主演がヴィゴじゃなかったらおそらく一生縁がなかったと思われるこの作品。ショーン・ペンの第一回監督作品でもあります。身も蓋もない言い方をすると、いい年したブラコン兄弟の話。※ネタばれしてます。
ベトナム帰りのフランク(ヴィゴ)は戦争で精神を病んでしまったらしいのですが、このへんがどうも曖昧。(私にはただのダメ男にしか見えんかった)そんな壊れの弟に対し、警官の兄ジョー(モース)はこれが絵に描いたようなマイホームパパでいいひと。そしてこの兄が弟に甘い甘い。喧嘩っ早いわ、仕事は続かないわ、挙句に嫁にまで手を上げるようなどうしようもない弟を、なんとか真人間にしようとなにくれとなく世話を焼きます。しかし思いはいつも一方通行。いい加減、ほっとけばー?と見ていてイライラするのだけど、全身刺青だらけで30もとうに越えていると思われるこのダメ弟が、なぜか兄には「お兄ちゃ〜ん♪」とひっついてきた子供の頃からまるで変わっていないように見えているから始末に終えません。
弟の方は、(本能で)兄が自分を見捨てることなんかできないのを承知しており、言いたい放題のやりたい放題。ついには自分の子供が生まれようとしているのを無視して逃走です。しかし、とうとう堪忍袋の緒が切れた兄に血を吐くような思いで叱責され、さすがに反省したかのフランク。が、ここでまたひと悶着あるんですな。(この時の彼の心情ももひとつ分からん。戦争であまりに多くの血を見すぎたせいで心が病んでいるのか、ただ単にパーなのか)
警官として弟を追わざるをえない兄。ここで思い出されるのがこの映画のキャッチコピー、「弟よ、社会は君の生き方を許さない。だから、僕が君の人生に終止符を打つ」
と こ ろ が。この期に及んでまだ、ブラコン兄貴にとってのフランクは小さいフランキーのままなのですよ!警官であるにもかかわらず傷害、下手すりゃ殺人犯の弟をいともあっさり見逃しますから。追う気なんかさらさらありません。職場放棄です。もう開いた口が塞がりませんでしたね。「終止符打つんじゃなかったの?」とアゴが胸まで落ちましたがな。一体この映画でショーン・ペンともあろう人が何を伝えたかったんでしょうか?まさかベトナム帰還兵の悲哀じゃないよね。←それはいくらなんでもムリだから。
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