石創画作品紹介

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 私は、2008年10月より江田挙寛先生の石創画教室に通い、石創画を制作しています。
 2006年12月、茨木市立ギャラリーで開催中の石創画展(「石創画28年の足跡展」)に偶然立ち寄りました。そこで初めて石創画に触れました。大部分は平面作品で触ってはぜんぜん分かりませんでしたが、一部レリーフになっている作品もあって、これは触ってよく分かりました。
 石創画は、茨木市在住の江田挙寛氏が、30数年前(1978年)に研究・開発した、石で絵を描く独自の手法です。大理石など石の粉にほぼ同量のセメントを混ぜ、それに顔料と水も加えて練り合わせ、それを型に塗り込んで、乾いたあとで磨き上げるという過程を何度も繰返して、絵を描きます。多くは平面作品ですが、浮出しの絵も描くことができます。江田先生は、これまでに数回「石創画タッチ展」を開催しており、私も時々作品を出展しています。

「なんびきイルカ」
なんびきイルカ
 青い海に白いイルカが3びき連なって一つの輪になっています。見てはすぐ分かるのですが、触ってだけでは、頭と尾が連なっていて、3びきとはなかなか分かりにくいです。本格的な石創画の作品第1号で、デザインはうまく行ったと思っています。(2008年)

「カラス(飛ぶT)」
カラス(飛ぶT)
 地上に黒いカラスが羽を閉じて静止し、空高く白い鳥(ツバメ?)が飛んでいます。 (2009年)
 
「ワシ(飛ぶU)」
ワシ(飛ぶU)
 黒っぽい岩山から白いワシが飛び立とうとするところです。ほとんど私の想像ですが、単純で触っても分かりやすいと思います。(2009年)

「トキ(飛ぶV)」
トキ(飛ぶV)
 トキが力強く飛んで来るのを、空の上から見ているところを想像して作ってみました。トキの形は、民博に展示されていた内山春雄さんのバードカービングのトキの触った記憶を参考にしています。背景は緑、羽は全体的には白で、先端や尾羽の縁はピンク(鴇色?)。前のほうの翼は3層になっています。嘴は黒で、先端が赤、頭の両側の目も赤。 (2010年)
 
「ヴィーナスの誕生」
ビーナスの誕生
 かの「ビーナスの誕生」の簡易半&デフォルメ版です。有名な「ビーナスの誕生」も私の技術ではこんなところです。真ん中の貝に乗ったビーナス、および陸・海・空の境界は、触ってもよく分かってもらえるようです。(2011年)

「踏む」
踏む
 曼荼羅の中にあった仏像を点図にしてもらって、それをできるだけ真似て作ったものです。地を踏み締め、手を広げ、髪は立ち、けっこう力強さを感じられる作品だと私は思っています。(2011年)

「散歩」
「散歩」
 水から上がって砂浜をカニがこちらにやってきます。できるだけ動きが表現されるように工夫したつもりです。このカニさんは、しおまねきという小さなカニを木で彫ったことがあって、それをモデルにしてみました。片方のはさみがとても大きくて、私は好きです。展示会では皆さんからもかわいいと好評でした。 (2009年)
 
「昼寝(古代生物T)」
昼寝(古代生物T)
 手元にあるワニの模型を参考に製作しました。水辺から陸地に上がってきてのんびり横たわっているワニです。頭から尾にかけての模様を付けるのはたいへんでした。また、足も模型を参考に丁寧に作ったつもりです。写真では見えませんが、頭部の先の口は少し上下に開いています。 (2010年)
 
「アンモナイト(古代生物U)」
アンモナイト(古代生物U)
 アンモナイトに、イカのような脚10本、さらに口や目も付けてみました。化石としてはアンモナイトは殻の部分しかありませんが、生きている時の姿の想像です。(自宅で制作。2010年)

「サメ(古代生物V)」
サメ(古代生物V)
 海を悠々と泳いでいるサメです。口を大きく開けてこわそうに作ろうとしましたが、出来てみると皆さんかわいいと言ってくれます。1人で色合せもしました(海の青、サメの白とピンク)が、これはうまく行ったようです。(自宅で制作。2010年)  
「ひろがる」
ひろがる
 中央下の白い貝(これは見た人たちからはかぶらでしょ、と言われます)から、まっすぐ上と左右に緑の葉がのびひろがっています。これらの葉は、柏餅の柏の葉をそのまま象りました。左右の葉の上には柏餅の餅をのせてみました。 (2009年)
 
「貝 かい カイ」
貝 かい カイ
 大きな巻貝の中に、反対向きに向い合せた2個のオウム貝を配置しました(オウム貝は、貝といっても貝の仲間ではなく、タコやイカなどと同じ頭足類)。巻貝の螺旋をどうやって平面的に表すか苦労しました。巻貝の周りは薄い青、内側は白、その中に、薄いピンクとオレンジがかった赤のオウム貝。 (2009年)
 
「鯉」
 これは自宅で作ってあまりうまく行かなかったので、これまで一度も展示したことのない物です。今はどんなつもりで作ったのか、よく思い出せないくらいです。鯉の色が黄土色っぽくなって思ったようにはなりませんでしたし、鱗を触って分かるようにしたいと思ってやってみたのですが、これもうまく行きませんでした。形だけはそれなりに出来ましたが。(自宅で制作。2010年)
 
「土から生まれるものたち」
土から生まれるものたち
 生き物のみなもとは土なのではと思って製作してみました。地中には、みみずが2ひきと青い虫。地中に根を生やした植物が、地上で葉をのばしきれいな花を咲かせ、その蜜をもとめて大きな蝶がやってきます。みみずはけっこうリアルなようで、触るのを嫌がる人たちもいます。蝶の形は揚羽蝶を参考にしました(小さな青い紋は適当に付けたものです)。 (2009年)
 
「ひらく」
「ひらく」
 火炎土器のレプリカを触ったことがあって、その印象をなんとか石創画で表現しようとしたものです。側面を4方向に開いてひろげた形をイメージしています。一番外側の細い輪は空を、その内側の黄緑(ほんとうは若草色にしたかった)は草原を表わし、草原で火炎土器を焼いているところをイメージしています。私は気に入っている作品ですが、見た目では一番分かりにくいもののようです。 (2011年)
 
「層・想」
層・想
 地層あるいは意識・心の層を表現してみたものです。黄色系と紫系を交互に、明かるい色から暗い色に変化させてみました。そして一番下には真赤のマグマあるいは心のエネルギーが湧き上ろうとしています。(2012年)

「原 層・想」
原 層・想

 これは、虹のような色の変化を、顔料の混ぜ合わせの割合をいろいろ変えてみて出せるのか自分で試してみようと思って作りました。見た目はぜんぜんよくないようですが(とくに紫がぜんぜん出ていないようです)、触った感じは各層がしっかり段々になっており、また下の3本の赤の塊が層を突き破るようになっていて、なかなか迫力があるように感じます。 (2010年。自宅で製作)
 
「結晶」
結晶
 雪の多様な結晶の様子を点図で触ったことがあって、その印象から作ってみました。背景は青。3層になっていて、中心は結晶の核となる濃い青の膨らみ。その周りに6方向に真白な枝が伸び、さらにその周り(下の層)に6方向に複雑な形が広がる。 (2010年)
 
「銀河」
銀河
 私の銀河のイメージ。背景はほとんど黒で、所々に白い石がちらちら見える。中央に真っ赤なバルジ(その中心にある穴がブラックホール)、斜め横に伸びるオレンジと青の2本の腕、大きな2本の渦巻き。渦巻きなどには星を示す半丸がたくさん付いている。(2009年)

「夜空(飛ぶW)」
夜空
 暗い夜空に、下にゆったりとした感じのはくちょう座、上に力強いわし座、そしてはくちょう座の左側に青白からオレンジへと変化する流れ星が描かれている。(はくちょうとわしそれぞれの羽の模様、また、流れ星が夜空からすうっと表われてくるのを触って確認してほしい。)(2012年)
 *はくちょう座とわし座の原図には、常磐大学の中村研究室が作成している触図を使わせてもらいました。また、流星のイメージを表現するのにも、中村先生の撮影したししざ流星群の写真を参考にしました。ありがとうございました。

「オリオン」
オリオン
 点図で描いてもらったオリオン座を、できるだけ忠実に石創画で表現した。腰の辺りに三つ星、左足にリゲル、右肩にベテルギウスなど、星が十数個。右手で棒のようなのを持ち、左腕に毛皮のようなのを下げている。(2010年)

「流転」
流転
 いろいろな宇宙(銀河)の姿・変遷を表現してみたかった。真中に龍があり、その回りにいろいろな銀河を配置。右下が出来て間もない渦巻き銀河、その左が私たちの銀河、その左が楕円銀河、左上から中央が銀河の衝突、右上がアンテナ銀河のつもりで描いた。(銀河衝突のイメージはなかなか描き難かった。アンテナ銀河は、2つの渦巻き状の銀河の衝突によってできたものとされる。)(2013年)

「桜花」
桜花
 満開の桜です。私は毎春近くの安威川の土手にある桜を触りに行きますが、その中に川に向って太い枝を伸している桜があります。またもう20年以上前でしょうか、盛岡に行った時に北上川の河川敷に桜の太い幹が何十メートルも横に伸びていました。それらの印象を基に描いてみました。背景は、青い空(上のほうがやや薄い青、右下は川面)で、そこに赤茶っぽい枝が伸び、桜の花が40個近く開いています。花は薄いピンクですが、中心のほうが濃くなっています。
 
(2013年10月27日、2013年12月26日更新)