坂なりにだんだん出来し祭店
杉落葉して境内の広さかな
梅雨傘をさげて丸ビル通り抜け
休んだり休まなんだり梅雨工事
国中の田植はじまる頃なりし
蕊の朱が花弁にしみて孔雀草
己が羽の抜けしを啣へ羽抜鳥
バスの棚の夏帽のよく落ること
夏暖簾垂れて静に紋所
虻と蝶向き合ひすがる九階草
滴りの岩屋の仏花奉る
校服の少女汗くさく活発に
晩涼や謡の会も番すすみ
端居して垣の外の世を見居る
聞えざる涼み芝居を唯見をり
箱庭の月日あり世の月日なし
拝領のもの一竿や土用干
鵜の森のあはれにも亦騒がしく