課題2: 図を文章だけで説明する (2004年1月20日)

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 第6回目の課題「鉱床(模式図)、フェーン現象、日本および諸外国の河川の縦断曲線の3つの図について、文章だけで説明する」
 第7回目の最初に数人分を取り上げて検討しました。

※私のものは、点図(エンボス製版の図)に基づいて作った文章です。原図と一部異なる所があるかもしれません。

◆鉱床(摸式図)

●NS
 鉱床の見られるところの断面図で左側が山、右側が海。地表の線は左上から中央に向かってなだらかな傾斜、中央で中心あたりにある海面まで断面が切ってあり、後はなだらかな曲線で海底が示されている。地層の断面は海岸より少し上で上の層と下の層に分かれている。断面を切った右側には断面に対して右から見た方向の層が描かれている。
 ( )内はその部分に含まれる主な成分。
 下の層の左側が花こう岩、右が石灰岩(炭酸カルシウム)
 花こう岩の部分の左側にマグマが大きく入っており、その中に「正マグマ成鉱床」(ニッケル)、花こう岩と石灰岩の境目の部分が「接触交代鉱床」(銅、鉛、亜鉛)。
 左下から上に向かって木の枝のようにマグマが地表近くまで割って入っていて、上の層にマグマが割れ込んだ付近に「熱水鉱床」先に(銀、金、銅、鉛、亜鉛)、右側に「風化残留鉱床」ボーキサイト(アルミニウム)。
 右から見た層は海岸から少し上までがケイ砂(二酸化ケイ素)、その上がしま状鉄鉱層(鉄)。

●小原
 陸から海に至る地層の断面に見られる鉱床の分布を示した図。
 図の中央からやや右よりに陸部分と海部分を分ける境界線のようなものが走っている。この線の右側(海部分)では、一番下に石灰岩(炭酸カルシウム)の厚い層があり、その上に珪砂(二酸化珪素)、一番上に「縞状鉄鉱層(鉄)」が分布している。
 境界線の左側(陸部分)では、中央から左側にかけて花崗岩が広く分布している。花崗岩領域の右側に「接触交代鉱床(銅、亜鉛、鉛)」が見られ、その上(地表部近く)に「風化残留鉱床(ボーキサイト=アルミニウム)」がある。
 花崗岩領域では、左下の部分でマグマの活動が見られ、その一部は花崗岩層を突き破って「熱水鉱床(金、銀、銅、鉛、亜鉛)」となって地表近くまで達し、他の一部は花崗岩中に大きな「正マグマ性鉱床(ニッケル)」を作っている。


◆フェーン現象

●OTK
  山岳の風上側の麓・A点から、山頂・C点まで空気が上昇する時、高度が上がるにつれて温度は下降し、冷えた空気が雲を形成する。
 凝結高度・B点付近から頂上・C点にかけて大気中の水蒸気は降水となって落ちる。
 頂上・C点から風下側の麓・D点まで空気が下降する時、高度が下がるにつれて温度は上昇し続け、風上側より高温となり、麓・D点では最も高温となる。

●NS
 右側 空気の流れ(左から山を上り、右に下っていく)が矢印で示されている。出発地点がA点、3分の1上ったところがB点、頂上がC点、下りきった最終地点がD点(A点と同じ高度)。
  B点の高度が凝結高度でB点からC点までに雲が描かれ雨が降っている。
 左側 縦軸 高度、横軸 温度のグラフ
  A → B → C → Dと線がつないである。高度はC、B、ADの順に低くなりAとDは同じ高度。 温度はC、B、A、Dの順に高い。
 左右の図は同じ高度間隔で示されていて、同じ高度の地点(ADAD、BB、CC)が点線でつないである。

●OTU
 山の風上の裾野をA、凝結高度地点をB、山頂をC、風下の裾野をDとします。
 A地点から吹いていた風は、B地点からC地点にかけて上昇する時、雲をつくり雨を降らします。
 C地点からD地点に吹き下りる時、温度が上昇し、風上のA地点より風下のD地点の方が温度が高くなっています。

●TK (原文は点字)
 山を越える風が乾いて、熱風となって吹き下ろす現象。

 (注)A〜Dの各地点について次のように表記する。
 A 風上側の麓
 B 風上側の山腹(凝結高度)
 C 頂上
 D 風下側の麓
 B〜C 湿った空気が山腹に当たり、雨を降らす。

 各地点の高度(高度の高い地点から順に。ただしA,Dの高度は同じ。): C,B,A,D
 各地点の温度(温度の低い地点から順に): C,B,A,D

●KK (原文は点字)
 風が山を吹き越える図と、縦軸に高度、横軸に温度を取った気温変化のグラフがある。
 風が山に向かってA(山麓の地点)→B(山の中腹)→C(山頂)→D(風下側の山麓で、Aと同じ高度)の順に吹いている。A→Cへ吹くとき、B付近から雲が出来雨が降って温度が下がり、Cでは温度が一番低くなる。また、Bを凝結高度と言う。風がC→Dへ吹き下る時は、温度が上がる(Aより高くなる)。

●FJ (原文は点字)
 図は風が山を吹き越えて行く時の様子を4つの位置(A〜D)と、それぞれの位置における高度と温度の関係(グラフ)で示している。
 位置はA 風上側の平地、B 山の中腹、C 山頂、D 風下側の平地である。
 BからCの間では雲が出来たり、雨が降ったりする。
 Bから凝結する(凝結高度)。
・高度と温度の関係
 A→B→Cにおいては高度が高くなるにつれて、温度は低くなる。温度の下がり方はAB間よりBC間のほうが穏やかである。
 C→Dにおいては高度が低くなるにつれて温度は高くなる。
 なお、AとDの高度は同じで、温度はDのほうが高い。

●FN (原文は点字)
 1。山の断面図と、縦軸を高度・横軸を温度に取った折れ線グラフが描かれている。
 2。山の断面図中のA〜Dの点と、グラフ中のA〜Dの点は点線で結んで対比してある。

《図》
 1。山の麓にA点、中腹にB点、山頂にC点、A点と反対側の同高度の麓にD点が描かれている。
 2。風がA点→B点→C点→D点へと吹いている。
 3。B点付近から山頂のC点にかけて雲があり、雨が降っている。
 4。B点は凝結高度。

《グラフ》
 A点 温度は高く高度はもっとも低い。
 B点 温度は中くらいで、高度も中くらいである。
 C点 温度はもっとも低く、高度はもっとも高い。
 D点 温度はもっとも高く、高度はA点と同じである。

 高度 C>B>A=D
 温度 C<B<A<D

●小原
 風上側の山麓から山頂を越えて風下側の山麓に向かう空気の流れの図と、その時の空気の温度と高度との関係を示したグラフ。
 風上側の山麓(A点)から山腹に沿って上昇しはじめ、凝結高度(B点。山麓と山頂の間の5/2くらいの高さ)を通り過ぎてさらに山頂(C点)にいたる間、温度は下がり続ける。B点からC点の間では雲が出来たり雨が降ったりしている。
 山頂(C点)からは風下側の山腹に沿って山麓(D点。A点と同じ高さ)まで下降し、その間ずっと温度は上がり続け、A点での温度よりも高くなる。


◆日本および諸外国の河川の縦断曲線

●NS
 縦軸は高度(m)、横軸は河口からの距離(km)のグラフ。曲線はすべて右上がり。
 以下 河川の名称 ーー 河口からの距離(km)ーー 高度(m)ーー 曲線の様子の順に記します。
常願寺川 ーー 約40 ーー 約1060 ーー 河口付近以外は非常に急。
安倍川 ーー 約50 ーー 約640 ーー 全体に非常に急。
富士川 ーー 約950 ーー 約790 ーー 河口付近以外はかなり急。
吉野川 ーー 約170 ーー 約440 ーー 河口付近と140kmぐらいのところがすこしゆるやかで他はかなり急。
木曽川 ーー 約180 ーー 約830 ーー 河口から70kmぐらいまで以外はかなり急。
最上川 ーー 約210 ーー 約240 ーー 河口から100kmぐらいまで比較的ゆるやか。他はやや急
利根川 ーー 約220 ーー 約200 ーー 河口から100kmまでは非常にゆるやか、160mぐらいからかなり急。
信濃川 ーー 約255 ーー 約440 ーー 河口から100kmぐらいまではゆるやか 220km以降かなり急。
ローヌ川 ーー 約750 ーー 約550 ーー 直線に近く少しずつ急になっている。
セーヌ川 ーー 約730 ーー 約470 ーー少しずつ急になっている。
ロアール川 ーー 約970 ーー 約1120 ーー 河口から800kmぐらいまでは少しずつ急、後は傾斜がやや急な直線。
コロラド川 ーー 約1020 ーー 約660 ーー 少しずつ急になっている。
メコン川 ーー 約1020 ーー 約120 ーー 非常にゆるやか。

●OT
 大陸を流れる諸外国の川は、流れの勾配が緩やかで広大な平野を500kmから800kmにもわたって、ゆったりと流れている。
 これに対して島国である日本の川は、全長が300kmにも満たず、上流から河口にかけて狭い平野を急勾配で流れ下るのが特徴である。ただ利根川だけが、やや広くて平坦な関東平野をゆったり流れていて、大陸の川の勾配とよく似た形状を示す。

 川底の高度200mの地点から河口までを、どれだけの距離で流れ下るか(距離が短いほど急流になる)、日本と諸外国の川を比較すると、次のようになる。
▲諸外国のセーヌ、ロアール、コロラド川では、600kmの距離。
 ローヌ川で約340km、メコン川では1000kmの間を、ゆっくり流れている。
▲日本の、木曾、吉野、信濃、最上川では、100kmから130kmを流れ下る。
 常願寺、安倍、富士川では、わずか30km以下の距離で流れ下ってくる。
 常願寺川に至っては、高度1000mの上流から河口まで、わずか40kmしかない。

●OS (二重カッコは点訳者挿入を示す)
  ((横軸は河口からの距離を示し、0から1000(km)まで、縦軸は高度を示し、0から1000(m)までの河川の縦断曲線を表わしたグラフがあります。記されている河川の名前と河口からの距離(km)、高度(m)、の数値を順に列記します。数値は記載されていませんのでおよその数値を示します。カッコ内の前の数値は河口からの距離を、後の数値は高度を示しています。))

 常願寺川 ーー  (30、 600) (40、 1060)
 安倍川 ーー  (30、 400) (40、 640)
 富士川 ーー (50、 200) (95、 800)
 木曽川  ーー (100、 120) (150、 340) ( 180、 820)   
 吉野川 ーー (100、 100) (150、 300) (170、 440)
 信濃川 ーー (100、 50) (200、 300) (250、 440)
 最上川 ーー (150、 140) (210、 240)
 利根川 ーー (150、 40) (210、 200)
  ローヌ川 −− (100、 20) (300、 170) (470、 360)
  セーヌ川  ーー (300、 40) (600、 220) ( 730、480) 
  ロアール川 −− (300、 40) (600、 220) ( 980、1120)
  コロラド川  ーー (300、 90) (600、 220) (1020、 660)
  メコン川 ーー (500、 10) (800、 50) (1020、 120)

  ((全体的にみて上流へ行くほど勾配が急になっており河口付近では緩やかである。
  また、日本の川は外国に比べて短く勾配が急であり、外国の川は長く勾配はゆるやかである。))

●小原
 横軸に河口からの距離(km)、縦軸に高度(m)を取り、各河川の勾配を示したグラフ。
 グラフからは、日本の河川は諸外国の河川に比べて極めて急勾配であること、いずれの河川でも上流に行くほど勾配が急になっていることが読み取れる。

 以下、グラフに示されている各河川の最上流地点での河口からの距離(km)と高度(m)を、グラフから読み取って概数で示す。

  距離 高度
*日本    
常願寺川 40 1060
安倍川 50 630
富士川 100 750
吉野川 170 430
木曽川 180 820
最上川 220 240
利根川 220 180
信濃川 250 420
*外国    
ローヌ川 450 350
セーヌ川 730 470
ロアール川 1000 1100
コロラド川 1030 650
メコン川 1030 130

〈総評〉
・詳細な説明はしばしばかえって分かりにくい。図全体についてのイメージがつかみにくく、最後まで読んでもらえないこともある。
・まず最初に、図全体として何を表しているのかの説明がほしい。また、どんなことを結論として伝えたいのかなどについて、2、3の要点に簡潔にまとめた文章があれば良い。詳しい説明はそれらと結び付けて読むことができる。
・図を見たままの解説は図を見られない者にとってはしばしば分かりにくい。部分ごとに整理したり、部分と全体の関係が分かるような工夫がほしい。
・自分の作った文章を、図をまったく見ないで読んでみて、どの程度分かるか試してみてほしい。
・間違いではないが、図から直接読み取れる以外の知識を断りなく説明文に加えるのは点訳・音訳の立場からは問題がある。(原図の明らかな間違いの訂正、不十分な説明への補足などは許容される。)