間でできる「個別KY」、「ワンポイントKYT」などもあります。リスク感性を高めるには、KYT基礎4ラウンド法を月1回しっかりと実施するだけでなく、短時間で出来る方法でタイミングよく実施すると良いでしょう。

   職員一人ひとりのリスク感性を磨くことが、日常業務に潜むリスクを低減させます。ヒヤリ・ハット情報を共有し、KYTを皆で行う。安全優先文化の醸成は、良い医療の提供だけでなく、より働きやすい楽しい職場の形成につながります。“誰かがやってくれる”ではなく、一人ひとりが“自らやる”姿勢が何よりも重要です。

群馬県立がんセンター

副看護部長 清水栄子先生