※ネタバレしてます。
予告編を見た時は金のかかったSF大作だと思ったんですが、ところがどっこい。稀に見るB級ホラー映画でございました。一番辛かったのは主演のガイ・ピアースがとんでもなく貧相だったことですね。ちょっとやばいくらい頬がこけてて、この人、もしかせんでも猿顔なんじゃ?とそんなことばかり気になってしょうがなかったです。
お話は出だしはヨカッタんですよ。愛する恋人を路上強盗に殺されたガイピが4年間でタイムマシンを作り上げ(数学博士だったのかな。ようわからん)過去に戻って恋人を取り戻そうとする、それは切ない話だったはずなんですが!!一回目はね、上手く事件のあった日に戻れたわけですよ。で、当然ながら何にも知らない彼女を連れて人通りの多い方へ向かい、ここまできたらもう安心とばかりに彼女を道端に残し花を買いに行くんです。ところが一人で待っていた彼女に今度は暴走した馬車がつっこみ、またもお亡くなりになってしまいます。「千回戻ったら千回彼女を殺すことになるのか」と嘆くガイピ。普通この辺であきらめもつくと思うんですが、なぜか唐突に「過去に答えはない!」と言い出し未来に向けて発進です。
とりあえず行った先は2030年くらい(うろ覚え)の未来で月への移住みたいな話が出てます。2002年に生きている身としては「そらないだろう」と思うのですが、原作自体が100年以上前なんでつっこまないでやりましょう。その次にまたちょこっとだけ先に進んでみると、なんとあなた、月が割れて今にも落ちてきそうになってるんですよ。怖いですね。逃げ場がないです。で、ガイピも慌てまくるのですが、落ちてきた月の欠片みたいなのがガツンガツンと直撃して、あえなく失神。その間にくるくるとカウンターだけが回転し気がついた時には「80万年後の世界へようこそ!!!」
80万年てキミ。なんでそんなに目盛つけちゃったかなー。前後100年くらいにしとけばいいのに欲張るから!おまけに80万年先の未来がこれまた先祖返りしちゃってて。(ウォーターワールドとかあんな感じです)みんな独特の言語を話してて、一瞬、英語が通じないのかと焦ったら何気に流暢に話す女が出現。学校の先生らしい彼女が言うには「あなたが話す言葉は子供の時に習うのよ。使わないけど」だって!!そんな都合のいい話があるか!
で、ここからがこの映画のスゴイところなんですが、長い歴史の中、なんやかやあった挙句、生き残った人間は地上と地下に住み分けるようになり、地下にもぐった方の人間が地上の人間を攫っては食うらしいんですよ(笑)。いや全然笑いごとじゃないんですけど。とにかくこの地底人が凄まじいんです。人間と亀を足して漂白剤に三日三晩漬け込んだ感じと言えばわかってもらえるでしょうか。いやもうとんでもないキモさで、思わずガイピが男前に見えるほどでした。おまけにマッチョでね(ひー)でも5頭身くらいなの。そんなんが大挙して村を襲い、次々と人間を攫ってはずざざーーーーっと蟻地獄のように砂の下に潜って消えていくシーンが延々5分ほども続きます。もう漫画です。案の定、ガイピに優しくしてくれた彼女も連れ去られるのですが、人間は「俺たちは狩られるのが運命なんだ」とすっかりあきらめムード。それを「どうして戦わないんだーーーー!!」と激しく叱責するガイピです。男らしいんだかバカなんだか分かりません。1人でも俺は行く!と勇敢なのはステキなのですが、映画冒頭の数学おたくぶりは一体どこへやら。あまりのキャラ変わりについていけません。
ホントに1人でえっさえっさと地底に潜ったのはいいのですが、結局何もしないままに捕まります。そして、他にもたくさん捕まったはずなのに、何故か一人だけ食われずにすんでいる例の彼女を見つけ走りよりますが、その目の前にこれまた全身真っ白の人間が(これがまたジェレミー・アイアンズだったりしてー!泣)現れ、「結局なるようにしかならんのだよ」的なことを言いタイムマシンを返してやるから、あんたはこれに乗って元の世界へ戻りなさいと。こうおっさるわけです。なんとまー親切な!と思いましたね。私なら迷わず帰ります。それはやっぱりちょっとこう良心の呵責みたいなものも感じますけども。それはそれとして。
しかしガイピは違うのです。当初の目的を完全に見失っている彼は、とりあえず「わかりました。それではさようなら」とタイムマシンに乗り込みますが、次の瞬間、がしっと漂白人間の腕を掴みマシンの中に引きずり込み、その場で大乱闘です。いい加減、タイムマシンも壊れそうな勢いなのですが、ついに時空の間みたいなとこ(深くつっこまないで下さい)に漂白人間を叩き落し、無事に帰還。そして地底世界を破壊するべくタイムマシンを犠牲にして、二人でとんずらです。このあたりの怒涛の展開ぶりにすっかり失念しておりましたが、出だしは確かロマンティックSF映画だったはずです。
結局、タイムマシンも失い80万年後の世界に留まるしかないガイピですが、それなりに幸せそうだったのが救いでしょうか。どうしたって失った恋人を取り戻す術はないんですから。(彼女が亡くなったからタイムマシンを作ったわけで、タイムマシンがある状態では彼女が亡くなっているのは絶対条件なんですな。哀しい)時間旅行物っていろいろ考え出すと止まらなくなるんでこのへんで。でも最後にもうひとつ。
「そのタイムマシンの素材はなんぞや?」いやもうメチャクチャな扱いの割に傷ひとつついてなかったもんで。この時代(1800年代)にそんな強靭な物質があったのかと思いましてね。もしや総ダイヤモンド作り?貧乏学者のガイピが?ありえない。
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