■ 好きな人だけが大好きなイギリスの個性派美形俳優ポール・ベタニーが、引退間際のテニスの王子様を演じる1ミリの狂いもない王道中の王道ラブコメ映画。上映館が寒いほど少ないのは百も承知でオススメします。ベタニファンなら1泊してでも観に行く価値アリ!それ以外は知らん。
ベタニが演じるピーター・コルトは世界ランキング119位。正直、「引退するんだ。あっそう」クラスの選手です。本人も自分が注目されるに値しないことはよくわかってる。それでも、かつてはランキングが11位だったことを誇りに思い、15位と間違われれば大声で「イレブン!」と正さずにはいられないし、最後の大会となるウィンブルドンで若造相手に初戦敗退だけはゴメンだ!とブックメーカーも驚きの勝利を収めたりする。悪あがきもいいとこです(笑)。でもこの一歩間違えれば惨めったらしい男も、ベタニの手に掛かればなんともチャーミングで愛すべきキャラとなるんですよね〜。応援せずにはいられない。
負ければ即引退のピーターの元へ現れるのが、アメリカからやってきた若くて怖れを知らないリジー(キルスティン・ダンスト)。勝気で生意気だけど、妙に可愛いところのあるリジーにピーターはメロメロ。恋の力で輝くのはなにも女の特権ではないのですよ。彼女にふさわしい男になりたい!と張り切るピーターはあれよあれよと言う間になんとファイナル進出。
テニスみたいな個人競技だとプライベートが試合に与える影響って大きいと思うんですよ。その点、ピーターはとってもいい恋愛をして充実してます!って感じなんだけど、それにしてももうちょっとストイックなとこがあってもいいんじゃないかと(笑)。だってこのひと、試合中にすごい雑念多すぎなんですよ。そんな色々考えてて勝てるもんなのか。
逆にリジーは途中で敗退。試合に集中するためには他のものはすべて邪魔!とピーターとの恋もほんの息抜きのつもりだったはずが、いつの間にか本気になってたってことなんだけど、元が気の強いお嬢さんなもんで、死んでもそんなこと認めたくない!と逆ギレするのが可愛かったな。ピーターはちょっと立場ないけど。
面白いのが、恋愛を通して選手として成長するのが引退間際のピーターの方だってことなんですよ。彼はどっちかというとメンタル面が弱い選手だったんですよね。トーナメントで友人のディーター(ニコライ・コスター=ワルドウ)と当たることになって思い切り動揺したり。それをリジーに「私はこの世界に友達は作らない。コートで相手を叩きのめすことになるのが嫌なら、最初から作らない方がいいわ」なんて言われて吹っ切れる。でもそのあと、「どんな結果になっても友達に変わりはないよ」なんてディーターに言われ、ホっとするのがピーターの可愛いとこなんですが!(笑)
この映画はラブコメスポ根の王道に違いはないのだけど、「恋もタイトルも手に入れる!」のがおっさんの方だというのがちょっと目先が変わっててよろしいんじゃないでしょうか。普通はピーターの方が器用に恋もテニスもこなしていいと思うんだけど、あえてそれを逆にしたところに監督のセンスを感じました。つうか、ベタニが可愛いからこうなっちゃったんだよね、監督!
ベタニベタニとうるさすぎますが、友人のディーター役のニコライ・コスター=ワルドウも、ちょっとトッティ王子似のいい男。ピーターの守護天使、ボールボーイの男の子も可愛かったー。
スポーツとは無縁のベタニも猛特訓のかいあってか、ちゃんとテニス選手に見えました。サーブのフォームとか美しいと思いましたよ。長身だから迫力あるし。ま、試合の場面はCGらしいけど。なによりテニスのユニフォームがあれほど似合うとはー(萌)!キルスティンの超ミニのスコートも可愛い。
|