※この話は「浮世絵誌」第10号 寸錦亭主人著 の以下の文章による

「或壱巨藩の官婦、歌麿画く所の美少年を観て大いに心を動かし、おもうらく画貌は其の画主に似るものと聞く。今想像するに歌麿果たして好男子なるべし、乃ちなかだちを求めて婚をもとむ。
天縁ここに定まり、日を卜(ぼく)して歌麿の家に至るに、こわいかに歌麿醜貌甚しく、毫も画く処の美少年に似たるものなし。
然れども歌麿の厚情と画の巧妙とを愛して、終身操を守りしと云ふ」