眉目よしといふにあらねど紺浴衣
船涼し左右に迎ふる対馬壱岐
晩涼や大海椰子の蔭に立つ
晩涼や火焔樹竝木斯くは行く
蠍座が出て寝るとせん星涼み
庭石に蚊遣置かしめ端居かな
扇風機まはり熱風吹き起る
扇風機吹き瓶の花撩乱す
待合の簾の裾の路地西日
夕焼の雲の中にも佛陀あり
月青くかかる極暑の夜の町
江水の濁りはじまる夏の海
戻り来て瀬戸の夏海絵の如し
夏潮を蹴つて戻りて陸に立つ
葉高低雨後の蓮池にぎやかに
麻の中雨すいすいと見ゆるかな
スコールの波窪まして進み來る