トニー・レオンをいかにカッコヨク見せるか。それだけを念頭において作られたはずなのに、肝心の仕掛けがことごとくスベっているという哀しさに満ちた作品でした。
トニーさん演じるファイは黒社会のボスの一人息子で、一応組織には属しているようなのになぜか一匹狼を気取っています。(ロンリー・ウルフだけに)。普段は4輪のレーサーで、おまけにナイフ使いの名人。カッコイイですね。でもそのレースが「どちらが早くポテトを買ってくることができるか」という、それって買い物レースなんじゃ?とつっこまずにはいられないものだったり、ナイフをきらめかせて乗り込んだ先で逆にメッタ刺しに合ったりするのは一体どうしたことでしょう。しかも血液型が、大昔の少女漫画のヒロインかお前は!のRHマイナスのAB型だったりするんです。
当然、血液が足りなくて輸血できず、生きるか死ぬかの淵に立たされます。ところが、長年反発しあっていた父親が組織力をフルに活用し、手下どもの中からRHマイナスAB型の人間を大募集。するとこの「珍しいので足りない」とさんざん言われていた血液があっという間に20人分くらい集まるのです。もちろんファイは助かります。なんたるご都合主義!そんなに簡単に生き返るんだったら最初っからそんなややこしい血液型にしなくてもいいじゃないの。
なんかもう全体に間違っているというか、トニー・レオンをどう見せたいのか、どうして欲しいのか、どうすればいいのか、まるでわからないまま作ってしまったとしか思えない作品でした。彼の魅力を本気で引き出したいのなら、もっと父親との確執に重点をおくべきでしたな。で、オチがこれまたなんというか。あの輸血大作戦はなんだったの?せっかく助かった命を粗末にしやがって!と逆にトニー・レオンを叱り飛ばしたくなるような愚かさで開いた口が塞がりません。しかもこれって「二十歳の約束」パクってないか?(古)
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