堂本印象美術館の野外彫刻展

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 5月16日、知り合い数人と一緒に京都の堂本印象美術館に行って、5月17日まで開催されていた「第7回 京都府立堂本印象美術館 野外彫刻展」を見学しました。風が強い日で天気は不安定でしたが、雨にも降られることなく、10点余詳しく説明してもらいながら回りました。以下その記録です。説明が中心で、また具体的な形ではなく概念をイメージ化したような作品が多かったこともあり、私なりに作品を十分イメージできず、不正確な所が多いかと思います。
オオサンショウウオ:全体の大きさは、長さ50cm余、幅30cm余、高さ10cmくらい。頭から胴にかけては幅10cmくらい、高さ5cm余で、ぺたあーと平たくなっており、尾は細くなって、次第に高くなりながら(高さ10cmくらい)半円状に湾曲している。口のへこみが頭の前面やや下側に横に長く伸び、頭の上面に左右に離れて1cmくらいの小さな細い目がある。前脚は指4本、後脚は指5本、ともに動くようになっていた。石製。これは野外彫刻展の作品ではなく、もともと美術館の庭に設置されていたものかも知れない。
シロマティとクロマティ 「どこからきたの」(山本ゆう):2匹の猿が座っていて、向って右側の猿は右手に釣り竿(湾曲した細い木の枝のようなもの)を持ち、左手は膝に当てている。左側の猿は、膝の前で両手で魚をつかんでいる。陶製?私はつい太公望をちょっと連想してしまいましたが、説明板には「白テナガザルの夫婦、びっくりな出会い。」とある。
立つ(柏木みどり):両手を頭の後ろで組み、右脚を少し曲げ、左脚を前に出して、立っている女性。樹脂製?
C(多田裕):女性の坐像(高さ70cm?)。腰掛けの姿勢で上半身を斜め前に倒し、ぎゅっと曲げた左膝を両手で抱え込むようにし、右足を左足の前に並べるようにして出している。私も実際にしたことがあるような姿勢。樹脂製?
愛犬チョコ(三野恵子):右耳は立て、左耳は前にぺたんと折りたたむようにしている。尾は後ろでくるんと輪になっている。陶製のようだが、表面には無数の細かい線が刻されているようで、毛波をあらわしているようだ(ちょっと手で触れると、吸いつけられるような感じがした)。
ねじれた塔と落葉の雲(信ヶ原(しがはら)良和):中心にぐにゃ、ぐにゃっと何回もねじれた塔(表面はいくつもの三角形を並べ組み合わせているようだ)があり、それを取り囲むように円形に、多数の落ち葉を組み合わせてつくられた雲が広がり、その雲は塔の回りでふらふらと動くようになっている(ねじれた塔の上部と雲は1点だけでつながっていて、その部分が動くようになっているようだ)。多数の落ち葉のそれぞれは、葉の輪郭と葉脈を針金のようなものでかたどったもの。
舞踏家(水嶋康亘(やすのぶ):高さ50cmくらいの小さめの立像で、表面全体に細かなとがった粒のようなのが付いている。顔の前が裂け、中がむきだしになっていて、指を入れると胴まで中空になっていることが分かる。右手を頭の後ろに当て、左手は下に伸ばし、手の先からなにかとがった物が下に伸びている。
トルソ(大杉直):腰から胸まで。高さは30cm余だったと思うが、全体にずんぐりしていてボリュームを感じた。大きな乳房が斜め上を向いているが、体をひねっているので、左の乳房のほうが高い(乳頭は縦長に細くなっている)。お腹の下のほうにもくびれたような窪みがある。大理石製。
あばたもえくぼ(江藤佳央琉(かおる):高さ70cmくらいの平たい石が立っていて、上部の先がすうっととがり、その下は大きなへこんだ曲面、その右横に小さなへこんだ曲面が2個縦に並んでいる。これらのへこんだ曲面がとてもきれい。
相依性(そうえしょう)縁起(James Baker):上の中央にペットボトルの多数のキャップをまとめて固めたような半球があり、その回りにペットボトルを何本もくっつけている。ペットボトルの中にはビー玉がたくさん入っているようだ。[相依性縁起は、龍樹(ナーガールジュナ)が『中論』等で展開した縁起についての一つのとらえ方で、ものごとは因果的に次々と生起するものではなく、互いに相依る関係、すなわち相互依存性のなかにあるとした。]
さえずり(岩重圭子):木の枝に15cmくらいの小鳥がとまり、その下に、鳥のさえずりを聴いているのだろうか、ウサギが両耳を後ろにほぼ水平に伸ばして座っている(ウサギといえば耳を立てているものと思っていたので、新鮮な感じがした)。
奏でる(松下幸夫(さちお)):高さ150cmくらいの立像で、衣服を着け、両手でフルートを持ち吹いているような姿勢。フルートそのものはなくて、両手のひらの内は円く中空になっており、顔はやや左向き。お腹のあたりには横長の弧状の服の襞が何本も並んでいる。樹脂製?
Rise(白鳥一晴(いっせい)):木と、松などの針葉やコケなどを組み合わせた作品。
生命のINRI(天乃睦柘彫(あめの むちゃちょ)何重にも重なったネットが、回りの木の枝から吊り下げられていた。INRI は、Wikipedia によれば、イエス・キリストの磔刑においてその十字架の上に掲げられた罪状書きの頭字語(ラテン語:IESVS NAZARENVS REX IVDAEORVM 「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」)だとのこと。
 
(2024年5月27日)