サンダーバード/THUNDER BIRDS

【監督】 ジョナサン・フレイクス
【出演】 ビル・パクストン/ベン・キングズレー/ソフィア・マイルズ/ロン・クック/アンソニー・エドワーズ

※少しネタばれ

■ サンダーバードって英国製だったんですな。ワタクシずっとアメリカの人形劇だと思ってました。しかも平均年齢40歳台のおっさんの集まりだと思い込んでたもんで、「サンダーバードつうのは超リッチな元宇宙飛行士のお父さんが私財を投げ打って設立した国際救助隊でメンバーは5人兄弟」と友人から聞いて必要以上に浮かれてしまいました。予告で見た映像も金かかってるようだったし、「これはきっと個性あふれる美形の兄弟がお互いに支えあって敵に立ち向かうアドベンチャーSF大作なんだわ〜!」と期待しまくり。ああなのに!それがまさかこんなお子様向けの漫画だったとはー(無念)。

だいたいトレーシーボーイズなんつってさんざん気をもたせておきながら、末っ子のアラン(ブラディ・コルベット)以外まともに出番らしいものがないではないの。私は最後まで誰が長男で次男で三男で四男なのかわかりませんでしたよ。おまけにこのアランがあんまり可愛くない上に頭まで悪い。いや頭が悪いのは遺伝かしら。敵(フッド/ベン・キングズレー)が無傷でトレーシー・アイランド(基地)を手に入れるために次男(だと思われる)を攻撃。こりゃ大変だと駆けつけるのはわかるが(救助隊だし)、なにもメンバー全員で行くことないのでは(よく知らんのであれなんですが、救助にはいつも全員で向かうのがお決まりなんでしょうか。それとも今回はわが息子の一大事でお父さんが後先考えられなかったの?)。おかげで基地は空っぽ。残されたのはあほの五男とその友人。サンダーバード絶対絶命!かと思いきや、敵もまた同じくらい、いやそれ以上にぼんくらでございました。とほほ〜。こっから先はショートコントの連続で別に手に汗握るでもなし、のんびりぼけ〜と見てりゃいいだけなんで楽っちゃ楽なんですが、せっかく主役が金持ちの5人兄弟つう設定なんだからもう少しそのへん活かしてくれてもいいのではないかと。日本でヒットさせて続編を作る気でいるのなら抑えるツボを勉強しとけよこの野郎!と斯様に思いました。

そういうわけで、ゆるゆるのストーリーはともかく(子供が見るのには丁度いいと思うけど)、トレーシーボーイズ以外のキャラがそれなりに立ってたのは評価したい。アランの友人のおでこちゃん(ソレン・フルトン)なんか可愛いよ〜。この子は親子揃ってどもってしまう癖があるのだけど、あほのアランに意見した際、それをからかわれてもひるまず「でも僕の言ってることは間違いない!」なんて言うのだ。そうだ!間違ってないぞ!頭もいいしアランよりよっぽど役に立ってるよキミ。おでこちゃんのパパでサンダーバード付の博士がアンソニー・エドワーズ。ERのグリーン先生ですよ!(久しぶりに見たら頭が。あれはやっぱりあれですか)。このひともまたとことんどんくさい男でしたが、ひとつだけ見せ場があるんだな。さすがはおでこちゃんのパパ!。この親子性格がすごく似てると思う。英国のこれまた超リッチなお嬢様にしてシークレット・エージェントのレディ・ペネロープ(ソフィア・マイルズ)も常に慌てず騒がずエレガントかつキュートですごく好き。お抱え運転手のパーカー(ロン・クック)も意外と格闘系(フットボールファンでもある)なところに萌え。次回作があるのならもうちょっと年長組に焦点を当てて撮ってもらいたいもんです。


華氏911/FAHRENHEIT 9/11

【監督】 マイケル・ムーア
【出演】 マイケル・ムーア/ジョージ・W・ブッシュ

パンフレットの中にゴダール監督の「ムーアが考えているほどブッシュはバカじゃない」というコメントが載せられてるんですが、この作品を見る限り少なくとも賢いとは思えないな。顔が悪いのかも。

面白かったのは「議員の息子をイラクに送る活動に署名をお願いします!」と言われた某(名前知らないっす)議員のリアクション。カメラの前でよき議員を演じようとニコニコしてたのが一瞬にして無表情になるその間がたまりません。あのひと芸人じゃないのか。逆に怖かったのは実際にイラクに行っておかしくなっちゃった兵士のコメント。「ノリのいい音楽をかけて戦車でメキメキ行くんだよ〜!」と気楽に語ってたけどそれも恐怖の裏返しなんでしょうか。彼の今後の人生が心配です。中には「自分たちが目にする遺体は女子供のものばかりで、いったいどこにテロリストが?俺らここで何やってんの?」と不安な顔の兵士もいて、「戦争しに行くのではなく、あくまでイラクの復興をお手伝いさせてもらうつもり」で我が国が派遣した自衛隊のみなさんも現地でどんな目に遭ってるんだか正味のとこわからんなと。もう一度いろんなことを考え直さないかんなと思いました(と思うだけの自分と違い、ちゃんと行動を起こすムーアはなんだかんだいってたいした人だと思う)。

途中かなりショッキングな映像もあって(たしかニュースでも見た気がする)、もはや原型をとどめていないくらい真っ黒に炭化した遺体(たぶんアメリカ兵)をさらに車で引きずり、吊るし、棒でバンバン叩くんですよ。もしあれが自分の身内や友人だったら!と想像するだけで気絶しそう。また叩いてるオヤジも普通のおっさんなのが怖い。もう死んでる人間にあそこまでやれるなんてどれほど深いのその憎悪ってやつは。


NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE

【監督】 鈴木雅之
【出演】 香取慎吾/田中麗奈/ゴリ/知念侑季/伊東四郎/升毅

※ややネタバレ

■ どっかの山奥から修行のために東京へ出てきた伊賀忍者ハットリくん(香取慎吾)が、ケンイチ氏(知念侑季/小学生)と出会い、 「掟より大事なものを見つける」話。←全部言っちゃってる。

父上(伊東四郎)に江戸で最後の修行をしてこいと言われ、「今の江戸で忍者はちょっと〜」と困った顔するハットリくんが可愛かった。自分たちが浮いた存在であるのはわかってるんだね(笑)。「ニン!」なんつってるハットリくんはただのバカみたいなんだけど、主であるケンイチ氏を、何がしたいんだか結局のとこわからなかった甲賀忍者、黒影(升毅)から取り戻す場面はめちゃめちゃ男前。ほっぺたにぐるぐる渦巻き描いてる(描いてるんだよね。元からあるんじゃないよね)男にうっとりするとは思わなんだ。不覚。

助太刀にやってきたケムマキ(ゴリ)がこれまたオイシイ。前半の小学校の先生に扮してる姿はPTAが黙っちゃおらんだろうと思うくらい不気味だったけど、忍の心を取り戻したケムマキはカッコよかった。あれがゴリじゃなかったらさぞや萌えキャラだったんだけどな〜(や、ゴリもよかったですよ。萌え抜きなら)。ケンイチ氏の憧れのひと、窓辺のマーガレットことミドリさんを演じた田中麗奈ちゃんも可愛いい。絶対目は見えてると思うけど。


ヴァン・ヘルシング/VAN HELSING

【監督】 スティーブン・ソマーズ
【出演】 ヒュー・ジャックマン/ケイト・ベッキンセール/デヴィッド・ウェンハム/リチャード・ロクスバーグ

※ややネタバレ

ドラキュラ伯爵(リチャード・ロクスバーグ)がフランケン(シュラー・ヘンズリー)を執拗に追う理由が「明るい家族計画」にあるとは思いませんでした。嫁3人とミュージカル仕立ての生活してるのも笑えるし、なんか憎めないですな、あの方(正直全然怖くなかったんだけど、あれは狙い通りなのかな)。打倒伯爵に燃える一族の最後の生き残りアナ王女にケイト・ベッキンセール。これがとんでもない大根で(ゴッドファーザー3のフランシス・コッポラ以来だ)走る姿もどんくさければセリフも棒読み。表情も乏しいし見ててイライラしました。顔も特別キレイじゃないんだから(腰は驚異的な細さだったけど)、もうちょっと芸を磨け!

アナの兄のヴェルカン王子(ウィル・ケンプ)にはスゴイ期待してたんですが、芝居がどうのという以前に役が。狼男になっちまうわ、伯爵にいいように利用されるわ、挙句にカール(デヴィッド・ウェンハム)には「犬臭い!」とまで言われてもう散々。アナとの兄弟愛の描かれ方も中途半端なら、狼男になってしまった苦悩もほとんど感じられないし(そんなヒマないともいえる)情けなさ過ぎてしまいには半笑いです。この監督、ドラマを作る力はなさそうだなぁ。行間は各自の萌えで補完して下さいってこと?(日本の女子はその点天才的だけどな)。

主人公のヴァン・ヘルシングはカッコイイけどそれだけ。なんか役的にX−MENとかぶってないか?<ヒュー・ジャックマン。その点、カール(デヴィッド・ウェンハム)はおいしかったですな。発明オタで現場には不向きなはずが、意外と一番活躍したのは彼かも。しかもあの小動物のような動き!たまらんよ(ビリビリする槍を持ったブサイクに追いかけ回される場面とカニ歩きのあまりの可愛らしさにあれだけでDVD買ってもいいと思った)。

ラストはなかなかよかったです。色んな意味でスッキリ片付いたわ〜!これでシリーズ化するのに障害はなにもありません。


ヴィレッジ/THE VILLAGE

【監督】 M・ナイト・シャマラン
【出演】 ホアキン・フェニックス/ブライス・ダラス・ハワード/エイドリアン・ブロディ/シガニー・ウィーバー

※盛大にネタバレしてます。

■ 様々な理由で町から逃れてきた人々が作った安住の地=村(ヴィレッジ)。町と村を隔てる森には「語ってはいけないものたち」と呼ばれる肉食の怪物が住んでいるが、村人が森へ入らない限り彼らが人間を襲うこともないはずだった。しかしある日、そのルールが破られ・・・というお話。途中で「ん?もしや?」と思ったまんまのオチでした。もうひとひねりくらいあるかと思ったけど。以下ネタばれ↓

嘘も方便とは言うけどこれはちょっとなぁ。大人世代にはそこまでやる理由があっても、子供世代には迷惑な話ですよ。だって村には娯楽がなんにもないんだよ。おまけに薬もない。だから町でなら助かるはずの命が簡単に失われちゃったりする。彼らが安全に暮らすには絶対に村の存在を知られてはならないとは言え(そりゃそうだ。あんなとこに勝手に住んでるんだもんな)、やっぱり身勝手な話だと思う。最初から「これしかない」と言われるのと、たくさんあるうちのどれかを選べと言われるのは全然違うもん。

しかも平和だと思い込んでいた村である日事件が起き、どうしても町へ行かなくてはいけなくなる。村を代表して森を抜けるのがヒロインのアイヴィー(ブライス・ダラス・ハワード/ロン・ハワード監督の娘さんなんだってね。顔そっくり)。「愛のために行かせて欲しい!」という彼女にだけは森のからくりを教えるのだけど、それだってアイヴィーが盲目だからでしょ。目が見えないなら、町へ行ってもそこがどんな所であったか後々誰にも話すことができないもんね。だったらいっそ、誰か大人世代が行けばよかったのに。目が見えない娘さんを一人で森にほっぽり出す方がよっぽど危険じゃないの〜?(マジで死にかけてたよ)。ま、いくら策を練ったところで、いつか森の怪物をものともせず町へ出ようとする若者が現れるでしょうが。そうしたらあの村はどうなるんだろう。やはり楽園は失われるのかな。つうかどこに住んでもひとがいる限りまったくの平和、楽園なんてありえないって話ですな。

某映画サイトさんで、アイヴィーは果たして「怪物の正体がノア(エイドリアン・ブロディ)だと」わかっていたのか否かという議論がなされていたんですが、わかってた派にもそうでない派にもなるほど!と思える理由があって面白い。映画を見た後で、ああだこうだ言えるのがシャマラン作品のいいところですね。だから何度トホホ〜な目にあっても見に行ってしまう。あとエイドリアン・ブロディはハマリ役でした。


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