専門点訳講習会「理科系点訳コース」 第7、8回分: 触図

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*専門点訳講習会の後、盲人情報文化センターのボランティアを対象に触図の勉強会をしました。勉強会のために資料をかなり加筆・訂正しましたので、それを掲載します。

目次
1 はじめに: 見える場合と見えない場合の違い(子供を中心に)
2 触図の作成方法とその特性
3 触図作製上の一般的注意
4 エーデルを使った作図法の目安―点種と点間隔を中心に―
参考: エーデルの画面説明と主な機能


1 はじめに: 見える場合と見えない場合の違い(子供を中心に)

1.1 環境の違い
 見える場合、ごく幼いころから、親や回りの人たちの豊かな表情を伴ったはたらきかけをはじめ、テレビ、絵本、ビデオなど、多くの視覚情報に接し、それとともに見る能力もごく自然に向上する。適切な時期(感受性期・敏感期)に適切な刺激を与えることが大切(注)。
(注)視機能の発達では、 1歳半くらいがもっとも感受性が高く、 8歳くらいまで続くとされる。この期間内に適切な視覚刺激を受けないと正常な視機能が得られないことになる(例えば、ぼやけた像ばかり見ていると弱視になることがある)。なお、聴覚について、絶対音感や言語発達については 5歳くらいが臨界期とされているが、視覚以外の諸感覚についてははっきりしたことはあまり分かっていないようだ。さらに、人間の脳は極めて可塑性が高く、臨界期を過ぎてからでも実際に学習は可能であることが多い。

 これにたいし、見えない子供の場合は、新生児期を過ぎると(注)、普通の状態では発達段階に応じた触覚的な刺激・情報が与えられることが少なくなり、そのため触知能力が未発達のままになりやすい。
(注)新生児・乳児期では、見える・見えないにかかわらず、親との直接接触などを通じ、皮膚感覚をふくむ体性感覚が重要である。

1.2 視覚と触覚
●視覚の特徴
 遠隔的、全体的、空間的、分解能が高い

●触覚の特徴
 直接接触、部分的、継時的、分解能が低い(注)
(注)視覚ではルーペ・顕微鏡・望遠鏡といった分解能を高めるための道具があるが、触覚についてはそのような物は今のところ無い。

 触覚では、まずは直接触れている部分のみについてしか知ることができない。それから、それぞれの部分情報を順番に(記憶にとどめつつ)つなぎ合せ、全体について知る。この場合、とくに手のスムーズな動きが重要である。(〈触知〉のためには、〈手を動かす〉という能動的な行為と、全体的なイメージを組立てるという頭の中での作業が不可欠。)
 そして、見える子の場合、この手のスムーズな動きもふくめ、触覚は目との協応によって育っていく。
 見えない子の場合、目の助けが得られないため手のスムーズな動きが発達しにくく、部分から部分へとうまくたどることができず、なかなか全体について知ることができないことになる。そのため、意図的に手の動かし方もふくめ触知能力を高めるためのプログラムが必要になる。(見えない場合でも、積極的に行動する子供の場合は、試行錯誤するうちに手のスムーズな動かし方を経験的にある程度身に付けることもできる。)

1.3 触知能力の発達段階
 (見えない子供の触知能力を向上させる観点から考えたものです。実践に基づいたものでないので、どれだけ有効かは何ともいえません。)

●面 (できるだけ両手で確かめる)
・物の表面の感触(堅い・軟らかい、ざらざら・つるつる、暖かい・冷たいなど)
・同質な面の広がり
・テクスチャの違い、テクスチャの境界に気付く
・テクスチャの違いから浮び上がってくる面の形をたどる
・面の形で示された具体物(卵、クッキー、花、動物など)

●線 (できるだけ両手を使う)
・線をたどる(縦・横の直線、斜めの直線、滑らかな曲線、折線、複雑な曲線。手の動く方向をコントロールできるようにする。)
・閉じた形(円、四角、三角など。片手を基準点に置いて、他の手で線をたどり元に戻ってくることを確認)
・たどった線の形を、頭に思い浮かべつつレーズライターで描いてみる
・具体的な物(花、動物など)の輪郭をたどる
・合同・相似な図形を探す @向きが同じ場合
・左右・上下で対称な形(最初の段階では基準となる対称軸も入れる)
・直線について、平行、垂直、交わる角度の違いを理解する
・グラフの数値を読み取る
・回転図形、点対称の理解
・合同・相似な図形を探す A向きが異なっている場合
・2本以上の曲線の変化の様子を比較する
・地図の各種図法を知る

●イメージトレーニング(点から線、線から面をイメージする)
・ 2点を結んでできる直線を、手の運動として体感したり紐で結んで確認し、またイメージとしても定着させる
・いくつかの点を結んで、閉じた形をイメージする
・星座などの理解
・数本の線の交差でできる閉じた形を、面としてイメージする

●立体
・簡単な立体物について、上面や側面の平面図を描き、実物との対応をつける
・展開図から実物を組み立て、展開図とその立体物との対応をつける
・簡単な立体について、真上から見た図、横から見た図、水平・垂直な面での断面図などお描き、理解させる
・円柱などを角度をいろいろに変えて切った時の断面図の変り方を体験させる
・立体を、平面図と立面図の組み合わせで示す方法を定着させる
・簡単な立体について投影図や見取図についても例を示し、理解させる
・遠近法について、簡単な図を使って説明する

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2 触図の作成方法とその特性

2.1 いろいろな触素材を貼り付けて作成する方法
 紐、布、木材、ゴム、種々の材質の紙などを、台紙など土台となるものに貼り付けて触図を作成する

●長所
 線や面、花や動物など、図の構成要素ごとに素材を変えることで、それぞれの素材の触感の違いで極めて明瞭に図の構成要素を識別できる。
 幼児など、触経験の少ない者にも楽しんでもらえる。

●短所
 まったくの手作業で時間がかかる。
 複製もかなり難しい。
 形の細かい表現にはあまり適していない。

2.2 点図による方法
 点字用紙に点で打ち出す方法。点字と類似の触感なので、触読者には慣れている。

@亜鉛板を使ったエンボス製版
 点字教科書などの点字出版で用いられている。

●長所
 点の大小、点の高さ、点の間隔などをほぼ自由に調整できる。
 点以外の、短い線をつなげた破線、三角印や十字形なども使うことができる。
 紙面の裏に出した点を使うことにより、図の表現力が増す。
 1枚の原版から大量に複製できる。

●短所
 原版の製作には、熟練した職人的な技術が必要。
 多様な表現は可能だが、それだけそれを読み取る触知力も必要になる。

Aエーデルなどの点図描画ソフトを使って点字プリンタで出力する方法
 点図描画ソフトとしては現在エーデル(EDEL)、 BES、点図くんがある。ソフトが無料で、自由に曲線が描け、図の打ち出しに点字プリンタとしてかなり普及しているESA721を使えるため、エーデルがもっとも広く使われている。以下は主にエーデルの場合である。

●長所
 画面上で作図でき、データを共有すればどこででも複製できる。
 裏に出した点も使える。

●短所
 点以外の表現ができない。
 点の大きさが大・中・小の3つに限られる。
 点の高さが調節できない。
 斜めの線や複雑な曲線では、点間隔が一定しなかったり、段差が付くようにずれて滑らかにたどれないことがある。
 画面上ではきれいに描けていても、プリンタで打ち出してみると細かくずれて乱れていることがよくある。また、プリンタが誤動作することもあり得るので、その都度うまく打ち出されているかどうかを確認することが必要。
 複製はできるが、打ち出すプリンタが違えば、細かい部分では差異が生じる。

※ BESでは、グラフィック機能を使って、四角、円、放物線などやそれらを組み合せて、簡単な数学的図を作成できる。点字データと共通のファイルに入れられるが、グラフィック中の点字も本来の点字行にしか書けない。
 点図くんはソフトとしてはもっとも優れているようだが、有料であり、またその機能をフルに表現するには特別のプロッターが必要なこともあって(最近はESA721も使えるようになった)、あまり普及していないようだ。私は点図くんによる触図をほとんど触ったことがない。

2.3 立体コピー
 原図を、まず発泡剤を塗ったカプセルペーパーにコピーし、それを立体コピー現像機にかけて熱処理し、原図の黒い部分が発砲することで浮き出させる方法。

●長所
 原図は手描きでも、また一般の描画ソフトを使って描いてもよく、原図さえできれば、拡大や縮小もふくめ、簡単に作成できる。(KGSより発売されている立体コピー作成機ピアフでは A3版まで利用できる。)
 触感は軟らかめでよい。
 点図では点が基本だが、立体コピーは線や面を使った表現に優れている。
 複製も簡単。ただし、仕上がりにはむらがあることがある。

●短所
 浮き出しの濃さは加熱温度に左右され(温度が高いほど濃くなる)、温度調節しなければならない。
 小さな点や細い線はぼやけてしまい、原図の通り浮き出すとは限らない。
 点字パターンを直接浮き出させることはできるが、そのさいは発泡による膨張を考慮して、点の大きさはやや小さめに、点間隔はわずかに広めにしたほうが触読しやすい。(立体コピー用の点字フォントがインターネット上で公開されている)
 複雑な輪郭をクリアに表しにくい。
 長期間の保存には向かない。

2.4 サーモフォーム
 元々は点字の複写装置としてアメリカで開発されたもの。原版の上にプラスティック製のシートを被せて熱処理し、シートを軟化させた上でコンプレッサーで下から空気を抜いて原版とシートを密着させることにより、原版の凹凸を極めて正確にコピーする方法。

●長所
 5mmくらいの高さまで、原版の凹凸をかなり正確に表せる。
 ・凹部もふくめ、数段の高さの違いを立体的に表現できる(サーモフォームの地図では、川や湖を凹で表している)
 ・交差している線の上下関係も分かる(文字の書き順も、線の上下関係から判断できることがある)。
 線や面の縁部の細密な形を明瞭に表現できる。
 触って判別しやすい各種の面記号を使える。

●短所
 シートが堅めで吸湿性がないためだと思うが、長い時間触っていると疲れる。
 熱に弱い。
 原版作成にも、複製するにも、かなりの熟練を要する。

※サーモフォームは現在、原版作成の難しさなどのためだと思うが、ほとんど使われなくなってきた。しかし、触図作成法としては今でももっとも表現力が大きく、地図や臓器など複雑で正確さを求められるような触図には、サーモフォームの利用を期待する。

2.5 発泡印刷
 シルクスクリーン原版を作り、発泡剤を混入した特殊なインクでシルクスクリーン印刷をする。印刷した用紙を加熱すると、インクが発泡して盛り上がる。

●長所
 大量部数の印刷ができる。
 点字と併用して美しい印刷物ができる。
 ある程度細密な表現が可能。
 紙は軟らかめで、手触りは良い。

●短所
 印刷にばらつきが生じることがある。
 盛り上がりの高さは低めで、点図ほどには線や面の輪郭がクリアではない(とくに長い時間が経った場合)

2.6 紫外線硬化樹脂(UV)インクによる方法
 紫外線を照射するとその樹脂が瞬時に硬化してしまう特殊な光硬化樹脂を原料としたインクを用いて、印刷部分を凸状に盛り上げる

●長所
 大量部数の印刷に適している。
 透明なインクを使えば、普通の印刷面の上に重ねて印刷して見える人と見えない人が共用できるいわゆるユニバーサルな印刷物が提供できる。

●短所
 広い面では、盛り上がりの高さにむらができることがある。
 細密な表現にはあまり向かない。

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3 触図作製上の一般的注意

3.1 図を省略しても良い場合

@原本の(文章による)説明だけで図の内容が十分表されていると判断できる場合

A原本の説明とともに、点訳者が簡単な文章による説明を付け加えることで、図の内容が十分理解できる場合

B円グラフ、棒グラフ、帯グラフなどで、原図に詳しい数値が記入されている場合は、表形式に置き換えても良い。(数値付きの折れ線グラフの場合は、グラフと表に分けても良い。)

C写真や挿絵などで、原本の内容の理解のためにさして重要でないと思われる場合

※これらの場合でも、触図を描くことにより、本文の複雑な説明が分かりやすくなったり、変化の様子が把えやすくなったり、比較が容易になったりすることもある。実際に図を描くかどうかは、原本での図の役割や目的、利用者の目的などを勘案して判断するしかない。

3.2 図の注について
 注はできるだけ実際の図の前にまとめる。

 順序は、原本の注、点訳者の注(必要に応じて、図の位置や見方、図の概略、図で省略した部分や大幅に手を加えた所など)、略記や凡例等。
  (出典については、原図で図の下に書かれている場合、触図でもとくに位置を変えずにそのまま図の下に書いても良い。)

 原本の注と点訳者の注を分けずにうまく組み合せたほうが分かりやすくなることもある。

※とくに図の見方や概略をうまく説明できれば、読み手はそれに従って図を見ることができるので、安心して効率よく図を理解できる。
【例示】 3つの円の大部分が重なった図
 半径6cmの3つの円を、各円の中心が1辺2cmの正3角形の頂点に位置するように描く。
 この図は、視覚では3つの円から成っていることは容易に分かるだろうが、触覚では、交差が多くその度ごとにどの方向にたどって行くか迷うため、3つの円の組み合せという図全体の構成を理解するのはなかなか難しい。3つの円の線種を相異なるものにすれば、触覚による理解はかなり改善はされる。しかしそれに加えて、図の初めに注として「図は大きな3つの円から成っていて、大部分が重なっている」というような説明文を入れ、あらかじめ図の概略を示し図の見方を方向付けるほうが、触覚による理解をはるかに容易にする。

3.3 略記・凡例
 一般の略記は点字2マス以上が良い。
 略記としては、実際の言葉の語頭の文字など、記憶・想起しやすいものが望ましい。(安易にアルファベット順や数字順の略記を多用しないほうが良い。)

 図記号による凡例はできるだけ少なく(4、5種程度まで)。
  (一般に、図記号による凡例よりも、それを示す文字ないしその略記を使用したほうが望ましい。)
【補足】電話やトイレやエレベータや色々な建物などを示す図記号はできるだけ種類を限定し、円、四角、三角、菱形、×印などごく単純な形のものを使うほうが良い。また、これらの簡単な図記号と「デ」「ト」「エ」といった略記号をセットで使うと効果的である。

●略記の説明の仕方について
 @数が少ない時(10個以内)は、図で触るであろう順番(上から下、左から右)に
 A数が多い時は、五十音順やアルファベット順に
 B略記の種類をいくつかに分類し、その小分類ごとに説明する (そのほうが、理解しやすいし、記憶にも残りやすい)

※図中における略記等の文字の位置は、図記号の上ないし左側が原則 (余裕のない時は、下あるいは右側でも良い。)

3.4 図中の省略や補足
 とくに理科・数学的な図では、その図が何をもっとも伝えたいのかをよく吟味し、その伝えたい意味に即して、図の一部を省略したり、加工したり、強調したり、補助線を引いたり、さらに図中に補足的な言葉を入れたりすることも必要。
 地図では、描き込まれている多くの要素の中から本文との関係で必要と思われる物だけを記したり、複雑な海岸線などを単純化して示したほうが良い場合がある。また逆に、視覚では例えば全体的な配置や海岸線を見ただけですぐにそれがどの地域なのか分かるが、触覚では分かるまでに時間がかかることが多いので、手掛りとなるような地名(海洋・大陸・国名など)を入れたほうが良い場合がある。

※視覚的な図では、1つの図的表現から同時にいくつかの解釈が可能な場合(多義的だとも曖昧だとも言える)も多いようだ。触図を読み取る場合は、触って行く順序などの影響が強いためだと思うが、どれか1つの解釈に固定され、他の解釈にはなかなかたどり着きにくいことがある。

3.5 点、線、面などの種類は少なく
 技術的には可能であっても、点、線(実線と点線)、面、その他の図記号の種類をできるだけ減らす。
・点の種類(点の高さや大きさの違いによって表現される)は、 5種類くらいまで
・線の種類は、実線・点線それぞれにつき、 2、3種類 (その他、エンボス製版では破線や点破線も使える)
・面記号としては 5、6種類くらい使い分けることはできるが、狭い範囲の場合は識別が困難になるので注意。
 異なる面記号が直接接することはできるだけ避け、異なる面記号間には境界線を引き、その境界線をはっきりさせるため境界線から面記号をわずかに離して描くと良い。
 (面記号の例: 縦線、横線、右上がり斜線、右下がり斜線、密な点、粗な点)
※面が広い場合には、境界線だけを示し、各面に言葉による説明を入れても良い。また、面記号の代わりに、面の意味を示す1文字の略記を並べても良い。

※いずれの場合でも、同種の記号を使ってもそれに具体的な言葉を付けることで違いを表すことができる。言葉による表示のほうが確実な場合が多い。

3.6 引出線について
 図の内側にある物を指し示すための引出線はできるだけ使わないほうが良い。( 生物関係の図では使わざるを得ないこともある。)

 引出線を使う場合は、
@図本体の線と引出線の線種を変える、あるいは
A引出線と図本体の線が交差する所では、引出線を優先させる
といった配慮が必要。

 図の外側部分にある物については、引出線は使いやすい。

 範囲を示す引出線は有効

※図中の特定の部分を示す方法としては、引出線以外に次の方法がある。
 ・図中では図記号だけで示し、その図記号を凡例で示す。
 ・点訳者注の中で、図中の他の特定された部分を基準にして、具体的に右上とか左下とか(地図中なら北東とか南西とか)、そこからの方向で示す
 ・示したい特定の部分の上に直接それを示す文字(略記でも良い)を書く

3.7 裏に出した点や線の利用
 点図では、裏に出した点を使用できる。
 裏に出した点や線は、表からは触って微かに分かる程度。
 裏に出した点はある程度広い範囲の面(地図では海など)を示すのに使える。
 裏に出した線は、グラフの方眼、地図の緯線・経線、その他補助的な線などに使っても良い(物の輪郭などには不適切)。

 図の凡例で裏に出した点・線について示したい時は、「裏に出した点でうめた部分は○○を示す」というように、図記号ではなく、言葉による説明にしたほうが望ましい。

※サーモフォームの図では、川や湖などを凹の線や面で表すことができる。

3.8 1枚の図で描き切れない場合
 原図では1枚の図を、触図では、
@全体図と、その中の一部の拡大図
A上から見た図と断面図など、異なった方向から見た図、
Bエネルギーの流れと物質の循環、地勢図と行政図といったように、視点別に分けた図
C各部分ごとに分割した図
のように、数枚の図に分けたほうが良い場合も多い。

 その場合は、図をどのように分割し配置してあるのかを点訳者注ではっきり説明しなければならない。また、図を見る順番や見方についても説明したほうが良い場合もある。

3.9 グラフ
●グラフの軸
 多くの場合、グラフの縦軸は左側だけ、横軸は下側だけとし、右側と上側の軸は省略して良い。 (HR図や雨温図などでは、上や右の軸も必要。)
 グラフの縦軸・横軸の目盛は、軸の外側に付ける。(縦軸の各目盛に付ける数値などは、最後のマスを揃えるようにする。)

●2本以上の線が交差して分かりにくい時
 @線の種類を変える
 A交差する所で、どちらかの線を空白にする
 B線の両端にその線を示す言葉を入れる
 (各線が交差しない時は、同じ線種を使っても良い。)

●グラフの線が多い時
 グラフの線の数が多い時は、2枚以上の図に分けても良い。
 (ただし、本文の理解を妨げないように、また問題集では問題を解くのに支障がないように、その分け方には十分注意する)。

●2本以上の線が部分的にほとんど重なり合っている時
 @縦または横に拡大(1.5倍くらいまで)して、各線を触覚で区別できるようにする
 Aどれか1つの線を優先し、必要があれば点訳者注でどの線がどの範囲で重なっているかを説明する

3.10 立体図
 上から見た図、横から見た図、断面図、展開図、またはそれらの組み合わせで示す。
 数学では平面図と立面図で示すのが良い。また、理科では横断面と縦断面で示すと分かりやすい場合がある。

※一般には、触図では斜めから見た投影図や透視図のままではほとんど分からないとされている。ただし、投影図法・透視図法の意味をよく理解し、また触経験を積むことにより、簡単な図では投影図・透視図のままでも分かるようになる。(見取り図などについても同様のことが言える。)

3.11 その他

@原図ではしばしば図の領域全体が枠囲みなどになっていることがあるが、触図では、その枠などに特別な意味がないかぎり、枠全体(あるいは一部)を省略したほうが良い。

A教科書や問題集など、点字の本の中に図もいっしょに綴じられる場合は、横書きの図は必要最小限にしたほうが良い。
 原図で2つ以上の図が横長に配置されている時、意味上とくに問題がなければ、触図では方向を変えて縦に配置しても良い。

B歩行用触地図では、道を凸の線で示す方法と、道の両側を凸にし道そのものは凹で示す方法がある。

*触図がどの程度見えない人たちに分かるのかを判断するのは、触読者の側の経験や能力も関係し、なかなか難しいことです。触図製作者としては、最低限、原図を見ずに触図だけを見て図をイメージし、それがどの程度原図が伝えたい内容と一致するのかを確認してみてほしいです(他の点訳者に依頼してもいいでしょう)。

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4 エーデルを使った作図法の目安―点種と点間隔を中心に―

 エーデルでは、横480ドット×縦684ドットの組み合わせで指定される位置に点が打ち出されることで図が描かれる。(Ver.5 からはA4版の用紙にも印刷できるようになり、その場合は600×745ドット)
 1ドットは約0.3mmで、1cmはほぼ30ドット分に当たる。
 (エーデルで打ち出される点字の 1の点と 4の点の中心間の距離は 6ドット、初めのマスの 4の点と次のマスの 1の点の距離は 9ドット。)
 点の種類は、小、中、大の3種。各点の大きさ(基部の直径)は、小が 0.7mm、中が 1.5mm、大が 1.7mm。(点字の点に使われているのは中の点)
【参考】点字教科書で使われている点の大きさ: 東京点字出版所から出ている中学理科の教科書では、 0.8mm, 1.2mm, 1.5mm, 1.8mm, 2.7mmの5種。
 点の間隔は、小が3〜20、中が4〜21、大が5〜22で、各点につき18通り。 (初期設定は、小点が6、中点が 7、大点が 8。適宜変更して使わなければならない。)
 (このほかに、「補」という点種(点間隔は 6〜23)が用意されている。これは画面にだけ現われ、印刷はされない。実際の点図を描く時の補助的な線として使ったり、回転や移動・複写などを行うさいの基準点・基準線として使うなど、有効に活用してほしい。)
 厚い用紙を使って打ち出したほうが、小・中・大の点の区別がしやすい。

※エーデルの機能や使い方については、「麦のページ」が参考になる。
 http://homepage3.nifty.com/mugi-owl/

【注意】以下に示す〈目安〉は、エーデルの特徴と、私がこれまでエーデルもふくめいろいろな種類の多くの点図を触ってきた経験とを考え合せて提案するものです。私の触経験についてはある程度一般化できる部分もあるでしょうが、やはり個人的な好みや私自身の触知の特徴もかなり反映しているはずです。ですから、この目安はあくまでも参考程度のものとして活用していただければと思います。

※この〈目安〉に即してエーデルで作成した10数枚の図データがあります。ご希望の方は連絡してください。

4.1 実線
●小点
 縦・横の直線、斜め線、滑らかな曲線: 点間隔 5
 カーブのはげしい曲線や折れ線: 点間隔 4
 (入り組んだ海岸線、生物体の複雑な部分などには、点間隔 3を使っても良い。)
 引出線・グラフの格子線: 点間隔 7、または 3
【注意】
 1.小点の点間隔 7だと、各点がシャープに打ち出され全体としてやや強めの触刺激になる。小点の点間隔 3だと、(プリンタの状態にもよるが)打ち出された時に密に連なった各点が互いに干渉し合い全体としてやや弱めの触刺激になることがある。
 2. グラフの格子線は、数学の座表平面を示す方眼などを除き、ふつうはグラフ上の特定の点の数値を読み取るために必要な特定の限られた線だけにしたほうが良い。また、小点で格子点だけを示す方法でも良い。
 3. グラフの数本の線とともに、数値の読み取りのために格子線をすべて入れたほうが良い場合は、格子線を裏に出した点(中点で点間隔 7)で示すのが良い。それが難しい場合は、点間隔 3または 7の格子線を使っても良い(グラフの線が目立つように格子線を点筆の背などで軽く消して弱めると、触知しやすくなる)。

●中点
 縦・横の直線、斜め線、滑らかな曲線: 点間隔 6
 カーブのはげしい曲線や折れ線:点間隔 5
【補足】
 1. 主要な輪郭線には、中点の実線がもっとも普通。
 2. グラフの縦・横軸は、中点(点間 7)または小点(点間 6)の実線を使う。数学の座表平面上で、格子線や格子点、特定の点が中心になっているような図では、グラフの軸は中点が良い。中点の実線をふくめグラフの線が数本あるような図では、グラフの軸は小点のほうが良いように思う。
 3. グラフの格子線などを裏に出した線で示す場合は、中点の実線(点間隔7)を使う。

●大点
 縦・横の直線: 点間隔 8 (棒グラフの棒に使っても良い)
 斜め線・滑らかな曲線: 点間隔 7
【注意】カーブのはげしい曲線や折れ線に大点の実線や点線を多用するのは避けたほうが良い。

【補足】
 1. 入り組んだ海岸線や音の波形などのように、細かく激しい変化をより正確に表すには、点の大きさ・点間隔ともにより小さくしたほうが良い。
 2. タブレットを使って曲線を描く場合は、小点では点間隔 4、中点では点間隔 5が良い。
【注意】実線の点間隔が非常に狭いと(小の 3、中の 4、大の 5、6)、(プリンタの状態にもよるが)隣り合う点が緩衝し合って全体として触刺激の弱い線になることが多い。この現象はとくに大点の場合に顕著である。

4.2 点線
●小点
 縦・横の直線: 点間隔 11
 斜め線・滑らかな曲線: 点間隔 10
 はげしく変化する曲線・折れ線: 点間隔 9

●中点
 縦・横の直線: 点間隔 12
 斜め線・滑らかな曲線: 点間隔 11
 はげしく変化する曲線・折れ線: 点間隔 10

●大点
 縦・横の直線: 点間隔 14
 斜め線・滑らかな曲線: 点間隔 12

【注意】
 1. 点線中の急激に変化する部分は、点間が大きく空くことがあるので、フリーハンドで点を補うなどして、きれいに点線をたどれるようにしたほうが良い。
 2. 点線の場合、視点と終点の距離が短くなるほど、同じ点間隔を指定しても、実際の点間がしばしば広くなることがある。
   例えば、小点で点間隔11の点線の場合、始点と終点の距離が40ドットのときは、始点と終点の間には点が2個しか打たれず実際の点間隔はほぼ13になっている。このように始点と終点の距離が指定した点間隔の倍数よりもかなり大きい場合は、点間隔を小さめに補正する(左の例では、点間隔 11を 10にする)と良い。

【補足】立体的に図を表す時、見えている部分は実線で、見えていない部分は点線で示している。また、小点の点線は図中の補助的な線にも使っている。

【注意】
 線の種類をしっかり区別する必要がある場合、
小点の実線と中点の実線、
中点の実線と大点の実線、
小点の点線と中点の点線、
中点の点線と大点の点線、
の組み合せはしばしば分かりにくいことがある(とくに線の長さが短い場合(3、4cm以下))。そのような場合は、実線と点線、小点と大点の組み合せを考えてみる。

4.3 破線
 (2点おきに 1点消す。)
●小点: 点間隔 5
●中点: 点間隔 6
【注意】破線の使用は、グラフの複数の線をどうしても識別しなければならない時などに限る。なお、小点の破線は図中の補助的な線に使っても良い。

4.4 二重線(太線)
●小点: 点間隔 5、幅 5

●中点: 点間隔 6、幅 6

【注意】幅をこれ以下にすると、画面上ではきれいな二重線として描かれていても、打ち出されると二重線になっていないことがよくある。

【補足】
 1. 構造式中の二重結合には、小点の二重線を使う。
 2. 川や道を平行な2本線で表す時は、幅を12〜20くらいにすると良い。

4.5 矢印
 矢印の先の3角部分は、矢印の線が実線・点線いずれの場合も、実線にする。そして、矢印の先端の頂点をふくめ、両側に最低 3点は必要。矢印先端の頂点の角度は90度が望ましい。
 また、矢印の先端の頂点の手前は 1点分空白にする。線の途中に矢印が入り込んでいる場合は、頂点の前後をそれぞれ 1点分ずつ空白にする。
 矢印の線が小点の実線または点線の時、矢印の先の3角部分だけを中点に変えると、矢印がより見やすくなる。

4.6 面記号
 面記号にはふつう小点を使う。
 面の違いを示すために、エーデルでは領域を塗りつぶすペイントの記号として15種が用意されている。この内、範囲がある程度広い領域(縦・横とも1〜2cm以上)には、次の5種を優先して使うと良い。
べた塗り(粗)
縦線(粗)
横線(粗)
右上がり斜線(粗)
右下がり斜線(粗)
 また面記号として、正方格子を点間隔を変えて(例えば、 6、12、18の3種)使っても良い。(触読上は、各種のペイントを使うより正方格子のほうが見やすい。)
 海など広い領域については、裏に出した点(中点)を用いても良い。
 面の範囲が狭い場合には、べた塗り(密)を用いると良い。
 地層などのように、幅が数ミリくらいの細長い部分には、(ペイントではなく)中点や大点を適宜並べても良い。

●面記号と境界線
 複数の面記号が直接接していると、各面の輪郭をたどりにくいことが多い。そのような場合は、面の境界線を中点(ときには大点)の実線にし、境界線と面記号をわずかに離すと、触読しやすい図になる。

●面記号を使わない方法
 面が広い場合には、面記号を使わず、各面の示す内容を言葉で書き入れても良い。また、地層の分布や作物の分布などの図では、それぞれ該当する言葉の頭文字を1字採ってその文字を複数個並べても良い。(触読上は、面記号による区別よりも、直接言葉を書き入れたほうが便利なことが多い。)

4.7 文字と図記号の距離
 文字と図の線や点などとの間は、ふつう中点 2点分くらいスペースを置く。(最低でも中点 1点分のスペースは必要である。とくに、 5、6マス以上の文字列と図の線が平行になっている時は、最低でも中点 1点半分以上のスペースを置くようにする。)
 枠の中に文字を入れる時は、上下左右とも最低中点 1点半以上スペースを入れるようにする。
【補足】原図で枠囲みなどで強調されている言葉を、枠を使わず、「 」等の中に入れて示す方法もある。

4.8 線の交差のさせ方
 実線どうしの交差によって線がたどりにくくなりそうな場合は、どちらかの線を優先し(ふつうは、小点よりも中点、中点よりも大点を優先)、もう一方の線を 3点ないし 4点分(20〜30ドットくらい)切って、その空白部を通すようにする。2本の線が鋭角に交わるほど、空白部を広くしたほうが良い。
 線種が異なっており、交差部を越えて各線をなめらかにたどり得る場合は、とくに空白部をもうけなくても良い。
 点線と点線、または点線と実線が交差する時は、できるだけ交点を共通にすると見やすい図になる(交点を各線の始点または終点にすれば良い)。
【補足】 1点で数本の線が交わったり、 1点に数本の線が集中している時は、その点の回りの密集している点を適宜間引いたほうが良い。

4.9 裏面用のデータの作り方
 エーデルで裏に出した線や点を使うには、表面用のデータと裏面用のデータを作らなければならない。打ち出す時は、裏面用のデータから始めたほうが良い。
@表面用のデータを作製する。
A表面用のデータに、裏に出す線や点を補線・補点としていれる。(表面用のデータのグラフや文字と重なる部分は、消しておく。)
B裏に出す補線・補点以外を消して、それを左右対称移動させる。
C補線・補点の点種を変える(中点など)。そしてそれを裏面用データとして保存する。

※裏面用のデータを、表面用のデータと重ならずずれないようにうまく打ち出すには、プリンターまたはデータファイルの調節が必要
 プリンターであわせる時: 用紙のとめ位置をかえる。
 データファイルであわせる時: 左右対称移動させる時に中心位置をプリンターに合わせて変える。

4.10 グラフに均等な格子線・格子点を入れる方法
 格子線には小点の点間隔 7(または 3)を使う。
@ツールバーのグリッドのところをグリッド機能ONにする。そしてグリッドの間隔(3〜45)を選ぶ。
 (例の図では点間隔を 7としているので、7の倍数ないしそれより1、2大きい値が良い。例は、グリッド間隔 22と 36。なお、格子線の点間隔を3にした場合はこのような考慮はとくに必要ない。)
A点種を小点、点間隔を 7(または 3)にする。
B枠線をクリックして、縦の行数と横の行数(1〜20)を選ぶ。

 格子点だけを描きたいときは、まずグリッド間隔と点間隔を同じにして(例えば 15)格子点だけにし、それを適当な大きさに拡大すると良い。

4.11 その他
●線上の点
 実線・点線の途中にある特定の点は、大点で示す。そしてその大点の前後にそれぞれ1点分ずつくらいの空白をもうける。

●1本の連続した線上で点種を変える時
 例えば、同じ線上の途上で、中点の実線から小点の実線に変化させたい時は、変化する所で、1点分くらい空白を入れる。

●拡大や点種変更の際の注意
 エーデルでは簡単に図を拡大・縮小できるが、点間隔もそのまま拡大・縮小されるので、点間隔をしばしば補正しなければならない。 (拡大・縮小する時に補点に変え、それから元の点種・点間隔で描き直さなければならない。)
 また点種の変更も簡単にできるが、それぞれの点種に応じた適切な点間隔に直したほうが良い。(この場合も、いったん補線に代え、それから適切な点間隔でなぞらなければならない。)
【補足】拡大・縮小は、縦・横別々に 0.01倍刻みのスケールで細かくできるので、 B5版に図全体がうまく収まるように調整するのに使うなど、いろいろな活用法が考えられる。

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参考: エーデルの画面説明と主な機能

@エーデルの画面の大まかな説明
 画面の最上段に各種のメニューバー、その下にツールバー。
 画面の左端に上から下に点種ボタン、点間隔ボタン、各種の作画コマンドなど。
 画面の最下段にステータスバー。
 その他の画面の大部分が、作業領域。

A詳しい説明
メニューバー:ファイル、作画、点字、領域、編集、変形、文章連携、表示、ツール、オプション、ヘルプ
 ・ファイル:新規作成、EDELファイルを開く、履歴から開く、閉じる、用紙サイズ(B5、A4)の切り替え、B5(A4)サイズで上書き保存、B5(A4)サイズで名前を付けて保存、ファイルの参照、ファイルの合成、現在画面の点字印刷、現在画面の墨字印刷、B5(A4)サイズで上書き保存して終了、終了
 ・作画:各種の作画コマンド
 ・点字:任意の位置、定位置(片面タイプ、両面タイプ)
 ・領域:長方形領域を指定、多角形領域を指定
 ・編集:領域を指定して削除、全域削除、クリップボードへのコピー、切り取ってクリップボードへ、クリップボードからの貼り付け、部品データの保存、部品データの貼り付け
 ・変形:各種の移動・複写の操作
 ・文章連結:BASEで作成した点字データと連携
 ・表示:全体イメージの表示、非表示、グリッドの機能の表示・OFF、中心線の表示・非表示、「補」点の表示・非表示、異常接近箇所の表示・非表示、片面タイプの点字位置ガイドの表示・非表示、両面タイプの点字位置ガイドの表示・非表示、点字枠の表示・非表示、定位置点字の全面墨訳、書き込み点字の墨訳、指定領域の墨訳、下絵(画像)、下絵(文字)
 ・ツール:一括点字印刷EBA作成、画像・文字の自動点図化

ツールバー:作業領域切り替えボタン、グリッド選択欄、ファイル名欄
 ・作業領域切り替えボタン:縦位置、横位置、縦位置1.5倍、横位置1.5倍
 ・グリッド選択欄:グリッドの表示・非表示、機能の有効・無効、グリッド間隔をプルダウンメニュー(3〜45)で選択
 *グリッドはグラフなどの背景の正確な基準点として利用できる。画面上に縦横均等な点間隔(1〜20)で点があらわれる。グリッド機能オン・表示だけ・オフの3通りが選べる。機能をオンにすると、描こうとする点の始点と終点がその点の上しか選べなくなる。始点をそろえたり、等間隔で線を描くのに便利
 ・ファイル名欄:編集中のファイル名を表示

点種ボタン: 小、中、大、補
 *中の点は点字と同じ点種
 *補点は、画面上では他の点種(小・中・大)と全く同じように操作でき、図を描けるが、点図には現れない点。下書きにしたり、目安の点にしたりする。他の点種に変換すれば、実際の図になる。

点間隔ボタン:18段階から選べる(小の点3〜20、中の点4〜21、大の点5〜22、補の点6〜23)

作画コマンドなど:自由曲線、斜線、縦・横線、折れ線、弓線、連続曲線、長方形、正方格子、円、楕円、円弧、枠線、放物線、双曲線、無理関数、sin、cos、tan、ペイント、点字、点種変更(変更領域は、対象領域を指定、小領域(1点ずつ)を連続的に変更のいずれかを選べる)、領域を指定して消去、全域消去、平行(複写・移動)、左右・上下対象(複写・移動)、点対称(複写・移動)、その場で回転(複写・移動)、中心を決めて回転(複写・移動)、拡大縮小(すべて補点に変換・そのままの点種で変換、Ctrlで縦横同倍率、別倍率が選べる)、長方形領域を指定、多角形領域を指定、指定点種のみ、全点種、指定点種以外
 ※正方格子では、完全に等間隔の格子が表せるとは限らない(正確な格子点を得るには、グリッドが良い)。広い範囲の面を特定の粗さの点で埋めるのに便利。
 ※枠線は、表や方眼などを描く時に便利。描きたい大きさの外枠の中に、縦 1〜20、横 1〜20の範囲で中を当分に分割できる。縦横の線の交差点がずれることなく完全に一致するので、きれいに描ける。枠線とグリッドを組み合わせると、正方形のきれいな方眼が描け、グラフなどに使える。
 ※ペイントのパターンとしては15種類用意されているが、触察上も記憶のためにも、1つの図で使うのは4、5種以下に限るべき。輪郭線・境界線と塗りつぶしパターンとの間はわずかに空白を置いたほうが良い。
 ※回転によって得られる図は、回転による点の位置の誤差のためだと思うが、元の図のようにきれいになっていない事が多い。回転の利用は慎重にしたほうがよい。

ステータスバー: コマンドモード(図形の種類など)、操作中の状態を示す諸数値(カーソルの座標(左上が 0,0、右下が 479,683)、円の半径、指定した領域の座標、指定している線の長さ、回転角など)、操作中の状態・ガイド

Bその他の便利な機能
 Back Spaceキー: 取り消し。 (例 斜線を描いた後に このキーを押すと斜線が消える)
 Ctrlキー: 前の操作の始点を始点に指定できる。 (例 斜線を描いた後に このキーを押すと斜線の始点から続けて斜線が引ける)
 Shiftキー: 前の操作の終点を始点に指定できる。 (例 斜線を描いた後に このキーを押すと斜線の終点から続けて斜線が引ける)
 確定前のときは、右クリックで取り消しできる


【補足】 Ver5での大きな変更点
 A4の用紙にも対応できるようになった
 移動・複写・削除などの範囲指定が、これまでの長方形だけでなく、多角形でできるようになった
 拡大・縮小が縦横同倍率と別倍率でできるようになった
 ファイルの参照ができるようになった: これまでのデータを画面の横に出して使いたい部分をコピーできる。
 下絵を使えるようになった: スキャナーで読み取った図やインターネットからダウンした図などを下絵として画面に出しそれをなぞって図が描ける。(ただしタブレットがあれば、タブレットを使う方がかなり楽だと思う。)

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(2006年6月27日改訂)