初めて図録を買ったのは10年前になる。そのころは浮世絵に興味を持っていたときで、本物の浮世絵が見たかった。しかし、見に行こうにも、浮世絵関係の本に収録されている作品は、ほとんどが東京にある美術館蔵で、近くにあるものは少い。でも、そうかといって東京まで足を延ばそうとまでは思わなかった。大阪のデパートで浮世絵の名品展があることを知ったのはそんなときである。ぜひとも行こうと思った。
ぞこで目をとめたのがその作品展の図録である。買った理由は、図録の値段が安かったからだ。画集の値段というのは馬鹿にならない。有名な西洋画家なら、探せば安くて手頃なものもないわけではないが、日本画、または浮世絵となるとなかなか難しい。浮世絵ならせいぜい広重や北斎、写楽、歌麿といったあたりまでで、それもたいがい値段が高かったりする。飛ぶように売れるというものではないから、出版社としてもあまり安くできないのだろうが。
以来、気に入った展覧会であれば図録を買うようにしている。だが、図録を買うために美術展に行っているのではない。絵は本物を見るのが一番である。写真で見ただけではその絵の良さはわからないからだ。
とはいえ、ここのところ図録の増えるペースが速くなってきている。このホームページの更新をしていくうちに美術への関心が高まったということもあるのだろうが、ひょっとすると、いくらか収集に走りかけているのかもしれない。
2003年2月2日