タイムマシン
監督:サイモン・ウエルズ
出演:ガイ・ピアース/ジェレミー・アイアンズ

※ネタバレしてます。
予告編を見た時は金のかかったSF大作だと思ったんですが、ところがどっこい。稀に見るB級ホラー映画でございました。一番辛かったのは主演のガイ・ピアースがとんでもなく貧相だったことですね。ちょっとやばいくらい頬がこけてて、この人、もしかせんでも猿顔なんじゃ?とそんなことばかり気になってしょうがなかったです。

お話は出だしはヨカッタんですよ。愛する恋人を路上強盗に殺されたガイピが4年間でタイムマシンを作り上げ(数学博士だったのかな。ようわからん)過去に戻って恋人を取り戻そうとする、それは切ない話だったはずなんですが!!一回目はね、上手く事件のあった日に戻れたわけですよ。で、当然ながら何にも知らない彼女を連れて人通りの多い方へ向かい、ここまできたらもう安心とばかりに彼女を道端に残し花を買いに行くんです。ところが一人で待っていた彼女に今度は暴走した馬車がつっこみ、またもお亡くなりになってしまいます。「千回戻ったら千回彼女を殺すことになるのか」と嘆くガイピ。普通この辺であきらめもつくと思うんですが、なぜか唐突に「過去に答えはない!」と言い出し未来に向けて発進です。

とりあえず行った先は2030年くらい(うろ覚え)の未来で月への移住みたいな話が出てます。2002年に生きている身としては「そらないだろう」と思うのですが、原作自体が100年以上前なんでつっこまないでやりましょう。その次にまたちょこっとだけ先に進んでみると、なんとあなた、月が割れて今にも落ちてきそうになってるんですよ。怖いですね。逃げ場がないです。で、ガイピも慌てまくるのですが、落ちてきた月の欠片みたいなのがガツンガツンと直撃して、あえなく失神。その間にくるくるとカウンターだけが回転し気がついた時には「80万年後の世界へようこそ!!!」 80万年てキミ。なんでそんなに目盛つけちゃったかなー。前後100年くらいにしとけばいいのに欲張るから!おまけに80万年先の未来がこれまた先祖返りしちゃってて。(ウォーターワールドとかあんな感じです)みんな独特の言語を話してて、一瞬、英語が通じないのかと焦ったら何気に流暢に話す女が出現。学校の先生らしい彼女が言うには「あなたが話す言葉は子供の時に習うのよ。使わないけど」だって!!そんな都合のいい話があるか!

で、ここからがこの映画のスゴイところなんですが、長い歴史の中、なんやかやあった挙句、生き残った人間は地上と地下に住み分けるようになり、地下にもぐった方の人間が地上の人間を攫っては食うらしいんですよ(笑)。いや全然笑いごとじゃないんですけど。とにかくこの地底人が凄まじいんです。人間と亀を足して漂白剤に三日三晩漬け込んだ感じと言えばわかってもらえるでしょうか。いやもうとんでもないキモさで、思わずガイピが男前に見えるほどでした。おまけにマッチョでね(ひー)でも5頭身くらいなの。そんなんが大挙して村を襲い、次々と人間を攫ってはずざざーーーーっと蟻地獄のように砂の下に潜って消えていくシーンが延々5分ほども続きます。もう漫画です。案の定、ガイピに優しくしてくれた彼女も連れ去られるのですが、人間は「俺たちは狩られるのが運命なんだ」とすっかりあきらめムード。それを「どうして戦わないんだーーーー!!」と激しく叱責するガイピです。男らしいんだかバカなんだか分かりません。1人でも俺は行く!と勇敢なのはステキなのですが、映画冒頭の数学おたくぶりは一体どこへやら。あまりのキャラ変わりについていけません。

ホントに1人でえっさえっさと地底に潜ったのはいいのですが、結局何もしないままに捕まります。そして、他にもたくさん捕まったはずなのに、何故か一人だけ食われずにすんでいる例の彼女を見つけ走りよりますが、その目の前にこれまた全身真っ白の人間が(これがまたジェレミー・アイアンズだったりしてー!泣)現れ、「結局なるようにしかならんのだよ」的なことを言いタイムマシンを返してやるから、あんたはこれに乗って元の世界へ戻りなさいと。こうおっさるわけです。なんとまー親切な!と思いましたね。私なら迷わず帰ります。それはやっぱりちょっとこう良心の呵責みたいなものも感じますけども。それはそれとして。

しかしガイピは違うのです。当初の目的を完全に見失っている彼は、とりあえず「わかりました。それではさようなら」とタイムマシンに乗り込みますが、次の瞬間、がしっと漂白人間の腕を掴みマシンの中に引きずり込み、その場で大乱闘です。いい加減、タイムマシンも壊れそうな勢いなのですが、ついに時空の間みたいなとこ(深くつっこまないで下さい)に漂白人間を叩き落し、無事に帰還。そして地底世界を破壊するべくタイムマシンを犠牲にして、二人でとんずらです。このあたりの怒涛の展開ぶりにすっかり失念しておりましたが、出だしは確かロマンティックSF映画だったはずです。

結局、タイムマシンも失い80万年後の世界に留まるしかないガイピですが、それなりに幸せそうだったのが救いでしょうか。どうしたって失った恋人を取り戻す術はないんですから。(彼女が亡くなったからタイムマシンを作ったわけで、タイムマシンがある状態では彼女が亡くなっているのは絶対条件なんですな。哀しい)時間旅行物っていろいろ考え出すと止まらなくなるんでこのへんで。でも最後にもうひとつ。 「そのタイムマシンの素材はなんぞや?」いやもうメチャクチャな扱いの割に傷ひとつついてなかったもんで。この時代(1800年代)にそんな強靭な物質があったのかと思いましてね。もしや総ダイヤモンド作り?貧乏学者のガイピが?ありえない。


チアーズ!
監督:ペイトン・リード
出演:キルステン・ダンスト/エリーザ・ヂュシック/ジェシー・ブラットフォード

キルステン・ダンストがハイスクールのチアリーダーとはちょっとムリがあるんでは?と思ってたんですがハマってるとは言いがたいものの、まぁまぁハツラツとしてました。(ちょっと姿勢が悪いのが気になるんだけど)だいたい老けてるのは彼女だけじゃないし。男の子なんかおっさんですよ、日本人の目から見れば。肝心のチアリーディングのシーンは迫力があってヨカッタです。どうやったらあそこまでテンション上げられるのかは謎ですけど。(あのとびきりとしかいいようのない笑顔とかもはや奇声だとしか思えない煽り声とか。日本人のチアリーディングを観るたびに感じる違和感はまさにそこにあります。日本には本来ないものでしょ)

転校生のクリフ(ジェシー・ブラッドフォード)がトーランス(キルステン)に捧げたバカオリジナルラブソングの「チアリーディングのことはわからな〜い。でもキミが持っているポンポンは大好き〜♪」が変に耳に残ってます。くだらないけど気持ちは伝わってくる。実際へこんでたトーランスもこの曲を聴いて踊りだしましたからね。若いっていいよなぁ。


デイ・アフター・トゥモロー
監督:ローランド・エメリッヒ
出演:デニス・クエイド/ジェイク・ギレンホール/イアン・ホルム

アメリカ人ってあほちゃうやろかと思いました。あんなに雨降ってえらいことなってんのに、なんで車で出かけようとかって思うんだろう。進むわけないだろうが!とイライラしてしまった。主役の気象予報士のジャック(デニス・クエイド)も地球最大の危機の前ではなんの役にも立たんかったし。でも100年〜1000年後に起きるはずの異常気象がまさか翌日から始まるとは誰も思わんものね。ムリもない。

殺人級の雹がガンガン降ってくるアジアの某都市の描写がおかし過ぎるだろうとか、ジャックと友人があれだけ苦労してやっとのことで辿り着いたニューヨークにやけに簡単にヘリが飛んでくるんだなとか、いろいろつっこみたいところはあるけれど、避難場所として(偶然とはいえ)図書館を選んだのは素晴らしい発想だと思いました。「人類が考え出したものの中で最高のものは書物である」みたいなセリフがあったのだけど、本ってやつは燃やしてよし、退屈しのぎに読んでよし、いざという時には紐解けばよしで、なんとまぁ役に立つことか。中でも優れた文学というものは、最後までひとの心の支えになるのだね。ステキだ。


天国の口、終わりの楽園
監督:アルフォンソ・クアロン
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル/マリヴェル・ヴェルドゥ/ディエゴ・ルナ

あほでひまなメキシコの高校生(と思われる)のフリオ(G・ガルシア・ベルナル)とテノッチ(D・ルナ)、テノッチの従兄弟の妻ルイサ(M・ヴェルドゥ)の3人が「天国の口」と呼ばれる架空の海岸を目指して旅するロードムービー。この映画でハッキリわかるのは、この年頃の男の子の気持ちなんか同年代の男の子以外には理解不可能だということ。頭の中がイヤラシイことでいっぱいの彼らが、年上で人妻のルイサから旅に誘われた時のはしゃぎっぷりの見事なこと。もちろん目的はただ一つなわけですよ。ところが、テノッチが先にルイサとやってしまった途端、親友である二人の間はぎくしゃくしはじめる。二人が喧嘩したのは自分のせいだと思ったルイサは平等にフリオとも関係をもつけれど、問題はそこにはないんだな。じゃあどこにあるかというとこれが全然わからん。

それぞれが相手に対し隠し持っていた秘密が、今回の旅でおおっぴらになり大喧嘩するわけですが、これが端から見ればどっちもどっちだとしか思えないような話。しかも散々騒いだわりにいつの間にか何もなかったかのように振舞ってるし、どっちかつうと以前より絆が深まってるようにさえ見える。でも、「男の友情ってこんなに深いんだぜ!」という話かと思えば旅から戻った二人は、それこそこれといった理由もないのに疎遠になってるしな。んもう何がなんやらさっぱりです。この映画、思春期の男の子をお持ちのお母さん方が見るにはいいかも知れませんな。理解しようと思う方がムリってことで。それと、最後のルイサのエピソードはちょっとキレイにまとめすぎなんじゃないかと思いました。あれだったらわざわざ夫に裏切られた妻という設定にする必要ないと思うんですが。


天使にさよなら
監督:ウダヤン・プラサッド
出演:イアン・グレン/ショーン・ランドレス/デヴィッド・ブラッドリー

≪リトルダンサー≫の脚本家のラジオドラマを映画化。ジミーの家は両親とおじいちゃんの4人家族。パパは失業中の上、肺ガンを患っていることがわかりお先真っ暗です。なにかっちゃイライラしてるパパは、ジミーにキツクあたったりもするのですが、たまにニューカッスルのユニをくれたりもします(でも盗品らしい)。しかし残念なことに、ジミーはフットボールにはなんの興味もないんですな。どっちかというとインドア派のジミーはある日、「天使になりたい・・・」と思い立ち、廃墟と化した教会で大天使ガブリエルさまにお願いします。したら、来たんですよガブリエルさま。でもこれがまた汚いおっさんでね。私しゃ最初、ただの浮浪者だと思ってました。しかしジミーはなんの疑いもなく彼に言われるまま天使修行を始めます。しかも自前で衣装まで作る念のいれようで、熱心といえば熱心。でもやっぱりかなり変わってますなこの子。

鶏だか鳩だかの羽をホチキスでパチパチと留めたワンピを着てフライングの練習をするうちに、スカウトという男の子と知り合いになります。海で溺れかけていたスカウトの命を救ったことですっかり自信をつけたジミーは彼に「キミの守護天使になるよ!」と宣言。見ず知らずの奇天烈な服を着た少年に急にそんなこと言われてもなぁ・・・とフツーは引くところですが、命の恩人だからってんでスカウトもあっさり納得です。彼の前ではあくまで天使見習いのため、例の衣装に身を包みトランペットの練習をするジミー。( 天使のラッパのつもりらしい)部屋でピープーやってるところへパパが「うるせー!」と乱入してきます。ところが!!我が息子が羽の付いたワンピを着て、男の子とふたりっきりだったことに大ショックのパパ。「俺の息子はオカマなのか・・・!?」(落ち着け)。 驚きと怒りで「何やってたんだーーーー!!!」と怒鳴りまくるパパはジミーの弁解も耳に入りません。あんまり怒鳴りすぎて、しまいには血まで吐いてます(だからちょっと落ち着けって)。 病気だわ失業だわで、気持ちに余裕がないのは理解できるのですが、いくらなんでも怒りすぎですこの親父。≪リトルダンサー≫の中でも、バレエをやりたいという主人公の男の子を父親が「バレエなんかオカマのやるもんだ!」と頭ごなしに叱りつけていましたが、父親っていうのはみなそんなもんなんでしょうか。息子がボクシングやサッカーに熱中していれば、それだけで安心?格闘技やっててもハートは乙女の男の子もいると思うんですけどね。

病気が進み入院したパパに喜んでもらおうと、着たくもないニューカッスルのシャツを着てお見舞いに行くジミー。練習したトランペットを聞かせてあげようとしているのに、相方としてスカウトを連れて行ったもんだからまたも大激怒のパパ。瀕死の病人とはとても思えぬその迫力に、「この親父、一体何をそんなに恐れておるのか?」と逆に勘繰ってしまうほどです。(アメリカン・ビューティ参照) 。パパには怒鳴られ、スカウトには逃げられでふんだりけったりのジミーはついに家出。唯一の味方のおじいちゃんに「行く前にパパにさよならを言っておいで」と言われ、再び病院に現れたジミーとパパとの別れのシーンは衝撃です。衝撃過ぎてついていけないくらいです。おまけにこの後に続くラストシーンは一度観ただけではちょっと理解不可能。現に私は3人で観たのですが、誰一人としてわかっちゃいませんでした。

≪リトルダンサー≫がとても好きなので過剰に期待したのが悪かったのか、ラストがわかりにくいのに問題があるのか、どうにも不完全燃焼なこの映画。(この後、小説版を最後だけ立ち読みしてようやく話の筋が掴めました。わかってみるとなかなか切ない意図があったんですな。本屋で軽く泣いてしまいそうでした。しかしそれを映像できちんと見せきれてなかったのが惜しい)主人公、ジミー役のショーンくんがいまひとつ可愛くないのも残念でした。おじいちゃんもお父さんもイイ男なのに・・・。


トレーニングイ
監督:アントニー・フュークワー
出演:デンゼル・ワシントン/イーサン・ホーク

CM版予告編の「LAコンフィデンシャル以来の傑作!!」の宣伝文句に踊らされ、非常な期待をもって観に行ってしまいました。がしかし・・・。非常に退屈でした。たしかにデンゼル・ワシントンは上手かったし、イーサン・ホークも頑張っていました。話も全然面白くないわけではないのですが、いったいどこがクライマックスだったのかちょっと思い出せません。(デンゼル・ワシントンと彼の仲間のヤバさ加減に話を深読みしすぎていたせいもある)わずか1日で一生分の正義感と倫理観を試されたイーサンの疲れきった顔がなんとなく印象に残っているけどあとはなぁ。むにゃむにゃ。


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