■ レオ様の強烈なファザコンぶりに心揺さぶられる名作です。
フランク・アバグネイル・Jr(レオナルド・ディカプリオ)は16才の時に大好きな両親の離婚に耐え切れず家出。その後はひたすら小切手を偽造しまくって、しまいにゃ一財産築きます。手口は今のシステムじゃとても通用しないような単純なもんですが、時代が時代なんでね。しかも当時、飛ぶ鳥を落とす勢いのパンナム社(落とすはまずいか)の副操縦士になりすましてます。ついでに勢いだけで、小児科医から検事補まで次々と演じてみせもします。無茶です。(しかし、現在29歳のレオでさえ白衣姿がとってつけたようだったのに、当時高校生の彼がなんでバレなかったんでしょうな。よほど回りがぼんくら揃いだったのか、実際のフランクがちょっとありえないくらい老け顔だったのか。気になるところです。)
やることは大胆で非常に頭のいいフランクですが、実は甘ったれの子供。FBIに追っかけられてるとも知らず、無邪気にパパに会いに来ます。脱税で家は差し押さえられ、妻には別れを切り出されで(おまけに息子は犯罪者だしな)人生最悪の時を過ごしているパパを高級レストランに招待し、プレゼントだといって高級車のキーを差し出すフランク。まだほんの子供に過ぎない(なんせ高校生ですから)息子から、そんなもん貰えるわけないのにね。空気が読めてないんですよ。案の定、悔しさやら情けなさやらで、つい半ペソかいちゃうパパ(これがまたクリストファー・ウォーケンだったり)。あの怖い顔のでかい目をうるうるさせつつ、「涙だけは見せるまい!!」と踏ん張ることで見せる父親の最後のプライド。悲哀ですよもう。
フランクを詐欺容疑で追っかけてるのが、FBIのカール・ハンラティ(トム・ハンクス)。天才詐欺師に翻弄されっぱなしの事務系エージェントをトム・ハンクスが実にリラックスして演じてます。(アカデミー狙いじゃないと楽でいいんだろうねい。)この人はやっぱり声がコメディなんですな。「FBIーーーーー!!!」と叫びながら部屋に飛び込んでくるだけで妙におかしい。得な声だ。何度ももう少し!ってところでするりと逃げられてしまうカールさん。いい加減頭にきてはいるけれど、実はフランクが寂しがり屋の坊やだということも見抜いています。フランクの方もクリスマス・イブでさえ、仕事に明け暮れているカールを可哀想な男だと思ってる。さびしんぼう二人の追いつ追われつの物語ですな。なんか哀れになってきました。
フランクが次から次へと詐欺を繰り返し大金を盗んだのは、もちろん自分のためでもあるのですが、それ以上に豊かで楽しかった家庭をなんとかして取り戻したいという切実な願いがあったから。(ある意味親孝行です。)美人のママとその妻を大勢のライバルを蹴落としてモノにしたパパはフランクにとって、かけがえのない宝物なんですね。だからいくらお金があっても、もうママは戻ってこないんだと告げられたひにゃ、ショックで放心状態です。寂しくって思わず追っ手のカールに電話をしてしまうくらい傷ついてしまう。この辺の”男の子の繊細さ”みたいのを演じさせたら、やっぱりレオは上手い〜。(つってももう29歳だけど)『GONY』の背伸びしたような役よりよっぽどいいです。絶賛。
タイトル通り、「捕まえられるもんなら捕まえてごらんなさい」とFBIより一枚上手のフランクにもとうとう終わりの日が来ます。この時のレオとトム・ハンクスのやりとりがいいんですよ。もはや家出中の放蕩息子とそれを連れ戻しにきた真面目な父親って感じにまで高まってる二人になんか和んでしまいました(笑)。(トム・ハンクスも達者だなぁとしみじみ思ったり。やっぱり外れないわ、この人の出る作品。)話はこの後さらにもう一幕あってそれがエンドロールまで続くわけですが、なんつうか詐欺師ってカッコイイかも!!と道を誤りそうになりました(笑)。バカですな、私。そしてバカはなれないのですね詐欺師には。残念。
レオとトム・ハンクス。二人の人気俳優が楽しんで演じてるのが感じられて見やすい作品です。あと、レオに騙される女の子たちがみんな可愛い。アホだけど憎めない感じ。
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