■ 冒頭、ダルタニアンの子供時代。貧乏だけど幸せそうな家族の団欒の場に現れた黒衣の騎士、フェブル(ティム・ロス)。のっけから憎々しい登場振りです。しかしほんの子供のダルタニアンが元銃士である自分の父親をThe Best Of Europe(僕のお父さんは欧州一の剣士だぞ!)と言い切ったのに対し、『Second』(いいえ、二番目です』と本気でやり返している姿はちょっと大人げなかったな・・・。おまけに目の前で両親を殺されたダルタニアンがせめて一矢報いたいと、闇雲に振り回した剣が顔面直撃。左眼の視力を失っちゃうのだけど(こういうの罰があたるというんですね)そこまでしてくれた相手の名前を14年後にはうろおぼえ状態で、悪賢いのだけど記憶力に難アリなのが判明・・・(辛)
なんというかこの映画、どうにもこうにも中途半端な気がしてしょうがなかったです。ワイヤーを取りいれたアクションシーンが話題のようですが、そんなとこに力入れてるひまがあったらもっと話を整理したらどうなんだ!と言いたい。せっかくの三銃士も誰が誰なんだかわかりゃしないし。
特に余計だなーとイライラしたのが王妃がらみのエピソード。頼りない国王にかわりイギリスとの和平をまとめようとする血気盛んな王妃をカトリーヌ・ドヌーブが演じてるのですが、ヘタに大女優を使っちゃったせいでムリヤリ見せ場を与えてる気がしてしょうがなかった。
三銃士物語の中でやはり一番の見せ場といえば、一度はバラバラになった銃士団が、ダルタニアン及び三銃士の呼びかけに応え今一度結束、見事、悪枢機卿たちを追い払うところにあると思うのですが、このあたりも実に適当。王妃様をお救いするのだー!とうるさいダルタニアンに対し、「だって俺ら王の銃士であって王妃のじゃないもーん!」と男のくせにセコイこと抜かす仲間に逆上し、制服を叩きつけて1人救出に向かうダルタニアン。だけどいざ現場についてみればひとりまたひとりと仲間が現れ、気がつけば全員集合・・・。しかしこの最大の見せ場といってもいいシーンでも私は呆然とするのみ。
だってあんだけやる気がなかった彼らがなんで急速に集まったのかまるでわからんのだもん。
ダルタニアンにしても三銃士にしても、他の銃士たちに対してなんら胸を打つような演説なんかしてないんですよ。なのに全員集合。わけわからん。おまけにその他大勢の銃士たちがどいつもこいつもエキストラくさいこと!!命がけの戦闘シーンでも自分の立ち位置がわからなくて右往左往する奴が目に付いて仕方なかった。もっと他にやりようがあるだろう!!
こんなどうしようもない演出だもんで当然、ティムも薄っぺらい役です。もうぺらぺら。 憎々しくて、剣の腕が立つ男の役って以前、『ロブ・ロイ』でもやったんだけど、あの時はもっと役にドラマがあった。殺陣のシーンも派手にやりたいのはわかるけどスタントマン使いすぎでティムの出番なんかほとんどないし。ロブ・ロイの時の残忍な中にも腐っても貴族のエレガントさを漂わせていた見事な剣捌きを再び拝めると期待してたのに・・・。また死に様もあっけないんスよ・・・(泣)。
それなりのキャスト集めてこんな映画しか撮れないなんて、この監督これまで何やってたんだー!と
パンフレットをみてみれば過去の作品、【サドン・デス】、【タイム・コップ】・・・。
なんだヴァンダムか。納得。
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