| *この作品は 長官誕 「エニエス春のスパンダム祭」に投稿した出張版です* 衝撃再び ウォーターセブンに潜入する目的でCDの販売とレンタルのお店、SUPAYAウォーターセブン本店をオープンさせたCP9たち。実はそのオープン日はSUPAYAのチーフであり、CP9の長官でもあるスパンダムの誕生日に設定されていた。オープンを祝して部下であるCP9を引きつれてカラオケパーティーなど催して、なおかつ自分の誕生日も祝わせようというスパンダムのねちっこい策略によるものだ。しかし、人は忙しさに追われれば過去の記憶も曖昧にしてしまうもので、忘れたい記憶だったりすれば尚更だ。SUPAYAの店員としてもCP9としても多忙を極める彼らには、上司のご機嫌をとることまで頭が回らなかったのだ。 その日の朝礼で、スパンダムはいつになく真剣な表情をしていた。まるでCP9の任務を言い渡すような…。けれどここはSUPAYAの店内であるし、スパンダムの前に立ち並ぶ、ルッチ(肩にハットリ)、カク、ブルーノ、カリファ、ネロはお揃いの黄色いSUPAYAエプロンをつけていた。 「今月は何月だ! 言ってみろ、ルッチ!」 「…3月です、チーフ」 「よぉし、そうだ、その通りだ…。あとはわかってるな? わはは!」 スパンダムはにやりと笑い、その後はファンクフリードに餌を与えながらもすもすされていた。朝礼がグダグダに終わったところで、ルッチを中心とした真の朝礼が開始となる。 「…何かしら…チーフのあの発言…」 「気にするだけ無駄だ、あの人はそういう男だろう…」 「すっかり諦め上手じゃのう、ルッチは…」 「シャウ! チーフのことはルッチさんが一番わかってるっしょ!」 褒め言葉のつもりで発言したネロだったが、関わりたくて関わったわけでなく、わかりたくてわかったわけでないルッチにとっては禁句だった。 「…よほどてめぇの命が可愛くねぇようだな…四式坊や…」 「シャウ?!」 「やめないか、ルッチ…。もうすぐ開店の時間だ」 ブルーノに諭されて、ルッチは不愉快そうな顔は崩さないままで朝礼を続けた。 「チーフの意向はとにかくとして…今月はSUPAYAの決算月でもある。世界政府から予算は出ているがこれはあくまで任務のための資金。SUPAYAとして単独で経営出来るくらいには売上をあげてもらわねぇと話にならん…」 「なんじゃ、余った予算でパーッと宴会じゃないんじゃのう…」 「そんなわけあるか、バカヤロウ」 SUPAYAの懐事情は意外に大変らしい。 「だいたい…余ってもいない…」 ブルーノが呟くとカリファもため息をついた。 「そうね…。よくやった方だとは思うけれど…もっと無駄をなくさなくちゃいけないわね」 「アクア・ラグナでお店の修理が必要になったのが痛手っしょ…」 ネロまで落胆したように髭をしょんぼり垂らして肩を落とした。重たい空気をはねのけるのもリーダーであるルッチの務めだ。ハットリがばさばさと元気づけるように羽ばたく。 「遊びじゃねぇんだ、気を引き締めろ! さっさと持ち場につけ! 店を開けるぞ、クルッポー」 「了解」 「了解っしょ!」 腹話術の声に一斉に背筋を伸ばし、素早く持ち場につく辺りはさすがに慣れたもの。ルッチは安堵のため息をひとつこぼして、それから決算に向けて収支の確認をすべく帳簿を抱えてバックヤードに向かった。 バックヤードには山積みになった木箱がいっぱい。その中身は商品であるCDなのだが、実はカラの木箱もいくつかある。それは商品を陳列したことによってカラになったのではなく、送られてきた段階ですでにカラだったものだ。 「まったく、あの野良犬め…」 ルッチの眉間に深い皺が刻まれる。彼の言う野良犬とは、エニエス・ロビー駐在組を率いるCP9の小隊長、ジャブラのことだ。ジャブラたちは短期任務をこなしながらエニエス・ロビーからの出荷業務を担当している。ウォーターセブンから送られてくるリストに従ってCDを梱包して政府関係者だけが乗れる特別便の海列車で出荷するのが主な業務内容なのだが、クマドリはよくCDを選び間違えるし、フクロウはあえて謎なチョイスのCDを余計に混入させるし、ジャブラはカラの木箱を積み荷に加えて余計な物流経費をかけているのだ。これが、経費の上乗せをしてこっそり美味しい思いを…というような企みで行われていることならまだしも、単純なヒューマンエラーのミスであるから余計にどうしようもない。間違ったものが届く度にルッチは電伝虫で責任者であるジャブラに嫌味をぶちまけるのだが、それでも治らないのだから困ったものだ。 「奴らの給料から引くべきだ…」 ルッチは抱えていた帳簿に記載されている物流経費の項目をチェックしながら苦々しく呟いた。この帳簿は常日頃、経理も担当しているカリファがつけていたものだ。それを最終チェックして報告するのがルッチの役目だった。本来、こうした業務はチーフであるスパンダムがするはずだったのだが、彼の金銭感覚は一般とは違うらしいことがなんとなくわかっているので、ここは仕方なくルッチが請け負っているのだ。しかしルッチはルッチでハットリとお揃いのゴージャスコートを仕立てるなど、若干金銭感覚に問題があるような気もしないでもない。そして普段、チーフに抑圧されているからか、エニエス・ロビー駐在組に送り付けて反省を促すため、「貴様らがミスをしなければどれだけの黒字となり、その資金でどのような設備投資、またはどのような諜報活動に役立てることが出来たのか」を詳細に記した嫌味の塊のような資料を作成して日頃の鬱憤を晴らしている感の否めないルッチであった。 決算月なのでお店としても様々なサービスを行って客寄せをする必要がある。在庫は減らしたいので今ある商品で売り上げを獲得したいのが正直なところだ。ブルーノはブルーノで、現在は彼が経営者となっている中心街のバーの決算もあるらしく、SUPAYAでのドリンクサービスの展開は極力避けたい。 「なかなか目玉になるものはないもんじゃのう」 カクは腕を組んで首を傾げた。いつもならブルーノが少々負担して行うドリンクサービスと無料レンタルクーポンなどで客足はわっと増えるのだが、その手が使えないとなると難しいものだ。 「買取金額もあまり上げたくはないわね…」 常連客であるパウリーにとっては買取金額アップがないのは死活問題であるが、こっちも商売。そんな甘いことは言っていられない。 みんなが真剣に悩んでいると、そこにふらりとスパンダムが現れた。というか、どこに行ってたんだあんたは!と言いたいところだが、そこはこらえるのが賢い。 「どうしたぁ! 暗い顔して!」 やけに上機嫌のスパンダム。頭の中はまさに春到来なのかも知れない。今だ寒い季節を抜けきれないでいる面々とは雲泥の差だ。 「チーフはご機嫌っしょ、シャウ! 何かいいコトあるっしょ?」 ネロがチーフに似たテンションで尋ねると、スパンダムは照れたような、にやけたような、何とも形容しがたい顔で笑った。あえて音をつけるとしたら…にへらぁ〜と笑った。 「俺かぁ? 俺はお前…あれだ、もうすぐ…誕生日だからな!」 『!?』 その言葉が引き金となり、ルッチ、カク、ブルーノ、カリファの脳裏にある記憶が蘇っていた。SUPAYAのオープン日を迎えてほっとしたのも束の間、自分の誕生日くらいなぜ知っていないんだと罵られ、会費3000ベリーを払ってカラオケに連行された開封したくない記憶…。ネロはそんなこと知らないものだからにこにこしている。 「シャウ! チーフはもうすぐお誕生日っしょ? いくつになるっしょ?」 「わはは! 聞くな歳のことは! あぁ、ローソクはいらねぇからな! ケーキは指銃したみてぇに穴だらけだ、わはは! お前らもそんなに悩むことぁねぇぞ? まぁあれだ…ささやかに祝ってくれりゃそれで…な!」 そう言ってファンクフリードと共に去っていくスパンダム。その姿が完全に消えてから、ルッチはがたん!と大きな音を立てて立ち上がり、ぐわっと腕を伸ばして電伝虫の受話器を掴むとエニエス・ロビーに連絡をとった。 「はいよ、こちらジャブラだ」 「フクロウに代われ」 「あァ?! その声はルッチだ狼牙?!」 「今は貴様に構っている時間などねぇんだバカヤロウ! フクロウと代われ!」 あまりの剣幕に渋々文句を引っ込めて、電伝虫の向こうのジャブラはフクロウに受話器を渡した。 「チャパパーフクロウなのだー」 「フクロウ、聞きたいことがある。チーフ殿の誕生日はいつだ?」 一同がしんと静まり返り、フクロウの答えを待っている。ごくりと唾を飲み込む音さえ響きそうな静寂の中、ジー…という音だけが聞こえた。 「うおぉぉ! チャックしめるんじゃねぇよ、フクロウ?!」 どうやら向こうでジャブラが突っ込みを入れてくれたようだ。ここでは届かないので正直有難い。 「あ、フクロウを責めないでぇやってくれぇぇ〜! ここはぁ、ここはぁおいらがぁ〜!」 「頼むからフクロウと代わってくれ、そして他は口を開くな耳障りだ」 ルッチのブチ切れそうな空気を察したのか、ようやくフクロウの口から衝撃の情報がもたらされる。 「チーフの誕生日は今月なのだーしかももうすぐなのだー」 一瞬、すべてが止まったような錯覚に陥った。例の誕生日カラオケパーティーのことを知らないジャブラたちにも嫌な予感がよぎる。ジャブラは慌てた。 「おいフクロウ! すぐに電伝虫を…」 「フクロウ、ジャブラに代わってくれ」 「チャパパー代わってしまったー」 「ぬおー! フクロウてめぇこの野郎!」 「よよい、ここはぁ受けて立つのがぁ〜男の道じゃぁねぇ〜か〜」 「お前はうるせぇんだよ、黙ってろ、クマドリ!」 ジャブラはフクロウの手から受話器を奪い、すぐさま切ろうとしたのだが、ルッチの指示にフクロウが従ってしまったため、なぜかジャブラは受話器を受け取るハメになってしまった。電伝虫の顔が非常に嫌な顔をしている。危険度マックスだ。しかし逃げ場はない。ジャブラは覚悟を決めて深呼吸をすると、海の向こうの化け猫との対決に挑んだ。 「話は聞いていたな、ジャブラ…」 低く地を這うようなルッチの声にジャブラはぶるぶると身を震わせる。ヤツは自分たちを道連れにする地獄の使いと化している! そう直感したジャブラは決して折れてなるものかと足掻く。 「おぉ、聞いたぜ、ルッチ! チーフの誕生日なんだってなぁ? まぁ俺達の分も祝ってやってくれ! 残念だぜ、SUPAYAも決算だろうが…。こっちは出荷がねぇことにはそっちにも行けねぇしな! そうだろ、ルッチ?」 これはジャブラにしては会心の一撃だった。無駄な旅費を使ってウォーターセブンにわざわざこいとは言えない、決算の時期だからこそ使える完璧な言い訳だ。店舗在庫を増やさないためにも出荷はここ数日行われていない。ルッチ相手に正論で勝てることに優越感もあり、ジャブラは勝ち誇ったように笑った。 「ぎゃははは! せいぜい楽しい誕生日パーティーにしてやれよ!」 絶対、すごいことになるだろうとわかっているのに調子に乗ってジャブラはそう言った。その言葉がルッチの何かを壊してしまうとも知らずに…。決算ゆえの緊迫した精神状態と突然のチーフの誕生日と忘れたかった記憶に挟まれてルッチは限界に達してしまったのだ。 「…何を言う、野良犬…。CP9は一蓮托生、生死も共にと誓い合った仲間じゃねぇか…」 甘く囁くような、それでいて何かどろどろしたものを感じさせる嘘臭いセリフに背筋が凍る。それはそばで聞いていて、ルッチの表情まで見えているカクたちも同じだった。ルッチは笑っていたのだ。目は笑っていないが、口元だけが笑っていたのだ。 「恐ろしいのう…」 「セクハラね」 「落ち着け…ルッチ…」 「怖いっしょ! ホラー映画より怖いっしょ! シャウ!」 「クルッポー…」 ハットリも主人を案じるが、今はその声も届かない。恐怖の大王と化したルッチはその魔の手を伸ばす。 「初めて聞いたぞ?! そんな話! 騙されるか、バカめ!」 電伝虫の向こうから唾が飛んできそうな勢いのジャブラ。一筋縄ではいかないとわかり、ルッチはついに実力行使に出た。 「どうせ暇なんだろう。いらん時ばかり来ねぇで今すぐ来い、バカヤロウ」 「行くかぁ! だいたい、その日はなぁ…!」 言いかけてジャブラは口ごもった。その態度があからさまにおかしかったのでルッチは軽く攻撃してみる。 「ほぉ、野良犬にも立派に予定があるのか? 見合いか?」 「な…! おま…っ! またてめぇが喋りやがったな、フクロウー!!」 「チャパ?! 喋ってないのだー! 失礼なのだー!」 「…冗談のつもりだったが…笑えんな…」 鼻で笑ってルッチは吐き捨てるように言った。ジャブラにとっては一世一代の大イベント。それをそんな風にあしらわれて結構ショックだ。言葉にならずじたばたしているのが目に浮かぶ。 「今だ、ブルーノ、空気開扉で迎えに行け。お気楽なあいつらにも同じ苦しみを味わわせてやろう…ハッハッハ」 「…空気開扉でそれが出来れば…こんなに物流経費はかからないだろう…ルッチ…」 迫りくるスパンダムの誕生日という恐怖がロブ・ルッチを激しく蝕んでいた。その有様に一同も驚きを隠せない反面、わが身にも降りかかるのかと思うと生きた心地がしなかった。 結局、ジャブラたちはSUPAYA本店に来るつもりはないらしい。ルッチは頭を抱えた。何度計算してみても、どこからもスパンダムの誕生日パーティーを行う予算が捻出出来ないのだ。自分たちで出し合ってもいいのだが、夜には海列車に乗って帰宅してもらいたい。前回のカラオケパーティーの時は海列車を逃してしまい、スパンダムはルッチの仮の住まいに上がりこんで泊まっていったのだ。SUPAYA内のパーティーで済ませれば早く切り上げられるような気もするし、結局は前回も会費は集めた癖にちゃっかり領収書を手に入れて経費として落としていたスパンダム。自分たちの出した会費が目の前でそんな風にされるのは結構きついものだ。 「しかしのう、誕生日パーティーの費用は何で落とせるんじゃ?」 「接待交際費っしょ!」 「確か…前回は厚生費で落としているな…福利厚生の一環というわけだ…」 「私たちの誕生日パーティーはないけれど…。セクハラです」 「予算が残っていればこんなことで悩みはしねぇが…。オーナーから課せられた売上予算の達成からいけばこれでギリギリ…。余計な出費はしたくねぇ」 むしろ出来ないのだが、出来ないですまないのがスパンダム。一同はすっかり頭を抱えてしまった。この店の最高責任者はスパンダムであるが、彼の役職はあくまでチーフ。実はオーナーは別にいるのだ。オーナーの正体を知っているのはルッチとスパンダムだけで、他のメンバーは知らない。けれどオーナーはとてもスパンダムに似た人らしいということは知っていて、それ以上は聞きたくない気分だった。 「クリスマスの時のように…あり合わせでなんとかならないかしら」 以前、SUPAYAでクリスマスイベントを行った時、カリファが尽力したおかげで低予算で素晴らしく豪華なパーティーが開けたのだ。しかしそれは準備期間があったからこそ出来たもの。今は時間がない。 無情にも時は流れていく。誕生日のプランが決まらないまま、スパンダムは今までにないくらい毎日上機嫌で、今日などは全員に新しいSUPAYAエプロンをポケットマネーで新調してくれたほどだ。その労いの気持ちが、行動が、ルッチたちを更に追い詰めていく。ブルーノはなんとか出せるだけの酒を確保し、カクは水水肉の特売日に大量に買うからと更におまけさせ、カリファはガレーラカンパニーに出向いた際、アイスバーグ氏の許可を得て見習いの船大工たちに小さな船の模型を作って貰った。ネロは他に頼る人もいなかったので、同じアパートに住んでいるルッチの手伝いをしようと頑張ったのだが、苛立っているルッチに八つ当たりされたり八つ当たりされたり八つ当たりされたりした。しかし最後にはルッチも落ち着いたのか、ネロにきちんと指示を出し、二人で誕生日パーティーを演出する飾りを作り上げたのだった。 そして来るXデー…。 その日はいつにも増してスパンダムはご機嫌だった。鼻歌で★◎ちゃんの歌らしきものを口ずさんでいる。一同は神妙な面持ちでスパンダムの到着を待った。 「おはよう、諸君!」 ああ、なんて機嫌がいいのだろう、この素晴らしい日に相応しいウザイくらい爽やかで高いテンションが窺い知れる。それだけで一同の顔は曇るのだが、次の一言で事態は一変した。 「あのな! 急で悪いんだが俺は今日、誕生日なんだ」 「存じております、チーフ」 「なんだぁ? 知ってたのか、ルッチ〜! さすがだな、わはは! それでな、ちょうど親父がエニエス・ロビーに来ててな! だから今から俺は休暇だ! このまま帰るが…お前ら、大丈夫だな?」 まさかの休暇宣言にルッチたちはぽかーん、呆気にとられるとはまさにこのことだ。苦労が水の泡になるとはいえ、これは好都合。ルッチの決断は早かった。 「…それは、残念ですね、我々も心ばかりのパーティーをと企画しておりました…。カリファ、プレゼントを。ブルーノ、料理をランチパックに詰めろ」 「…お誕生日おめでとうございます…長官」 カリファが差し出したプレゼントは船大工が作った見事な船の模型である。その船の船首はファンクフリードをイメージしたもの。これにはスパンダムも大喜びだ。 「すげぇな! ありがとな、カリファ!」 「セクハラです」 「お礼言ったのに?!」 続いてブルーノが摘まめるような料理をセレクトして箱詰めしたランチパックをチーフに渡した。 「海列車の中で食べれるのう」 「よかったっしょ、おめでとうっしょ、チーフ!」 「それではどうぞお気をつけて…よい休暇を」 盛大な見送りを受け、スパンダムは笑顔でSUPAYAを後にした。残ったのはパーティー用の料理と、この最大の難関を乗り越えた開放感…。もうこれに抗える理性は残っていなかった。 「なんじゃ、やっぱりするんじゃのう、決算時期になると予算消化せんと来期の予算がもらえんのじゃろ?」 口いっぱいに水水肉を頬張ってカクが尋ねる。ルッチはハットリのために小さなカクテルを作っているところだったが、機嫌良く答えた。 「毎年は期待するな、カク。運がよかっただけだ」 「このお肉美味しいっしょ〜!」 「酒もまだあるぞ…」 「ふふ…ジャブラたちも来ればよかったわね」 今期の頑張りを称え合うようにささやかな慰労会を行うSUPAYAの面々。苦労すれば報われるものだ。 ルッチは静かに電伝虫の受話器を取った。繋がった相手はこちらを笑っているらしく、勝ち誇った声でいる。ルッチの心は穏やかだった。 「…いいことを教えてやろう…。チーフ殿は休暇をとり、エニエス・ロビーに戻られた…。誕生日パーティーはそちらでするようだ…」 ![]() 電伝虫の向こうで何やら騒ぎが起きているようだったが、あとはもうルッチの知るところではない。今日ばかりは素直に言える。 「お誕生日おめでとうございます、チーフ…」 あなたの凶運に幸あれ! 終 2008/03/29 SUPAYA 広報のアニキ |