■ 19人の出演者が織り成すラブ・ストーリー。実に幸せなクリスマス映画です。ちゃんと季節を合わせて上映してくれりゃよかったのにな。
19人も出てくるのでそれぞれの恋に上手く行ったり行かなかったりの違いはあるけど、誰も停滞してないのがいいんですな。みんなチャレンジしてる。中にはもう遅すぎる人もいるんだけど、それでも「これで充分」だと思える結果になってる。ステキだ。
一番若いチャレンジャーは、妻を亡くしたばかりのダニエル(リーアム・ニーソン)の義理の息子サム(トーマス・サングスター)。最近ふさぎがちなのは母親を亡くしたせいだと思い込んでいたダニエルが、実はサムの憂鬱は片思いにあったと知ってからの張り切りぶりがおかしくて(笑)。自分になついてないんじゃないかと不安に思ってた反動か、やたら真剣にアドバイスするのを素直に聞くサムくんがもう可愛いてしょうがないです。ふたりで「タイタニック」のビデオを見たりしてね〜。親子というより兄弟。もしくは友達みたい。
若い子に負けちゃいられんとおっさん二人(コリン・ファース、ヒュー・グラント)も頑張る。作家のジェイミー(コリン・ファース)は家事手伝いのポルトガル人オーレリア(ルシア・モニス)に、イギリスの新首相デヴィッド(ヒュー・グラント)はお茶くみ秘書のナタリー(マルティン・マカッチョン)にそれぞれ愛を告白。言葉の通じないジェイミーとオーレリアの微妙にかみ合ってない会話は笑えます。同じとこぐるぐる回ってる(笑)。ヒュー・グラントが首相とはまた思い切った配役だなと思ってたけど、これがなかなかいける。特にアメリカ大統領(ビリー・ボブ・ソーントン)にナタリーがちょっかい出されてるのを目撃した後の会見シーンが最高です。それまでは強気な米大統領に押されっぱなしだと思ってた首相がいきなり一発かますんだもん。(言ってることは「イギリスにはハリー・ポッターとベッカムがいるんだぞ!負けないぞ!」てなレベルですが)それが完全に彼の嫉妬心から転がり出た発言だとは夢にも思ってない側近たちが「うちらの新しい首相、なかなかやるでない!」と満足そうなのがもう〜(笑)。
この発言をTVで見て「あんたもうちょっと考えて喋りなさい!」と電話してくるのが、姉(字幕では妹になってたけど姉だよね?)のカレン(エマ・トンプソン)。彼女の場合は恋というより情かな。夫ハリー(アラン・リックマン)が若い社員と浮気しているのでは?と疑ってた矢先に自分へのクリスマス・プレゼントだと思ってたネックレスがその彼女への物だと知ってひとり泣くのが悲しくて。エマ・トンプソンって苦手な女優だと思ってた自分までが貰い泣きしたくらい切ないっす。ハリーの方には浮気だって意識はないんだけど、よりにもよってクリスマスプレゼントに自分よりいい物をあげるなんて!(←そこか)そりゃ泣きたくもなるよなぁ。で、このプレゼントを包装するのがデパート店員のルーファス(ローワン・アトキンソン)。妻の目を盗んで買ってるのにやたら包装に時間かけるのがわざととしか思えない。シナモンスティックなんか入れないだろう(笑)。
↑の出演者以外にも面白い人がたくさん出てきます。ポール・ベタニーをブサイクに下品にしたようなコリン(クリス・マーシャル)のあほらしさ、久々に大ヒットを飛ばした老ロック歌手のビリー(ビル・ナイ)のエキセントリックさ、スタンド・イン俳優のジュディ(ジョアンナ・ペイジ)とジョン(マーティン・フリーマー)の可愛らしさ、サラ(ローラ・リニー)とカール(ロドリゴ・サントロ)の切なさ。ひとつひとつのエピソードがよくできてて楽しい映画でした。音楽もいい。
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