■ ハリウッド制作のサムライ・ムービーでまさかの号泣。時代考証的におかしいところ、外国ロケによる風景の違和感もあるにはあるんでしょうが(私も勝元の村がホビット庄に見えてしょうがなかったさ)そんな些細なことはどうでもよろしい。とにかくカッコイイのよこれに出てくる日本人が!どれくらいカッコイイかと言うと「これホントに日本が舞台なの?」と疑うほど(非国民)。勝元(渡辺謙)を筆頭に、ラストサムライたちの生き様死に様の潔さに、トムでなくったって惚れずにはいられないっす。冷静に考えると美化されすぎな気もする演出もあるんだけど、確かにこういう人達もいたんだろうなと思えるのは、渡辺謙さんをはじめ日本人キャストが説得力のある素晴らしい芝居をしてるからなんですな。
いやもうとにかく勝元萌え。異人のトム相手に英語で話しますよ。その英語がまた「疑問形は必ず語尾をあげるように」と教えられたあの中学英語のような生真面目さでなんとも可愛らしいのです。でもトムと一生懸命英語で話す時以外は激シブ!特に馬に乗るシーンのカッチョヨサにはくらくら〜。氏尾(真田広之)や他の侍もそうなんだけど、みんな片手で手綱を握ってるのね(一応トムも)。その凛とした姿が死ぬほどかっこよくてウキウキしました。しかしウキウキしてるのはこっちだけで、勝元はどんどん西洋化していく日本では浮いた存在になりつつあり、ついには天皇に楯突く者として大村(原田眞人)とかいうおっさん率いる最新式の大砲を備えた軍と戦うことになるんですよー。殿と陛下は相思相愛なのにさ!大村、ホントに嫌な奴ーー!!もうこのラスト30分は涙なくして見れませぬ。村人総出の戦いに挑む前のひととき、ひとり扇を手に舞う氏尾の姿や、なんの義理があってか一緒に行くというトムに「死なないで」と泣く子供とのやりとりとか、演出効果満点でここで泣かなきゃいつ泣くんだってくらい。そして最後に大村と向かい合った殿のあの笑顔!!これから死のうかって時にそんな顔で笑われたひにはーー!(号泣)!!渡辺謙も真田広之もここまでカッコヨカッタっけ?なんのメリットもないとしか思えないのに、こんな映画作ってくれたトムには心から感謝したい。いやメリットはあったかな。少なくとも私の中ではこれまでのトムの映画の中で最高でした。予告の印象だけで「日本人を相手に金儲けをたくらむゲスなアメリカ人将校の役」だと思い込んでいてごめんね。サムライだったわ〜、オールグレン(いまさら役名)。
殺陣も日本語も努力のあとがひしひしと伺えるのに、なにかっちゃ「謙に食われてた」と言われる彼があまりに気の毒なので(実際そうなんだけど)、ここはひとつ日本アカデミー賞でもあげたい気分です。いらんか。でも賞なんかいらんよね。だってトムは勝元に「きみは日本で名誉を取り戻した」と言ってもらい(彼もまぁいろいろあるのよ)、最後には彼から最高の名誉を与えてもらうんやもん。(←この件に関しては人それぞれ思うとこあるだろうけど)それで充分よね、きっと。
とにかく見てよかったと思える作品でございました。最後に感動的なシーンだろうけど、思わず笑ってしまった場面。勝元の村でのオールグレンのお目付け役で、斬られ役専門俳優、福本清三先生が出てらしたんだけど、英語を一切解さない役なのでトムに適当に「ボブ」と名づけられちゃって、最後にトムを庇って死んでいくシーンでも「ボブーー!!!」の絶叫(笑)。先生が死ぬのは必ずトムを庇ってのことだろうとは思ってたけど、さすがにあれには笑っちゃいました。誰がボブやねん。
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