マイノリティ・リポート/MINORITY REPORT

【監督】 スティーブン・スピルバーグ
【出演】
トム・クルーズ/コリン・ファレル/サマンサ・モートン/マックス・フォン・シドー

■ 今からおよそ50年後の世界が大変なことになっていました。「これから起こる(であろう)殺人を未然に防ぐ」とここだけ聞けば夢のようなシステムが開発されたわけですが、その元になってるのが3人のプリコグと呼ばれる人たちの見る予知夢。これだけなんですな。その予知夢をてがかりに現場を突き止め、犯行時刻前に犯人逮捕!!となるわけです。スゴイです。正確には殺人未遂だろうと思ってもなんかもう言えない雰囲気。だって窓ぶち破って飛び込んでくるのよ警官が。玄関開いてるのに。そんであっという間に取り押さえられて有無を言わさず収容所行き。(ここが怖い。ホルマリン漬けの標本みたいにされるのだ。)もう人間として最低限の権利もなにもあったもんじゃない横暴がまかり通ってます。

その横暴の執行人がジョン(トム・クルーズ)。一応警官。「犯罪者が直前に気を変えたらどうするんだ」という問いにも「プリコグが見るのは感情ではなく行動だ!」と自信満々で白い歯をきらめかせながら任務を遂行。(その笑顔のあまりの爽やかさに同じ捕まるのなら、せめてトムに捕まえて欲しい!!とさえ思いました。)そんなジョンがある日、捕まる側に回っちゃったから大変です。もう逃げる逃げる。逃げまくり。「だって俺は無実なんだ!ハメられたんだ!!」とえらい騒ぎです。こうなったらプリコグの予知もへったくれもありません。ついには彼らの中で最も力の強いアガサを拉致ですから。自分が助かるためならなんだってやる!と言わんがばかりで力強いっすね。トムも全開で好演。気に入ってるんでしょうなぁこの役。でもあんまりかっこよくないのはナゼかしら。

ジョンを追いかける警官チーム+司法省の調査官ウィットワー(コリン・ファレル)との対決シーンがこの映画一番の見所です。途中で”嘔吐棒”とかいうわけのわからん武器も出てくるし、細かいギャグもふんだんに用意されています。(意図がわからんけど)

ジョンが「やることになっている殺人」には彼の息子が行方不明になった過去の事件が絡んでいて、この辺の展開はよくできてて面白いと思いました。ただトムがどうにもこうにも父親っぽくないのだけどね。実生活でもパパなのに、こんなに父親感が薄い人も珍しい・・・。最後20分程が余計と言うか、まだ続くのかよこの話!!と思わないでもなかったけどさすがにスピルバーグ+トム・クルーズ。2時間25分バッチリ飽きさせませんな。「なんで犯罪者として追われている警官のIDがいつまでも有効なんだ?」とか色々ツッコミ出したらキリが無いけどそういう”穴”さえも楽しめる作品。しかし、コリン・ファレルの扱いはどうなの?←自分より人気が出たら困る!と思ったトムの差し金なんじゃ?と疑っている私。


ハリー・ポッターと秘密の部屋/Harry Potter And CHAMBER of SECRETS

【監督】 クリス・コロンバス
【出演】
ダニエル・ラドクリフ/ルパート・グリント/エマ・ワトソン/リチャード・ハリス

ダニエル・ラドクリフくんはもしかしたら演技が下手なんじゃ・・・。大根ってわけじゃないんすよ、自分がメインで芝居やってる時はとてもいいし、決め顔もバッチリ絵になる。なのに、他の誰かが話してる時はなんか心ここにあらず・・・。に見えるんですな。なんでだろ?演出が悪いのか。(誰だお前、えらそうに)。でも役にはぴったり。それはロンもハーマイオニーもそうなんだけど。他の人もハマリ役だなーと思うのですが、ロックハート先生がケネス・ブラナーってのはどうなんすか?ロンのお母さんはともかく、ハーマイオニーちゃんが熱上げるようなタイプにゃ見えんのですが・・・。(あれはやっぱりヒュー様の方がヨカッタんじゃ。)

それはともかく内容ですが、多くのエピソードを盛り込み過ぎでひとつひとつのシーンが中途半端な感がするのは否めないです。カットし過ぎの映画を観ているようなね。(全部キチンとやってたら4時間越えるか/笑)それと今回、ハリーと比べて私の一押しのロンの活躍の場が少なかったのが残念でした。部屋に閉じ込められてたハリーを双子の兄さん達と一緒に空飛ぶ車で救出に来てくれたシーンはわくわくしたけどね〜。それにしてもウィーズリー一家はステキな家族ですな!!子供たちが素直に逞しく育っているのもあの両親あってのものだとつくづく感心しました。性格形成にいかに生活環境が影響してくるかの良い方の見本。で、悪い方がマルフォイ家。あの父親に育てられたんじゃ、ドラコがああなるのも無理はありませんな。(ドラコくん初登場の本屋の2階でハリーたちを見下ろしてるシーンは、子供ながらクールに決まってたけど。そのあと階段を降りながら、その辺の本の1ページだけをピリっと破ってポケットに入れたのが気になる。金持ちなんだから買ってもらえ〜!)

ドラコがマグル(人間)出身のハーマイオニーをねちねちいびる度に(少々、相手が悪い気がするけど)いの一番に反撃してくれるロンが可愛いて可愛いて(笑)。男の中の男です、ロンは(大絶賛)。それから、彼の双子のお兄ちゃんや長兄のパーシーの出番がもっと多くてもヨカッタですね。キャラ立ってるのに、もったいない。

今回は前作以上にホグワーツに危険が迫ってるわけですが、(なんせ生徒が次々と石にされてるんですから。大変です。)このまま犯人が捕まらなければ学校閉鎖も止む無しってな一大事に、よりにもよって事件を担当させられるのがロックハート先生。(「あなたの腕の見せ所ですよ」とおっさるマクゴナガル先生の”にやり”がもう(笑)。「どうせ無理でしょうけど」と思いながら任せるのは止めて下さい。)明らかにムリがある人選のせいで、またしてもえらい目に合うハリーとロンです。もうここの先生、生徒に一番危ないとこやらせ過ぎ!今回もまた下手したらハリー死んでましたがな。それを「グリフィンドールに50点!!」とか「ホグワーツ特別功労賞」とかでお茶を濁しまくるダンブルドア校長先生・・・。相手が子供だからってそれはないっす。

あと、忘れちゃならんのが屋敷しもべ妖精のドビーです。自分のことを「ドビー」と呼ぶのが可愛くてたまりませんでした。うっかり口を滑らせては「ドビーは悪い子!!」とセルフおしおきの連発で、いつもびくびくしたり泣いたりと哀れッたらないのですが、実はとても魔力が強いというところもヨカッタですね〜。やるときゃやるんです、ドビーは。(←パチンと指一本で消えたりもできます。スゴイ。)


キス★キス★バン★バン/KISS KISS (BANG BANG)

【監督】 スチュワート・サッグ
【出演】
ステラン・スカルスガルド/クリス・ペン/ポール・ベタニー

※ややネタばれ気味です。

ナイスガイ・エディ(クリス・ペン)を可愛いと思える日がよもや私に来ようとはッ!

腕が落ちたことを機に、殺し屋稼業から引退を表明したフィリックス(ステラン・スカルスガルド)は、新しい仕事としてベビー・シッターをやることに(笑)。しかし相手は子供は子供でも、33年間一度も外に出たことがない大きな子供、ババ。(身体もでかいし、正直おっさん)借金苦のために嫌でもこの仕事を引き受けなきゃならないフィリックスの奮闘振りがおかしい(笑)。なんせ彼はそれまでの25年間、常に殺しの世界に生きてきた男。ハードボイルドなんである。それが一転してベビー(?)シッター。不況で再就職の道はどこでも厳しいということか。

フィリックスに「男の生き様」を教わるババ(クリス・ペン)。お酒はウィスキー。水なし氷なし(シリアルにもミルクではなくウィスキー)。コーヒーはコロンビア産もちろんブラック。そして女。「母親でもない妻でもない。女は女だ。」・・・・・・しびれる(嘘)。古臭いなぁ(本音)。でもこれがステラン・スカルスガルドのあの声で語られるといやに説得力があるんですな(笑)。ちなみに音楽はバリー・ホワイト。「アリーmyラブ」でもジョンが男としての気合を高めるためによく歌っていたのが彼の曲です。私しゃ全然知らんのですが、男性にとってバリー・ホワイトってそんなに影響力あるんでしょうか。

フィリックスとババ、この二人に次第に育まれていく友情を軸に話は進んでいくのですが、彼らにもう1人華を添えるのがポール・ベタニー。勝手に引退を決めたフィリックスを「簡単に足抜けなんかさせないぜ!」と狙う組織から、師匠であった彼の始末を任される新人の殺し屋ジミーを演じる彼がもうスゴクいいのですよ!!!出番こそ少ないものの、仕事よりフィリックスを選んだ彼がたった一人で組織の内部から崩していくそのストイックさにくらくら。長い指で考え深げにタバコをくゆらせ、長身(190cm!)を黒いロングコートで包みライフルをかまえる立ち姿の優美さにグラグラ。スタイルがいいということは間違いなく役者の芸のひとつでありますな。絵になるって大切なこと。

随所にちりばめられるユーモア(ステラン氏に笑かす気がまったくないのがイイ)。そしてシリアス(映画をみてこんなに切ない思いをしたのも久しぶり)のさじ加減が素晴しい。孤高のハードボイルダーだったフィリックスがババからは誰かと一緒に暮らす楽しさ、温かさを。ジミーからは命がけの尊敬と愛情を受け取り、次第に変わっていく姿を見て「人間って一人で生きていけるわけじゃないのだ」と今さらのように身に染みた。それとこの監督さん、線引きが上手ですな。クリス・ペン演じるババは一歩間違うと大きな子供ではなく、ヤバイ人になってしまうが、それをギリギリの子供らしさで抑えている。ホントにギリギリだけど(笑)。(むやみやたらと泣かないところがいいっすな)それから、ジミーのフィリックスへのリスペクト。これもまたやり過ぎると暑苦しいとこでした。暑苦しいのはこの映画にそぐわないからね。あくまでクールに。少しまぬけに。

あと、出演者が着ているニットがスゴクいいのです。ババのいかにも子供っぽい帽子・手袋とお揃いのセーター。ジミーの細い身体にぴったりのタートルネック、彼の同僚のカットが着ている背中が大胆に開いたセクシーな服。そしてフィリックスのブルーのセーター。いずれも役にぴったり合っててお洒落です。


ケミカル51/FORMULA 51

【監督】 ロニー・ユー
【出演】
サミュエル・L・ジャクソン/ロバート・カーライル/リス・エヴァンス/エミリー・モーティマー

■ 薬学の天才エルモ(サミュエル・L・ジャクソン)が調合した、成分が全て合法であるというドラッグ”POS51”をめぐり、英米のヤクの売人、悪徳警官、ネオナチまでが絡み合い大騒ぎする話です。ガイ・リッチーぽいけど、彼の作品ほどは面白くない。(パンフでわざわざ「この映画を考えたのは”ロック、ストック〜”の前だったと断ってるあたり、やっぱり似てると思われてるんでしょうな。)なんせエルモだけが頭が切れるもんだから、他と勝負にならないんですわ。そこがストーリーの薄さに繋がってると思われ。

そんなわけで内容はさておき、主演二人(エルモ、フィリークス/ロバート・カーライル)のキャラは好きです。エルモは何故かスカート(キルト)を穿いてイギリスに乗り込んでくるわけですが、これがよく似合ってる上に着こなしがカワイイのですよ。色使いとかねー。マネしてみたい。それと、サミュエルの恫喝には毎度のことながらシビレますな(笑)。会ったばかりのフィリークスを頭ごなしに叱り飛ばすシーンでの声といい、割舌のよさといい、もう最高。55歳にもなってあれだけ大人気ない言葉を使いこなせるのもスバラシイ。

いつの間にかエルモの相方になっているフィーリクスは熱狂的リヴァプールファンで、常にレッズの赤いシャツを着込み(背番号は”9”/Fowler)、大事な仕事の前でも対戦相手のマンUのサポーターが集まるパブに単身乱入し、発炎筒を投げ込むバカ。これから大儲けしようって時にも頭にあるのは試合のチケットのことのみで、「金が手に入ればチケットくらいどうとでもなるだろう!!」と怒られてる始末です・・・。もう情けないったらないのですが、ラスト、イキ(リス・エヴァンス)との取引場所にエルモが”Anfield”(リヴァプールのホームスタジアム)を指定した時の嬉しそうな顔!!まるで子供っすよ(笑)。ホンットにレッズが好きなんですなぁ・・・。もはや感心。

もう一人、イギリスの銃や麻薬の売買に通じているナイトクラブのオーナー、イキことリス・エヴァンスは、黒いブラをしてたり、かんしゃくを鎮めるためにヨガを習ってたり、顔にイングランドのペィンティングをしてたりと、あいかわらずオチのない怪演ぶりを披露。見事にわけがわかりませんでした(笑)。フィーリクスと彼の元恋人・ダコタ(エミリー・モーティマー)から同時に電話が掛かってきたシーンで、携帯同士をくっつけて「チュ、チュ、チュ♪」とやるのは非常に可愛かったですけどね。

以上のように、ストーリーよりもキャラ萌な映画。くすくす笑いが好きな人、Premiershipが好きな人にはオススメです。フィーリクスが車で暴走するエルモに「左側を走れーー!!」と絶叫するのが妙におかしい。


トランスポーター/THE TRANSPORTER

【監督】 ルイ・レテリエ/コリー・ユン
【出演】
ジェイソン・ステイサム/スー・チー/マット・シュルツ/フランソワ・ベルレアン

■ なんせカッコイイ、ジェイソン・ステイサムが。もう祭りです。プロモとも言える。あの身体、あの声の前ではストーリーが少しばかりおかしいことなんかどってことありませんでしたとも。

とにかく全編これステイサムの見せ場です。まず、なんでも運び屋さん(トランスポーター)のフランク(ジェイソン・ステイサム)が銀行強盗をピックアップするシーン。4人組の強盗を前に「契約では3人だ。一人多いとその分重くなり、ドライビングに支障がでる。」と頑として譲らないその職人肌にやられます。そして自分に課したルール”荷物の中は見ない”をうっかり破っちゃって猛省しつつも、その中身ことライ(スー・チー)にストローでジュースを飲ませてやるジェントルメンぶりにメロメロ(死語)。そしてなにより、自分を殺そうとした男の家に取って返したシーンでの爆発的な強さ!!!ただただ感動。もう全てが完璧。”ロック、ストック〜”も”スナッチ”も”ミーンマシーン”も映画としては面白かったけど、ステイサムがこんなにイイ男だとは気付いてませんでしたー。悔しい。

全てのトラブルの元凶ライをイライラしながらもしょうがなく家に連れて帰ったフランクが、カップにインスタントラーメンと水をぶっこんでチンし、「食え!!」というシーンがもう!!(明らかに調理法を間違えていますが)しかも、そのままライは放置して「俺は寝る!」ですよ!!(←理由はいろんなことがありすぎて頭が混乱してるから。)そして一晩ぐっすり眠れば翌朝には復活です。なんて単純にできてるんでしょうかこの男。あらゆる意味で最高。

「いかにステイサムをカッコよく見せるか?」という一貫したテーマに基づいて製作されているため、アクションシーンはもはや無駄に長いです。そんなにたくさんの人間、どこにいたんだ?ってくらい。でもこれがキレがあって素晴しくイイんですな。さすがは元アスリート。少々やりすぎでコントに片足つっこんでるような雰囲気もありますが、それはそれとして楽しみたいところです。それから、ストーリーは破綻していますんで!。特にフランクが命を狙われるハメになったライの設定がめちゃくちゃ。(袋詰めにされてるのも変ならフランクもろとも始末されそうになってるのもおかしい。一応大事なお嬢さんでしょ?)おそらくアクションシーンを先に撮ってあとで話をでっち上げたんだろうと思われますが、ステイサムの魅力は充分発揮されていたのでそれでチャラでいいです。私は。

あと、一見曲者っぽくてその実、何の役にも立ってないフランス警察のおっさん(フランソワ・ベルレアン)との微妙なコンビっぷりもなかなかでした。すでに続編が決まってるそうなので、ぜひ彼にも引き続き出演してもらいたいもんです。でも女は代えてね。可愛くないわ、大根だわでそりゃもう散々っすよ・・・。(足はキレーだったけどね。)


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