【参考資料W】 触図について

上に戻る


 これは、今から3年近く前に、点訳ボランティアを対象に触図について話した時のレジメを一部加筆修正したものです。
1 はじめに
 ほとんど視覚経験を持たない者の立場からの、触図についての考えをごく一般的にまとめたものです。視覚経験を持たない人でも個人差が非常に大きいので、結局は〈私〉の立場からの考えと言ってもいいです。
 触図の作製法には、従来のエンボス式の点図のほかに、サーモフォーム、発泡印刷、UV印刷、立体コピー、レーズライター、さらにはパソコン上で図を描くソフトを使う方法などいろいろあります。それらにはそれぞれ一長一短があり、実際にはそういう特徴を踏まえて図を描かなければなりません。
 当日の話の中では、各作成法に応じた図の作り方にもふれながら、具体例も挙げて説明しましたが、以下は作成法の違いを無視したごく一般的なまとめです。

* 触図に関する3要素
 ・触図作成者(とくに、原図からどのように情報を厳選するか)
 ・図そのもの(各触図作成法の特徴、およびどの程度触覚で識別できるか)
 ・触図利用者(何の目的で図を利用するか)
[この三つがうまく適合した時に、利用者にとって分かりやすくかつ役立つ図と言える]

2 触覚の特徴(視覚と比較しての)
 1) 情報量の違い
2点識別閾:触覚(指先) 1.5ミリ程度、視覚 0.15ミリ程度。(面積あたりでは、視覚の100分の1)
触覚では、色、明暗、字体、遠近感などは直接には認知できないので、情報量の差はもっと大きくなる。
 2) 部分的認知の積み重ね
指先で極小部分ずつを認知し、それを頭の中で順番に結び付けていって全体的な図をイメージする。
(ちょうど、皆さんが直径1cm弱の筒を通して図を見た場合を想像してみてください。
図全体を理解するには、その筒を左右上下に動かしながら、その像を頭の中で合成しなければならないはずです。)
3 図を描く際一般的注意
1) 本文の説明(または点訳者による簡単な説明の付加)だけで図が十分理解できる時は、省略してもよい。
2) 図の概略があらかじめ分かるように、図の前に(注)を補ったり、図中に語を追加する。
3) 本文の理解に支障をきたさない範囲で、図中の情報は必要最小限に止める。
4) グラフ(とくに、円グラフ、帯グラフ、棒グラフなど)の数値がおおよそ読み取れる場合には、表形式に代えても良い。
5) 点・線・面の種類は少なくする(いずれも、 3種類程度までしか十分には識別できない)。
6) 引出線を多用しない(範囲を示す引出線は有効)。
4 地図
1) 目的(または本文の意図)に合った地図を作る(→その目的・意図に合せて、情報を厳選する)。
2) 凡例・略称を適切に
5 平面図
1) 2本以上の線が交差している時は、線の種類を変えるか、交差の前後で線を切る。
2) グラフの線が多い時は、2枚の図に分ける(ただし、本文の理解を妨げないように、その分け方には十分注意する)。
6 立体図
上から見た図、横から見た図、断面図、展開図、またはそれらの組み合わせで示す(斜めから見た透視図のままではほとんど分からない)。