A.I.
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント/ジュード・ロウ

先入観を持ちたくないので、ふだん観たい映画のレビューを先に読むことはしないのですが、さすがにこれだけの大作・話題作になると読む気がなくても向こうから目に飛び込んでくるんですな。しかも私がうっかり読んでしまった時に限って、「期待はずれ」と書かれていて。まさかと思いましたよ。でも、実際劇場で観て納得。こりゃホントに期待外れでございました。

難病の子供を抱えた夫婦が、さみしさ紛らわすためにロボット(ディビッド/ハーレイ・ジョエル・オスメント)を息子代わりに愛玩してたのはいいが、突然治療法が見つかって子供がケロリと戻ってきました。途端にそれまで可愛いと思っていたディビッドが邪魔になって捨てようとしたけれど、あまりによく出来てるもんで妙な罪悪感に囚われ捨てるに捨てられない(でも捨てるんだけど)。ああ可哀想なデイビッド。そして私(フランシス・オーコナー)・・・。 まずこの時点でイラっときたんですよ。あんまり簡単にモノを捨てるこの女に!!仮にも母親ですよ。家に戻って「お母さん、デイビッドはどうしたの?」と息子に聞かれたらなんて説明したんでしょう。彼女なりに葛藤はあったでしょうが捨てたら終わりやん。一緒に暮らし続けることがそんなにムズカシイかなと。上手くやる方法を見つける努力はしたんかいとね、思うわけです。で、この可哀想なデイビッドくん。そういう風に作られているとはいえ、ひたすら「ママ、ママ」とくっついてくる姿はやっぱり気持ち悪い。(パパはどうでもいいようだし)一方向にしか愛情向けられないってのはやっぱり歪んでるんだなぁ。でもだからって捨ててやるな。せめて改良してもらえ。

捨てられたデイビッドの自分探しの旅は痛いし、ロボット狩りは胸くそ悪いしでもうしんどすぎ。そんなこんなで話はひたすら腹に溜まる重さでいやーーーんな気持ちにさせてくれましたが、映像はキレイ。なによりジゴロ・ジュードですよ!!(結局ここに落ち着くようです)寂しい女性相手に愛をお届けするSEXロボット役(身も蓋もない)で出演のジュードでしたが、やっぱりね、このひと上手いんだなと思いました。首をコキっといわせるとムード音楽が流れてくるというアホ設定がピタリとはまる独特のたたずまい。あのキレイな顔で歯が浮くようなセリフを吐いても(いかにも優男が言いそうなセリフがインプットされてておかしい)どっか笑ってないというか、優しそうだけどちょっとうさんくさいみたいな感じでちゃんとロボロボしてるんですな。このひと本気で笑うとマジで可愛いですから、そのへんの微妙なさじ加減が絶妙だったとファンの贔屓目で見ると思うわけです。出てきたはいいが、とくに役に何の立ってないあたりもスバラシイ。


Cats&Dogs
監督:ローレンス・ガターマン
出演:ジェフ・ゴールドブラム
声の出演:トビー・マクガイア

思っていた以上に話がしっかりしてて面白かった。それにしても猫が怖いんですが。犬アレルギーの特効薬なんか開発されたらたまらんと、あの手この手で発明を阻止すべく暗躍する猫たちがどいつもこいつも悪顔で。特に親玉。白いペルシャ猫ってんですか、毛並みがふかふかでゴージャスなお猫様が、アンタッチャブルのデ・ニーロばりのいかつさ(笑)。でもお金持ちの飼主(てかメイドさん)にかかっちゃただのかわういネコちゃん扱いなのが泣けました。しかしなんで犬対猫の話になると猫のほうがいつも悪役なんでしょう?どっちかというと猫派な私はその点がちょい不満。


I am Sam
監督:ジェシー・ネルソン
出演:ショーン・ペン/ミシェル・ファイファー/ダコタ・ファニング

知的障害者の父親サム(ショーン・ペン)と若干7歳にして「愛こそすべて」と言い切る娘ルーシー(ダコタ・ファニング)の親子愛にただただ涙。

この映画に出てくる人たちって基本的に善人なんだと思う。知的障害者のサムに子育てはムリだと娘のルーシーを取り上げる役人でさえも。サムには応援してくれる心優しき友人たちがたくさんいることはいるんですな。外出恐怖症なのにもかかわらず裁判の席でいかに彼が立派に父親業をこなしているかと証言してくれる隣人のアニーや、ルーシーの入学祝に靴を買いに行ったはいいが、お金が足りずに困っているサムにちょっとづつカンパしてくれる友人など。(みんなで靴を選ぶシーンが最高。キンキラキンのハイヒールを持ってくる人とかいて大笑いです)でも数はいるんだけど、それがみんな頼りになると言いがたいのが辛い。だから、弁護士(ミシェル・ファイファー)を雇ってまでルーシーを取り戻そうとしたサムが娘の将来を考えるとやはり養子に出した方がいいんだと言い出した時は正直、まったくその通りだと思った。今は寂しいけれどその方がいいのではと。気持ちではこの親子を引き離すのは酷だと思ってるのに、頭の片隅では現実的な事を考えてたりするんですな、私って奴は。

最後はそれこそ「愛こそすべて」で落ち着くわけだけど、この言葉の意味を誰よりも理解してたのが里親のランディ(ローラ・ダーン)ではなかろうか。彼女もサムと同じくらいルーシーを愛していたからこそできた決断にまた涙涙。(サムの悪気はないんだろうが余計な一言にムカっときた場面でもある)ホントによく泣いたな、この映画は。

子役のダコタ・ファニングもたいがい凄いが、ショーン・ペンがこんなイノセントな役をやれるとは驚き!でも裁判に出かけるからってんで借り物のスーツを着た瞬間、いつものチンピラに見えたのは気のせい?


IN DREAMS・殺意の森
監督:ニール・ジョーダン
出演:
アネット・ベニング/エイダン・クイン/スティーブン・レイ/ロバート・ダウニー・Jr

ニール・ジョーダン監督で、アネット・ベニング、スティーブン・レイ、エイダン・クイン、ロバート・ダウニーJrが出演。それでもDREAMWORKS初の未公開作品。←分かる気がする。

クレア(アネット・ベニング)は男(女?)が小さな女の子の手を引き、りんごの木の間を歩いて行くという夢を繰り返し見ます。ちょうどその頃、町では少女がひとり行方不明になっていて、夫のポール(エイダン・クイン)が警察に「果樹園を中心に探してみてはどうか」と話しに行きます。ところが「子供は見つかったよ。貯水池の底に沈んでいた」と言う刑事。「あの夢はなんだったんだろう・・・」と思っていた矢先、今度は自分の娘・クラリスが攫われ、再び貯水池の底から遺体となって発見されます。ショックのあまりクレアは精神病院に入院。夢を診断するという医者(スティーブン・レイ)に相談しても一向に埒があかず、やがてクレアはたった1人で犯人と対決することになり・・・。と途中までは面白いんですよこれ。映像もキレイだし。しかしとにかく出てくる奴が揃いも揃ってぼんくら。警察も医者も夫も完全に無能です。「私が見た夢は必ず現実になる!」と悲壮感たっぷりのクレアがいくら訴えても「病人の言うことだから」と相手にしないせいで、犯人はもうやりたい放題。(わざわざ精神科医にスティーブン・レイをキャスティングしたからには、彼が何かしらの助けになると期待するじゃないですか。でもなんにもしてくれない。無能!)誰もあてにならないんじゃーしょうがないってんでアネット・ベニングが1人で奮闘です。しかも相手は完全にイッちゃってるダウニー。

怖いよー!この犯人。なんせ勝手に頭の中に入ってきますからね。なんなんでしょうこいつ。超能力者もしくは悪魔?一見、ただのオカマの浮浪者なんですけども。子供の頃に虐待されていた彼(ダウニー)は、家族が欲しくて犯行に及ぶわけですが、クレアが選ばれた理由が謎。「お前は俺の夢を見るだろう?」ってなんであんたにそれがわかるわけよ。で、案の定この”なんで?”は最後まで放置。もういいけどね。(やっぱりちょっと超常的な力が備わってたんですかねこの二人) 逃げ出したクレアを鎌を持って追いかけるダウニーの姿はコントと紙一重。もう怖いんだかなんなんだかわかりゃしませんでした。(おまけに最後まで後手後手の警察のせいで救いがないったら)

狂気の犯人役を拘置所だか、更生施設だかから通って撮影したダウニーのキレぶりは尋常じゃありません。新たに攫ってきた女の子の名前を呼ぶシーンは声だけなのにもかかわらず、「あー絶対やばいわこいつ」と思わせる。出演時間は短いのに最後に全部持っていくあたりさすがでした。


KILL BILL Vol.1
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:
ユマ・サーマン/ルーシー・リュー/ダリル・ハンナ/千葉真一/マイケル・マドセン/栗山千明

コレハ、ニホンジン(タランティーノ)イガイガミテモオモシロイエイガナノデスカ?と聞きたくなるくらいタラちゃんの日本大好きー!魂がぎゅうぎゅう詰込まれた作品でした。

結婚式の最中にかつての殺し屋仲間(マイケル・マドセン、ルーシー・リュー、ダリル・ハンナ、ヴィヴィカ・A・フォックス)に夫となる人、お腹の中の子供をはじめ式に参列していた全員を殺されたザ・ブライド(ユマ・サーマン)が4年ぶりに昏睡状態から目覚め、次々と復讐していくというお話なんですが。これ、ユマじゃなくて志穂美悦子さんだったらどれほどカッコヨカッタだろう。いやユマもスタイル抜群だし悪いわけじゃないんだけど、復讐に燃えるブライドのために斬鉄剣ばりの日本刀を作ってやるのが千葉真一なんやもん。それならいっそ、かつての愛弟子に久々に現役復帰してもらって、師匠・千葉ちゃんとの夢の共演が見たかったな。(大葉健二も帰ってきてたことだし)しかし、物凄く久しぶりに見た千葉ちゃん。すっかり芝居が変わっちゃってまぁ・・と思ったのは一瞬のことで、あの妙に寒々しい寿司屋の親父は世を忍ぶ仮の姿、実は世界一の鍛冶屋の服部半蔵でございました!ってそれってモロに影の軍団の半さんじゃないの(笑)。こうなったら樹木希林も出してくれ(軍団オタク)。

この作品、面白いことは面白いんだけど、台詞に日本語を多用しているせいか、いつものタラちゃんならではのテンポのいい言葉のやり取りやバカ話がないのが惜しい。なんでそんなに日本語に拘るんかなぁ。役者も大変だろうに。(実は一番聞き取り辛かったのは、日本人による日本語だったんだけど。ヤクザの集会のシーン、何言ってるんだか全然わかりませんでした)オーレン・イシイことルーシー・リューは白い着物が似合ってて、姐さんぶりが最高にカッチョイイ。日本語もユマよりは上手。でも死に様がちょっとあれか(笑)。 予告編でマイケル・マドセンがニターっと笑ってるのを見た時は「どうしてこの役にティムをキャスティングしてくれなかったんだ!」とタラちゃんを恨みもしましたが、今は「出なくてヨカッタ」と腹の底から思います。でも変な日本語を喋るティムはちょっと見たかったかも。


KILL BILL Vol.2
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:
ユマ・サーマン/デヴィッド・キャラダイン/ダリル・ハンナ/マイケル・マドセン/ゴードン・リュー

それなりに面白いけど疲れるVo1よりは2の方が好きです。めちゃくちゃだけど破綻せずに終わってるし、なるほどこりゃ立派なラブ・ストーリーでした。←ビル(デヴィッド・キャラダイン)の老いらくの恋に巻き込まれたブライドの結婚相手と友人は気の毒すぎましたが。(おっちゃんのジェラスィより怖いもんないですな)。なによりパイ・メイの中のひと(ゴードン・リュー)が気になってしょうがない。あとでパンフ読んだらその筋ではかなり有名なひとのようでしたが、あまりに玄人向けではなかったでしょうか(笑)。あの無駄に偉そうな理由がわからん。

出演者はそれぞれ個性豊かで魅力的。バド(マイケル・マドセン)の死に様は笑ったなぁ。いいのかあれで(笑)。往生際の悪いエル・ドライバー(ダリル・ハンナ)とは見事な対比でした。ちょろっとしか出てこない韓国人の殺し屋(Congratulations!の一言に涙が)やビルの父親的な男エステバン(マイケル・パークス)まできっちり印象付ける手腕はさすがはタランティーノと感心。芸が細かいよあんた。忘れちゃならない「五点掌爆心拳」。たいそな名前のわりに間抜けな必殺技が”HERO/英雄”の「十歩必殺」を彷彿とさせて笑かしていただきました。


S.W.A.T
監督:クラーク・ジョンソン
出演:
コリン・ファレル/サミュエル・L・ジャクソン/ミシェル・ロドリゲス/オリヴィエ・マルティネス

世界中で指名手配されている麻薬王アレックスを金を目当てに逃がそうとするLAのギャングが、サミュエル・L・ジャクソン率いる新鋭SWATチームと壮絶な死闘を繰り広げるド派手なアクション映画かと思いきや、これが意外と地味。そしてすべてにおいてゆるい。だいたい、「俺を逃がせば1億ドルだ!!」とTVカメラの前でカッコつけて叫ぶアレックス(オリヴィエ・マルティネス)にまるでカリスマ性がないではないの。あれではただの金持ちのドラ息子やーん(顔はヴィゴを若くした感じで男前だったがな)。またその負け犬の遠吠えを本気にするバカがあれほどまでに多いとはおそるべし国、アメリカ。普通は「まぬけな奴め!」と笑うとこなんだがなぁ。ネタばれ→「しかもそのバカがチームの中にまでいたとはもう開いた口が塞がりません。いやなんかやらかしそうだなとは思ってたけど、まさか敵に寝返るとは。でもあのひと、そんなにお金に困ってるようには見えんかったけどな(あんな危険な仕事、いつまでもやってられるか!と思ったのかしら。でもそれなら最初からSWATどころか警官にならんと思うのですが)。

コリン・ファレル(ストリート)もまたどんなやんちゃくれのイカしたSWAT隊員かと期待すれば、わりとまっとうな人でした。ま、相棒があれで彼までもあれだったら話に収拾つかないけどさ。それにしても、あんなに普通にカッコイイだけでは物足りない。彼はもっと野犬みたいでないと。(ストリートが開発した壁ぶち抜き機。あれって壁の向こうに誰もいないのを確認してから使ってくれないと大惨事になるよね)


WATARIDORI
監督:ジャック・ペラン

タイトル通り、渡り鳥が飛んでいる、ただそれだけの映画です。しかし、ただそれだけに3年の月日と20億円の制作費をかけ、40種類1000羽の鳥を卵から育てて撮影したってんだから、フランス人てのは偉いね。この話を先に聞いてたらもっと姿勢を正して見たのになぁ。寝転びながら「ああキレイだね。カワイイね」とぼさーーーっと見ていた私を許して欲しい。これ見て思ったんだけど、ペリカンってすごく恐竜ぽい。あの尋常じゃない嘴の長さといい、体のでかさといい、あんなのが群なして飛んできたら怖いよ。食われそう。幼稚園児くらいなら間違いなく食われるな。

飛んでる鳥の姿はもちろん、その後ろに広がる風景の素晴らしいこと。地球ってやっぱりキレイな星なんだとしみじみ思いやした。←うっとりし過ぎて途中で寝てしまいましたが。  


8人の女たち
監督:フランソワ・オゾン
出演:
カトリーヌ・ドヌーブ/イザベル・ユペール/エマニュエル・ベアール/ファニー・アルダン/ヴィルジニー・ルドワイヤン/リュディヴィーヌ・サニエ/ダニエル・ダリュー/フィルミーヌ・リシャール

色々と評価の高い作品ですが、私は一度観れば充分。なんかもううるさくてねぇ、どいつもこいつも。

ある冬の朝、家の主人がなかなか起きてこないのでおかしいなと見に行ったら、ベッドの中で背中からナイフでぐさっと一突きされて死んでるわけですよ。警察に連絡しようにも電話線は切られてるわ、雪で車は動かないわで大騒ぎ。で、残された8人の女たちが、「どーするどーする?!」と言ってるうちに「ホントはあんたが犯人なんでしょ!」とまぁそういう展開になるわけです。もうこの腹の探り合い+罵り合い+ヒスのぶつけ合いがすさまじくてすさまじくて。しまいには犯人探しはうっちゃられてお互いの秘密の暴露合戦ですから。「あんたがそれ言うんなら私だって!!」とどんどんエスカレートしていく様は女の嫌らしさが全開。オゾンはあれですか、過去よっぽど女にえらい目に合わされたんでしょうか?ドロドロの闘いが続く中、唐突に歌い出すのがまた妙でね。←いやそれがミュージカルですから。(オゾンは単純に役者を並べて歌って踊ってをさせるのが好きなんじゃないですかね。質を問わず。)しかし、散々騒いで盛り上げた割にはオチはあっさり。別に本気で密室殺人の謎を解け!ってな話じゃないんでそら別に構わんのですが、自分ミステリー好きなのでちょっとがっくりきちまいました。

オゾンって今ノッてる監督なんだなぁというのはよく分かる映画です。だってあんな我の強そうな女優を8人も仕切らなきゃいけないんですよ。求心力がないとできん仕事です。あと衣装がよく話題になってますが、私はファニー・アルダンの着ていた赤い服がステキだと思いました。逆にヴィルジニー・ルドワイヤンのピンクの服はダメ。あんな服着てる女は悪いけど信用できん。

おまけ:「8人の女たち」を日本人女優がやるなら。
ギャビー:カトリーヌ・ドヌーブ←芳村真理(古すぎ)
オーギュスティーヌ:イザベル・ユペール←宮地雅子(若すぎ)
ルイーズ:エマニュエル・ベアール←鈴木京香
ピレット:ファニー・アルダン←倍賞美津子
スゾン:ヴィルジニー・ルドワイヤン←石田ひかり
カトリーヌ:リュディーヌ・サニエ←5年前の広末涼子
マミー:ダニエル・ダリュー←美輪明宏(化け物すぎ)
マダム・シャネル:フィルミーヌ・リシャール←梅垣義明
監督:橋口亮輔(ゲイ繋がりってことで)

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