2001年/日本/116分
監督:滝田洋二郎
出演:野村萬斎/真田広之/伊藤英明/小泉今日子
腰にくる美声の持ち主。仕種もキレイだし言うことなし!
さすがに元JAC!アクションシーンのかっこいいこと! 唯一の友達のカラスが死んだときの動揺振りが忘れられない・・・。
原作ではもうちょっとしっかりしてるんだけどなぁ。
鑑賞者:たぬきさん/まゆきさん/みこんちゃん/chiaki
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陰陽師
感想:
私は以前大好きな小説をとんでもないミスキャストでドラマ化され怒り狂ったことがある。
原作をきちんと読んでいればとても考えられない配役だった。しかしあろうことか原作者はその駄作を絶賛していたのである。怒りを通り越して情けなかった・・・。あんたは自分の作品が可愛くはないのかとそう問いただしたい気持ちでいっぱいだった。
あれ以来好きな作品が映画化される時はなにも期待しないことに決めた。期待するからあんな痛い目に合うのだと思い知らされたから。
今回『陰陽師』が映画化されるときいた時も、『あっそう』という気持ちだった。 安倍晴明役が野村萬斎さんだというのも正直すごく安易な気がした。だから興味はあるけれどたぶん映画館では観ないだろうと思っていたのである。
しかし私は観てしまった・・・。そして今、野村萬斎さんに大ハマリ中である(笑)
とにかく全てにおいてさすが!と唸らずにはいられない。優雅だけれどキレのある動き、ひっそりとしながらも華やかな佇まいと、どれをとってもそんじょそこらの顔だけ俳優には出せない存在感と色っぽさでクラクラするほどだった。特に素晴らしいのが台詞まわし。青音(小泉今日子)の中にいったん取り込んだ邪気を祓うために彼女の背中に長い針を刺しそれをくわえながら、あの美声で呪を唱えるシーンは麗しさ5割増しで、つられてキョンキョンまでキレイに見えたほど。まさに萬斎マジック!ビバ!萬斎!である。
また衣装も美しかった。それぞれのキャラクターに合わせた色使いだったそうで、晴明はもちろん白。 清楚でたおやかな晴明に対し、まるで野犬のような悪陰陽師・道尊(真田広之)の衣装はちょっとヴェルサーチ風。あんな派手な衣装に負けなかった真田さんもまた素晴らしい。(しかし芝居がでかい。うるさいくらいの腹式呼吸発声法で、まわりを圧倒)
博雅役の伊藤英明さんは原作よりずいぶんと可愛らしい作りになっていた。少し可愛らしすぎてアホにみえたがそんなことは些細なことである。
ヨソのサイトさんの感想に『どうして晴明と博雅があんなに急に親しくなったのか分からない』と書いてあるのをみてそれもそうだと思った。私は原作を読んでいたので別に不思議でもなんでもなかったが確かに映画の中では唐突すぎたかもしれない。でも実はこれも呪なのである。誰の?ってもちろん青音の。彼女が『晴明様と博雅様こそが都を救う希望の星!運命によって選ばれた二人なんですーーー』とぶち上げたから二人ともついその気になったのです。それにしても青音は本当にいい仕事をしてくれた。だてに長く生きてきたのではなかったなぁ。あっぱれ!
とここまで書いてきて映画の内容にいっさい触れていないことに気づいた。ストーリーがつまらなかったわけではない。ただちょっと詰め込み過ぎの感はあるけど。でもやっぱりキャスティングの勝利ですねこの映画は。唯一別にいなくてもよかったのでは?と思うのが密虫役の今井絵理子嬢。はっきりいって下手だった。でも彼女はまだ若い。あんな百戦錬磨の萬斎さんや真田さんと互角に渡り合えというほうがムリな話である。そっとしておいてあげて欲しい。
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